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vROps 8.0 はオンプレミスからクラウドまで Part4

Part4:スーパーメトリックもウィザードを強化
日本ヒューレット・パッカード株式会社の中川明美です。
今回は、Part4の「スーパーメトリックもウィザードを強化」です。

vRealize Operationsでは「メトリック」を構成(作成)する方法が複数あります。今回は「メトリック構成」と「スーパーメトリック」をご紹介します。どちらも「管理」メニューの「構成」から始めます。vROps 7.5から、スーパーメトリックはウィザード(アシスト)機能が強化されています。
「メトリック構成」のメトリックはダッシュボードのウィジェットを使用し、「スーパーメトリック」は「環境」メニュー内でデータ表示します。
ー Back Number ー
#1:vROps バージョン 8.0でできること①
#2:vROps バージョン 8.0でできること②
#3:ユーザーインターフェースの変更いろいろ
#4:スーパーメトリックもウィザードを強化
#5:アプリケーションの管理①
#6:アプリケーションの管理②
#7:Workbenchによるトラブルシューティング
#8:8.0のvSANダッシュボード/SDDCコンプライアンス
「メトリック構成」からご紹介します。
◆メトリック構成◆
「メトリック構成」は、「管理」メニューから、メトリック用の新規XMLファイルを作成することもできますし、既存のメトリックを活用することもできます。既存のメトリックを活用することから始め、メトリック構成(作成)に慣れるのもお勧めです。

▼既存メトリックの使用事例
下図は、「VMのトラブルシューティング」ダッシュボードの編集画面です。
組み込みの「VMのトラブルシューティング」ダッシュボードでは、既存の「Dash-VM-Troubleshooting-Utilization」が使用されています。

▼Dash-VM-Troubleshooting-Utilizationの内容確認
メトリックのXMLファイルの内容から、CPUのしきい値を確認できます。黄色は「警告レベル」、オレンジ色は「緊急レベル」、赤色は「クリティカルレベル」を示します。

ダッシュボードを確認すると、CPUは指定された%(しきい値)に線が引かれています。
メモリのしきい値はメトリックの構成で指定していませんが、おそらく、「アラート」メニューの「アラート設定」-「シンプトンの定義」の仮想マシンのメモリワークロードの値が反映されているように思われます。仮想ディスクとネットワークは、ワークロードのシンプトンがありませんから、しきい値の線は表示されていないようです。しきい値に関してはドキュメントに明示的な記述がありませんからこれらは推測です。
メモリや仮想ディスク等のしきい値を設定したいのであれば、「管理」メニューの「構成」-「メトリック構成」で、「Dash-VM-Troubleshooting-Utilization」メトリックの内容をコピー元にして、カスタムメトリックを作成してみてください。

次に、「スパーメトリック」をご紹介します。
◆スーパーメトリック◆
スーパーメトリックは、1 つ以上のメトリックを含む数式であり、ユーザー自身が設計するメトリックです。メトリックの組み合わせを単一のオブジェクトまたは複数のオブジェクトから追跡する必要がある場合に使用します。1 つのメトリックで監視できない場合、スーパー メトリックで定義します。
こちらは、後でご紹介するサンプルのスーパーメトリック「Put Host System child and parent ResourceKinds in alert blackout when host is in Maintenance Mode」です。メトリックの説明文を読むと、ResourceKindから発生する、vROps内のアラートを自動的に制御するメトリックだそうです。メンテナンス時のアラート表示を制御しています。
「depth」は階層を表します。例えばこのスーパーメトリックをESXiホストに適用した場合、depth=0ならESXiホストを対象とします。1なら仮想マシン、-1ならクラスタ、-2ならデータセンターです。負の値は子オブジェクトの親を対象とする場合に使用します。スーパーメトリックでは、このサンプルのように複数のオブジェクトを定義することができます。

※このメトリックをvROps 8.0で使用するには、式の編集が必要です。
ここからは、アシスト機能を使用して、1台のホスト上の全Guest OSのメモリデマンドの平均値を表示するスーパーメトリックを作成します。
▼新規スーパーメトリックの作成
「管理」メニューの「構成」-「スーパーメトリック」で、「新規スーパーメトリックの作成(緑の十字のアイコン)」をクリックします。

「基本情報」で名前や説明を入力し、次の「数式の作成」でメトリックの数式を構成します。「関数」のリストから「avg」を選択します。

「avg()」の()内にマウスカーソルを移動し、「Ctrl + スペース」を押します。「アダプタタイプ」→「vCenter Server アダプタ」→「仮想マシン」の順に選択します。()内で「仮想」と入力後、「Ctrl + スペース」を押し、「仮想マシン」を表示することも可能です。

(仮想マシン: )のセミコロンの右にマウスカーソルを移動し、「Ctrl + スペース」を押します。リストから、「メトリック」→「メモリ|ゲストデマンド(KB)」の順に選択します。

「プレビュー」で、任意のホストを選択し、内容を確認します。

「オブジェクトタイプへの割り当て」で、どのオブジェクトを選択したら、作成したスーパーメトリックが表示されるかを選択します。ここでは vCenter Server アダプタ の ホストシステム を選択しました。

最後にこのスーパーメトリックをポリシーで有効にします。ここではデフォルトのポリシーで有効にしました。

▼スーパーメトリックの表示
「環境」メニューでESXiホストの「メトリック」を選択します。「プレビュー可能なスーパーメトリックの表示」アイコンをクリックします。

作成したスーパーメトリックを右下の画面に表示(ダブルクリックまたはドラッグ)します。
画面上のオブジェクトで「仮想マシン」をダブルクリックすると、選択したESXiホスト上の仮想マシン名を確認することもできます。


▼スーパーメトリックを拡張する
今回作成したスーパーメトリックはシンプルなものですが、where句を追加して同じオブジェクトの異なるメトリックを参照することもできます。where句の例はドキュメントの「スーパーメトリックを拡張する」で確認できます。
https://docs.vmware.com/jp/vRealize-Operations-Manager/6.7/com.vmware.vcom.config.doc/GUID-2290A3B5-3C4B-4EA8-BB52-B0C7DFE7458B.html
◆vRealize Operations Sample Exchange◆
最後に「vRealize Operations Sample Exchange」をご紹介します。

https://vrealize.vmware.com/sample-exchange/

このサイトから、カスタムダッシュボードやスーパーメトリックのサンプルをダウンロードできます。サードベンダーのサンプルもあります。ダウンロードしたサンプルをインポートして、活用するのもよさそうですね。
◆まとめ◆
今回はメトリックを中心にご紹介しました。既存のメトリックを活用したり、新規のメトリックを作成したり、複数の方法でカスタムメトリックを構成できます。ダッシュボード作成時にメトリックを作成することもできます。
運用をメインにされているエンジニアの方には、Logと同様にメトリックは、「いつ」「何が起きた/起きている」は重要な情報ですよね。メトリックの画面から、各オブジェクトの関係性も確認できますから、関係するオブジェクトに問題が起きているのでは?とあたりをつける場合にも活用できます。次は「アプリケーションの管理」です。前提条件の確認が必須です!!