みなさま、こんにちは!マイクロソフトの前島です。
本日は、マイクロソフトが提供するVMware プライベート基盤 “Azure VMware Solution (AVS)” の最新アップデートを一挙にお伝えします。多くの方からお待ちいただいていた新SKUの登場をはじめ、この数か月間で目まぐるしく強化されてきました。ぜひ最新AVS事情をキャッチアップし、みなさまのプライベートクラウド基盤として AVS をご活用いただければ幸いです。
(お伝えしたいアップデートが多いため、前後編に分けてお送りします。今回は主に「機能・サービスの強化」に焦点を当ててお届けします)
- 東日本および西日本リージョンでの AV64 提供開始
- vSphere 8 の提供開始
- AVS with portable VCF subscriptionのサポート開始
東日本および西日本リージョンでの AV64 提供開始
西日本リージョンでは2024年8月から、東日本リージョンでは同9月から、AVS の最新型番となる AV64 の提供を開始しました。AV64 は64コア (128 vCPU)、1TBメモリ、19.20TB の NVMe ディスクを搭載したインスタンスであり、既存のAVSインスタンスに比べて大幅に性能とキャパシティが向上しています。
図1: AV64 型番のスペックと特長
リリース直後から、早速日本のお客様でも活用いただき始めており、特に拡張のしやすさやパフォーマンスが高評価を受けています。
AV64は、現時点では既存 AVS 環境の追加クラスターとしての構成のみサポートされる点にご留意ください。新規で AVS を導入するお客様も、他のSKUで構成された AVS プライベート クラウドクラスターが必要となります。具体的には、東日本や西日本リージョンにおけるAV64 利用最小構成は、”AV36 x 3ノード [Cluster 1] + AV64 x 3ノード以上 [Cluster 2]” となります。
設計上の推奨事項や前提条件については、以下のドキュメントをご参照ください。
Azure VMware Solution – AV64 ノード サイズによる Azure VMware Solution プライベート クラウドの拡張
[Tips]
将来的には、AV64単独での展開もサポートされる予定ですが、現時点では具体的な時期は未定です。 |
また、さまざまなお客様の利用シナリオに対応できるよう、今後更なるラインナップの拡充を計画中です。新しい情報が入り次第、こちらのブログなどでお知らせいたしますので、ぜひご期待ください。
vSphere 8 の提供開始
2024年8月から、AVSを構成するVMware vSphereのバージョンがvSphere 8. 0へアップグレードされました。これにより、新規にAVSをご利用いただくお客様には最新のvSphere 8.0がデプロイされ、vSphere 8.0の新機能や改良点も活用いただけるようになっています。
詳細なバージョン情報は、ドキュメント(VMware software versions) をご参照ください。
なお、2024年8月以前にAVSを導入されたお客様は、引き続きvSphere 7.xでの稼働となりますが、今後順次アップデートを行っていく予定です。具体的なスケジュールについては、通常のAzureサービスメンテナンスルールに基づき、対象のお客様へ順次ご案内いたします。
AVS with portable VCF subscriptions のサポート開始
先日ご案内したVCFサブスクリプションの AVS へのライセンスポータビリティ(通称 AVS VCF BYOL)が、2024年9月から正式に提供開始されました。これにより、既にVCFライセンスをお持ちのお客様は、そのライセンスを持ち込んでAVSをご利用いただけるようになりました。
図2:AVS with portable VCF subscriptions のサポートに関する公式アナウンス
これまでAVSを利用する際は、VMwareプライベートクラウドの稼働に必要なライセンス(例: vCenter Server、NSX、vSANなど)がバンドルされたオールインワンパッケージとして提供されていましたが、すでにVMwareライセンスを保有しているお客様にとっては、ライセンスの二重投資が課題となっていました。今後 VCFライセンスを保有しているお客様は、このAVS VCF BYOL(Bring Your Own License)モデルを利用することで、減額された価格でAVSをご利用いただけます。
なお、AVS VCF BYOL のサポートが開始されましたが、従来のオールインワンパッケージとしてのAVS購入モデルも引き続き提供されます。
また、いずれの方法でご購入いただいた場合でも、AVSはマイクロソフトが提供するファーストパーティサービスであり、購入後のサポートも一貫してマイクロソフトが担当いたします。
VCF BYOLモデルの詳細な手順については、以下のドキュメントをご参照ください。
図3:選択肢の増えた AVS 購入オプション
AVS VCF BYOLの開始に伴うアップデート
今回のAVS VCF BYOLサポート開始に合わせて、既存のお客様にもいくつかのアップデートが適用されます。これまでのAVSに含まれていたVMware製品ライセンスは、厳密にはVCF(VMware Cloud Foundation)とは異なるものでした。たとえば、VMware Aria SuiteはAVSライセンスに含まれておらず、これを利用するためには別途Broadcom社からライセンスを調達する必要がありました。
しかし今回のVCF BYOLサポートの開始により、AVSで提供されるVMware製品ライセンスがVCFに準拠する形で統一されます。これにより、追加ライセンスなしでVMware Aria Enterpriseの利用が可能になるなど、従来型の購入形態でAVSをご利用中のお客様にとっても、さらなるサービス強化が図られます。
なお、AVSで提供される機能やライセンスがVCFと完全に一致するまでには、一定の移行期間が必要となる見込みです。移行期の留意事項は、ご契約の内容や時期に応じて異なる可能性があるため、詳細はMicrosoftまたはBroadcomの担当営業にお問い合わせください。
まとめと次回予告
本記事では、AVSの機能面・サービス面での強化についてお伝えしました。後編では、AVSのオファリングの強化など、より広範な視点からの最新情報をお届けいたします。ぜひご期待ください。