Uncategorized

新卒 2 年目 SE が贈る 仮想デスクトップのキソ!・ 第 3.5 回 ~ View Composer の仕組み ~

新卒 2 年目 SE が贈る 仮想デスクトップのキソ!・ 第 3.5 回 ~ View Composer の仕組み ~
はじめに
皆さんお久しぶりです!新卒 2 年目 VMware SE 野田です。3回目の記事でリンククローンについて少しふれましたが、リンククローンについてもう少し説明してほしい!とご要望が多かったため、リンククローン方式を使う場合のコンポーネントである ” View Composer ” の仕組みについてもう少し踏み込んでご紹介します。
それでは、仮想デスクトップの作成・再構成の仕組みからご紹介します。
プールの概念
第 3 章でも述べましたが、仮想デスクトップはプールと呼ばれる単位で管理します。各プールは「割り当て方式」と「仮想マシンの作成方式」の組み合わせによる、 4 通りの方法がありました。
EUC9_1
-図 1. 仮想デスクトップの作成パターン
その中でも、 View Composer の機能を用いた “ リンククローン方式 ” は仮想デスクトップの展開において、管理者の運用負荷を大幅に減らし、さらにストレージコストを最大限に抑えることができる方式です。
リンククローンの機能を提供する View Composer
EUC9_2
-図 2. View の構成図:リンクククローンは View Composer で提供される機能
図 2 は View を構成する全体像で、その中でも指で指し示してある View Composer がリンククローンの機能が使えるところです。つまり、リンククローン方式を使うのであれば View Composer が必須になります。リンククローン方式で得られるメリットは下記のようなものがあります。
◯ OS アップデートやパッチを素早く更新
◯セキュリティの向上
◯ストレージコストの大幅な削減
では、リンククローンはどのような仕組みで動いているのでしょうか。よく使われる機能が再構成とリフレッシュです。再構成とリフレッシュの説明をする前に、まずはリンククローン方式で作成される仮想マシンの仕組みについてご紹介します。
リンククローン方式による仮想マシンの作成
EUC9_3
-図 3. リンククローン方式でストレージコストが削減できる仕組み
フルクローン方式とは、名前からもご想像がつく通り、仮想マシンの完全な複製を作成することです。図 3 のように 9 台の仮想マシンを展開する場合、完全な複製を作成するので仮想マシン 9 台分のストレージの容量を消費します。では、リンククローン方式ではどうでしょうか。実は、リンククローン方式を使うと、レプリカ VM とその差分データの容量しか発生しないのでストレージの消費容量を大幅に抑えることができます。では、その仕組についてご説明します。
再構成の仕組み
リンククローンの機能で再構成というものがあります。これは仮想デスクトップのレプリカ VM を入れ替える機能です。例えば、現在展開している全ての仮想デスクトップにパッチの更新や OS の変更などを適用したい場合に使います。わかりやすく言うと、 OS にパッチを当てるときなどでは、マスター VM にパッチを当てた後、スナップショットを取得して、そのマスター VM を基に再構成を行うことで、展開した仮想デスクトップ全てがパッチを当てた後の状態になります。このように第 3 回の記事の仮想デスクトップの作成方法のところでもご紹介した、パッチ管理の簡素化、迅速な仮想デスクトップの構成変更が行えます。
EUC9_4
-図 4. 再構成時のディスクの使われ方
では、再構成を行った時、 vSphere 側ではどのような動きをしているのでしょうか。
EUC9_5
-図 5. 再構成時の vSphere 側の動き
図 5 のように再構成を開始すると、「 マスター VM のイメージ + スナップショット 」 = レプリカ VM が作成されます。そしてこのレプリカ VM が読み取り専用の仮想マシン ( レプリカ VM を共有利用するイメージ ) となって、複数の仮想マシンが展開されます。 vSphere 側から見ると仕組みが理解しやすいですね。容量に関しても、レプリカ VM と展開された仮想マシンの差分ディスクの容量しかかからないため、ストレージ容量の消費が抑えられます。
では次に、リンククローンの機能でリフレッシュと呼ばれる機能の説明です。
リフレッシュの仕組み
リンククローン方式で作成されたデスクトップは、ユーザーが操作する度に、その情報が差分ディスクに保存され、ディスクサイズがどんどん大ききなっていきます。このどんどん蓄積されていく差分ディスクの容量をリフレッシュで初期状態に戻します。つまり差分ディスクの拡大防止を行いストレージコストを抑えます。
EUC9_6
-図 6. 更新によって変わる差分ディスク容量
この機能、実はセキュリティを高める意味でも使われている機能です。ある一定期間に蓄積されたデータが更新によって全デスクトップ分きれいに削除されてデスクトップ展開時の初期状態に戻すことができます。よって定期的に更新をかけることで、セキュリティを高めた運用が可能です。
おわりに
View Composer の仕組みについて理解できたでしょうか。仮想デスクトップを展開する場合、このリンククローン方式を使うことによって運用管理が簡素化され、セキュリティも高めることができます。さらにリンククローン方式ではストレージコストも削減することができます。仮想デスクトップを作成する際はぜひリンククローン方式で作成してみてください!
新卒2年目社員が贈る 仮想デスクトップのキソ!
第1回 仮想デスクトップと Horizon 6 ( with View)
第2回 仮想デスクトップの基本構成
第3回 プール作成と割り当て
第3.5回 View Composer の仕組み
第4回 接続方法と接続元端末
第5回 公開アプリケーションのキソ
第5.5回 ThinAppによるアプリケーション仮想化のキソ
第6回 スケールアウト対応
第7回 完結編、仮想デスクトップと関連ソリューション総まとめ
第 8.1 回 App Volumes を使ってみよう その1
第 8.2 回 App Volumes を使ってみよう その2