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VMware Cloud Disaster Recovery の活用方法

VMware Cloud Disaster Recovery(以下 VCDR)は、VMware が提供する DRaaS です。今回は、VCDR の活用方法にフォーカスして特徴やメリットついてお伝えします。VMware の DRaaS については、過去のブログも併せてご覧ください。

 

 

目次

 

 

 

やっぱりクラウドは便利!災害対策でもクラウドを採用しておきたい理由

VCDR は、企業の IT インフラとシステムを対象とした災害対策で利用できるクラウドサービスです。クラウド上にバックアップデータを保管しておき、災害対策の復旧先であるリカバリサイトにもクラウドサービスのインフラを利用します。リカバリサイトには、VMware Cloud on AWS のクラウドインフラを採用しています。このクラウドインフラのアーキテクチャは、多くの企業が利用しているオンプレミスの vSphere 環境と同じです。オンプレミスの環境をそのままクラウドで再現しやすいので、災害対策のインフラ設計が楽になるというメリットがあります(図1)。

図1 既存環境と同じアーキテクチャである VMware Cloud on AWSをリカバリサイトに採用

 

クラウドインフラの料金体系は、使った分だけ支払う従量課金です。また、インフラ自体は VMware がサービスの一環で管理・運用するため、リカバリサイトの運用においてインフラ管理者の負担にはなりません(図2)。実際に本番サイトが被災することを想定してみると、その利用価値がわかります。

図2 従来型とVMware Cloud Disaster Recovery の比較(VMware によって運用されるクラウドインフラ)

 

本番サイトが被災した後、簡単な操作でワークロードをクラウド側に素早く切り替えて(フェイルオーバー)、業務を再開できます(図3)。クラウドインフラは VMware がサービスの一環で提供している基盤であるため、インフラ管理者が管理・運用する必要はありません。これによって、インフラ管理者は被災した本番サイトの復旧作業に集中できる、というわけです!

図3 被災後は本番サイトの復旧に集中可能

 

集中して効率よく復旧作業に取り掛かればシステム全体の復旧期間も短くなり、ビジネスの影響を最小限に抑えることが期待できます。この観点からも、クラウドの災害対策を採用すべき理由になると言えるでしょう。

 

 

 

とにかく速い!迅速に事業を再開できる仕組みとは?

ビジネスの継続性を維持するためには、被災直後から業務を再開できる仕組みが必要です。例を挙げて比較してみましょう。まずは、災害対策目的で遠隔地にバックアップデータを保持する方式です。この方式では、有事の際の最初のステップとしてバックアップしたデータをリカバリサイト側のインフラ(vSphere クラスタ)にフルコピーして復元する必要があります。この方式では、一旦データを復元するだけで数時間以上かかるため、短時間で業務を再開できません。

図4 遠隔地バックアップ方式を利用した災害対策のフェイルオーバー手順

 

この方式に比べると、VCDR では極めて素早く業務を再開できます。VCDR の場合、クラウドストレージにあるバックアップデータをそのまま使って復元する仕組みになっています。バックアップデータをわざわざフルコピーする必要はありません。

もう少し詳しく説明します。VCDR でフェイルオーバー処理を実行すると、クラウドインフラ(vSphere クラスタ)がバックアップストレージを直接マウントして、自身のストレージとして使えるようにします。これで、そのストレージの中に保持されているバックアップデータから直接仮想マシンを起動できるようになります(図5)。バックアップしたデータを別の場所にフルコピーする必要がないので、極めて素早く仮想マシンを起動できます。

図5 VMware Cloud Disaster Recovery のフェイルオーバー手順

 

ちなみに、当社のデモ環境で VCDR のフェイルオーバーを実行してみると、実行ボタンを押してから数十秒後にはクラウド上で複数の仮想マシンが起動を始めます。単純な遠隔地バックアップ方式を採用している場合、ここまで迅速に仮想マシンを起動することはできません。ぜひ今のバックアップ環境を見直してみてください。

 

 

 

ファイル単位の復元もOK!便利な活用方法

VCDR のバックアップの仕組みを利用すれば、災害対策以外でも便利に活用する方法があります。ここで2つの例をご紹介しましょう。操作ミスのような事故があってもすぐに対処できます。

 

1. ファイル単位で復元できる!

PC の操作を誤って、ファイルを削除してしまった場合でも復元できます(図6)。VCDR の管理 UI から復元したいファイルが存在している仮想マシンを選択して、OS のディレクトリの中から対象のファイルを指定します。その後、復元を実行すると対象のファイルが zip 形式でダウンロードできます。

 

2. 仮想マシン単位で復元できる!

仮想マシン自体を誤って削除しても同じように復元できます。VCDR の管理 UI から復元したい仮想マシンを選択して、本番サイトに戻す処理を実行すると、その仮想マシンだけ本番サイトに復元できます(図6)。災害対策目的でリカバリサイトにフェイルオーバーする処理では、複数の仮想マシンをまとめてクラウド側で復元しますが、本番サイト側に特定の仮想マシンだけ復元することもできます。

図6 VMware Cloud Disaster Recovery の選べる復元手段

 

クラウドストレージにあるバックアップデータは、データの保存期間が定義できます。これによって、直近の状態だけでなく数ヶ月前など過去のリカバリポイントからデータを復元することができます。このような活用方法も既存の運用に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

まとめ

今回は、VCDR の主な活用方法をご紹介しました。クラウドサービスの特徴を活かすことでコスト面と運用面の双方で利用するメリットがあります。どの企業においても事業継続性は重要です。ぜひこのような便利なサービスの活用をご検討ください!

 

 

 

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