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vSAN ReadyNode の選び方と構成のカスタマイズ – Broadcom サポートサイト利用ガイド

本投稿では前回の「Broadcom Compatibility Guide と Interoperability Matrix の確認方法」に続き VCF・VVF 基盤を導入する際に利用する vSAN ReadyNode の選び方と構成のカスタマイズ方法を紹介します。

前回までのリンクです。

 

※ 本投稿は vExperts Advent Calendar 202512/25 分として参加しております(いつもは個人ブログで参加していましたが今回は会社ブログから参加しました)。

本記事でご紹介する内容です。

 


【vSAN ReadyNode™ とは?】

vSAN ReadyNode、vSAN Ready Node、vSAN ReadyNodes、などサイトによっていくつかの表記がありますが、正式には「vSAN ReadyNode™」となります。

※ 本投稿では「vSAN ReadyNode」の表記で説明します。

vSAN ReadyNode とは、Broadcom (VMware) と各サーバーハードウェアベンダーが「vSphere および vSAN の各バージョンであらかじめ動作検証を済ませ、最適化され、認定を与えたサーバー構成」です。

通常、HCI に限らず vSphere を動作させるハードウェアを選定する場合、前回の互換性ガイドの説明で解説したように、サーバー本体、CPU、メモリ、IO コントローラ、SSD、NIC など様々なハードウェア互換性を確認して組み上げる必要があります。
また、様々なパーツを集めて組み上げた vSAN 環境の場合、パーツ間の互換性を常に意識しながらライフサイクル運用を行う必要も考慮しなければなりません。

一方、vSAN ReadyNode は既にメーカー側で互換性検証済みのサーバーセットで構成されています。つまり、vSAN ReadyNode 認定されたサーバーセットを利用することで、事前の互換性確認や動作検証、導入後のライフサイクル運用の手間とリスクを大幅に削減できるようになります。

 

■ vSAN ReadyNode を利用することのメリット

vSAN ReadyNode を利用することの代表的なメリットには以下のようなものが挙げられます。

  1. 互換性の保証 : 検証済みの構成であるため「動かない」「不安定」といったトラブルを防げます。特に、SSD や IO コントローラなど、ドライバやファームウェアレベルで厳密な互換性運用が必要なコンポーネントの相性も保証され、パッチ適用などライフサイクル運用の負担を大幅に減らします
  2. 導入のスピードアップ : ハードウェアの組み合わせをゼロから検討・設計する必要がなく、要件に合わせて事前定義された後述プロファイルからベースモデルを選択し、要件に合わせて必要リソースをカスタマイズできます
  3. 柔軟な選択肢と構成 : vSAN ReadyNode のプロファイルはあくまでもベースモデルで、ワークロードの要件に合わせて柔軟なカスタマイズが可能です
  4. サポートの一元化 : ハードウェアに起因する問題が発生した際も、認定構成であれば Broadcom とサーバーベンダーの双方でスムーズなサポートが受けられます

特に三つめの「柔軟な選択肢と構成」について、頻繁に「vSAN ReadyNode は “プロファイル” で定義された構成しかサポートされないのか?」といった質問を受けます。

そんなことはありません、vSAN ReadyNode は決め打ちの構成ではなく、あくまでもベースモデルとして各サーバーベンダーが用意しているものであり、CPU、メモリ、SSD、NIC、その他様々なコンポーネントを柔軟にカスタマイズして利用可能です。

vSAN ReadyNode で重要なポイントは 1つ目の「互換性が保証」されつつ「柔軟な選択肢と構成」が可能なことです。

 

「vSAN ReadyNode って vSAN 専用の特殊なハードウェアなの?」という質問もよく受けます。

実際はサーバーベンダー各社が持つサーバーベースモデルと、いくつかあるシステムボード、PCIe バックプレーンの構成の組み合わせのうち、vSAN ESA が必要とする「NVMe SSD の PCIe バックプレーンダイレクト接続」や、vSAN OSA における「vSAN 認定 IO コントローラ (HBA) と接続するための構成」をサポートする組み合わせが vSAN ReadyNode のベースとなっています
※ 各社のサーバー構成ガイドなどを参照する限り、他社の HCI システムに対応したシステムボードなども同様の組み合わせであることが多い。

つまり、各社の数多あるパーツの組み合わせの中から、vSAN でサポートされる重要なハードウェア(システムボード / バックプレーン)の組み合わせが最初から適切に組み込まれており、その上に載せる CPU、メモリ、SSD、NIC などは比較的自由にカスタムできるのが  vSAN ReadyNode なのです。

当然、vSAN ReadyNode に FC HBA を PCIe 拡張スロットに追加して FC 接続の外部ストレージを利用することもサポートされますし、パッチ適用やメンテナンスなども通常の vSphere で利用していたハードウェアの運用と同じです。

詳細は後述の「vSAN ReadyNode と認定パーツ」および「vSAN ReadyNode のカスタマイズ」で解説します。

 

vSAN は VMware Cloud Foundation (VCF) のコアコンポーネントの1つです。

vSAN ReadyNode の利用でハードウェアの「互換性が保証」されることにより、VCF 初期導入時には vSAN ReadyNode と ESX ホスト間を接続するネットワークがあれば、外部ストレージがない環境でも VCF フリート(VCF インスタンス / vCenter インスタンス / クラスタ)のセットアップが可能です。

また、バージョンアップ時などライフサイクル運用もサポートされるバージョン下では VCF Operations / vSphere LiveCycle Manager (vLCM) によるパッチ適用・バージョンアップの自動化が可能になります。

vSAN ReadyNode を VCF 環境のコンピュートとストレージの両方で活用することで「導入のスピードアップ」、および「サポートの一元化」にも寄与でき、大きなメリットとなります。

 

■ vSAN ReadyNode 以外の選択肢

vSAN ReadyNode 以外を利用して vSAN を構築する方法として、Dell VxRail などの統合アプライアンス(展開から運用管理ツールまで一体化した製品)を利用する方法と、手組(Build Your Own)と呼ばれる互換性のあるパーツを個別に組み合わせて vSAN を構築する方法があります。

ただし、従来の vSAN OSA (Original Storage Architecture) では手組構成がサポートされていましたが、最新の All NVMe 構成である vSAN ESA (Express Storage Architecture) では手組構成はサポートされず、vSAN ESA ReadyNode か統合アプライアンス製品を利用する必要があるためご注意ください。

※ vSAN ESA で手組構成がサポートされないことによるデメリットはほぼなく、後述の柔軟なカスタマイズ性含めて、複雑難解であった All NVMe サーバー構成を確実・安全に導入できるメリットに寄与しています。

 

【vSAN ReadyNode とプロファイル】

vSAN ReadyNode は vSAN OSA(Hybrid vSAN | All Flash vSAN)、vSAN ESA、vSAN ESA Storage Cluster のカテゴリ毎に、性能や容量などワークロードのリソースに応じていくつかのハードウェア構成の基準となる「プロファイル」が設定されています。

Broadcom Compatibility Guide の vSAN ReadyNode の項目では、各ハードウェアベンダーがそれぞれの提供するサーバーハードウェアと CPU、メモリ、SSD、NIC などを各プロファイルに沿って組み合わせた vSAN ReadyNode (のベースモデル)を掲載しています。

皆様はワークロードの用途や規模に応じて、vSAN ReadyNode プロファイルからベースモデルを選び、各サーバーベンダー様の構成ツールや見積もりツールで必要なパーツを増減してカスタマイズできます。

 

■ Broadcom Compatibility Guide : vSAN ReadyNode

各 vSAN ReadyNode 構成は Broadcom Compatibility Guide にて公開されているので、その確認方法から解説します。

Broadcom Compatibility Guide <https://compatibilityguide.broadcom.com/>Storage & Availability のサブカテゴリに vSAN に関連する互換性ガイドが用意されています。

Broadcom Compatibility Guide の「Search Programs」欄に “vSAN” と入力すれば対象が絞り込めます。

「vSAN ReadyNodes」を選択します(互換性ガイドの中では複数形ですね)。

vSAN ReadyNode のカテゴリは、vSAN 8.0 からサポートされる vSAN ESA (Express Storage Architecture) 対応の ReadyNode と、従来の vSAN OSA (Original Storage Architecture) 対応の ReadyNode の2つがあります。

2025年現在のイチ推しは vSAN ESA なので、vSAN ReadyNode のデフォルト表示は vSAN ESA のメニューです。

※ vSAN OSA の ReadyNode を参照する際は ” Click here for vSAN Original Storage Architecture(OSA) Guide ” をクリックして切り替えてください。

 

それぞれの直リンクは以下となります。

 

■ vSAN ReadyNode プロファイル

vSAN ReadyNode プロファイルは、ハードウェアベンダー各社が構成のベースモデルに設定する CPU、メモリ、SSD、NIC などの性能・容量の指標を規模ごとにクラス分けしたものです。

 

vSAN ESA ReadyNode プロファイル

2025年12月時点では、vSAN ESA ReadyNode は「vSAN ESA HCI ReadyNode™ Hardware Guidance」と「vSAN ESA Storage Cluster ReadyNode™ Hardware Guidance」という、通常の HCI での利用を想定したリファレンスと、ストレージクラスタ(旧称 vSAN Max)での利用を想定したリファレンスの2種類にそれぞれ3クラスのプロファイルが用意されています。

vSAN ESA ReadyNode プロファイルは、従来は HCI モデルが XS (AF-0) / S (AF-2) / M (AF-4) / L (AF-6) / XL (AF-8) / HD (AF High Density) の6段階、ストレージクラスタモデルが XS / S / M / L / XL の5段階で設定されており、非常に難解でした。

元々 vSAN ReadyNode はカスタマイズが可能で、各コンポーネントの構成はかなり自由に変更できたので正直なところ細かいプロファイルの種類は意識する必要がなかったのが実際のところです。

vSAN ESA ReadyNode プロファイルは 2025年11月に大幅に見直しが入り、シンプル、かつ、より柔軟なカスタマイズを許容する形で再定義されました。
詳細は以下の公式ブログにて解説されています。

※ vSAN ReadyNode ハードウェアガイダンス、プロファイルは定期的に見直しが行われます。

 

2025年12月時点の vSAN ESA ReadyNode プロファイルのリファレンス構成は以下のように設定されています。

vSAN ESA HCI ReadyNode プロファイル (2025年12月時点)

説明
vSAN-HCI-SM vSAN-HCI-MED vSAN-HCI-LRG
ノード容量(TB、最小) ※
3.2 20 50
CPU(コア数/ノード、最小) 
16 32 48
メモリ(GB/ノード、最小)
128 256 512
基本構成の最大ストレージデバイス数
12 18 24
ネットワーク(GbE、最小)
10 25 100
基本構成のパフォーマンス(IOPS/ノード、最大)※※
50K 10K 150K

 

※ Small プロファイルの最小ノード容量は vSphere Foundation (VVF) に含まれる Core 辺り 0.25 TiB vSAN ライセンスをカバーする容量を想定した設定となっています。

 

vSAN ESA ストレージ クラスタ ReadyNode プロファイル (2025年12月時点)

説明
vSAN-SC-SM vSAN-SC-MED vSAN-SC-LRG
CPU(コア数/ノード、最小)
16 32 48
メモリ(GB/ノード、最小)
128 192 256
クラスターあたりのノード数(分)
4 6 6
基本構成の最大ストレージデバイス数
12 18 24
ネットワーク(E/W GbE)(分)
25 25 100
ネットワーク(N/S GbE)(分)
10 25 25
基本構成のパフォーマンス(IOPS/ノード、最大)※※
50K 75K 125K

 

それぞれ、SM (Small) / MED (Medium) / LRG (Large) の3つのシンプルなリファレンスサイズで設定されました。
繰り返しになりますが、このプロファイルで定義された構成はあくまでもサーバーベンダー各社が提供する vSAN ReadyNode 構成のベースラインであって、このプロファイルで定義された仕様を固定で使うものではありません。

サーバーベンダー各社はそれぞれのプロファイルに合わせて、自社のサーバーハードウェアに、vSAN サポート認定された SSD を組み合わせて vSAN ReadyNode のベースモデルを提供します。

例えば vSAN-HCI-SM であればフロントドライブベイに最大10本の NVMe SSD が搭載可能な 1U フォームファクターのサーバーで vSAN ReadyNode が定義されており、また、vSAN-HCI-LRG であればフロントドライブベイに最大24本の NVMe SSD が搭載可能な 2U フォームファクターのサーバーがサポートされているはずです。
当然、1U フォームファクターのサーバーでもドライブ本数以外の点で vSAN-HCI-LRG をサポートしている場合もありますし、2U フォームファクターのサーバーが vSAN-HCI-SM をサポートしている場合もあります。

vSAN ESA ReadyNode Hardware Guidance にはその他、様々なコンポーネントの選定基準が示されているのでご一読ください。

 

※ プロファイルのそれぞれに基本構成のパフォーマンス (Performance for base configuration) としてノード辺りの IOPS 指標が掲載されておりますが、この数値は IO サイズ 8 KB、読み取り/書き込み比率 70/30、ランダム IO を想定した「対象ノードのリファレンス構成に追加の変更を加えない場合の推定パフォーマンスの最小値」です。

実際の vSAN ESA ReadyNode の性能はかなり高い IOPS と低い遅延を両立させる検証結果もでておりますので、性能サイジングについては後述の vSAN ReadyNode Sizer や VMware Private Cloud Sizer を利用したサイジングも合わせてご利用ください。

上記検証の際にも改めて確認できたことですが、vSAN ESA は非常に Queue / Queue Depth の値が大きい ALL NVMe SSD で構成された特性から、沢山の並列 IO を効率よく、極低遅延で処理することに長け、その上 PCIe ダイレクトに NVMe SSD が IO を処理するため IO 処理のおける CPU 負荷が非常に低いことが特徴です。

 

2025年11月にプロファイルが再定義され、特に vSAN ESA ストレージクラスタの CPU、メモリ要件が大幅に引き下げられたことで、今後は vSAN ストレージクラスタが採用しやすくなりました
特に、上に記したように、vSAN ESA ストレージクラスタとしてストレージの役割を独立したクラスタに持たせることで、ストレージクラスタを構成する ESX のCPU は vSAN の IO 処理に特化できます。その上で複数のクラスタに対して共通化した vSAN データストアを提供する事ができるため、CPU もストレージもかなり効率よく利用することが可能となります。

特に、来年の上半期にリリース予定の VCF 9.1 では vSAN ESA でグローバル重複排除 (Global Deduplication) は vSAN クラスタ全体 (= vSAN データストア全体)で効率よく 4KB Block での重複排除が可能となり、ストレージクラスタにおける容量効率上昇が大きく見込めます

HCI を外部ストレージ化してしまう vSAN ESA ストレージクラスタ、先祖還りのようにも見えてしまいますが、実際は VMware が常に取り組んできた「仮想化による集約と効率化」を現在のハードウェア性能・容量に合わせて再実装した vSAN の姿です。
容量を集約して効率良く分配する外部ストレージ的な良さと、ストレージのパス設計やLUN設計など細かい技術要素を意識せずにポリシーベースで仮想マシンにストレージを割り当てる vSAN の良さ、これらの良いところどりでさらに VCF Operations や vCenter でライフサイクル運用含めて統合管理できる、それが vSAN ESA ストレージクラスタです。

「まずは一部のワークロードから vSAN ESA 化を」と検討している環境がある場合、ぜひストレージクラスタ構成からスモールスタートを始めてはいかがでしょうか?

 

vSAN OSA ReadyNode プロファイル

2025年12月時点の vSAN OSA ReadyNode プロファイルは、オールフラッシュ vSAN (All Flash vSAN : AF vSAN) プロファイルが Intel / AMD 用にそれぞれ 3 クラス、ハイブリッド vSAN (Hybrid vSAN : HY vSAN) プロファイルが Intel / AMD 用にそれぞれ 4クラス、Edge や ROBO 向けのスモールフォームファクタ (Small FormFactor : SF) プロファイルが AF/ HY 向けにそれぞれ 1つ用意されています・

vSAN OSA ReadyNode の各プロファイルの解説については vSAN ESA と基本的な考えは同じため、本投稿では割愛します。

 

【 vSAN ReadyNode と認定パーツ】

プロファイルの次は実際の vSAN ReadyNode のサーバーベースモデルを見てみましょう。

vSAN ESA と vSAN OSA でそれぞれページが異なりますが、基本的な操作方法は同じです。今回は vSAN ESA を例に紹介します。

左側のメニューからはチェックボックスで要件の絞り込みや、各項毎にテキストで対象の絞り込みが行えます。複数選択も可能です。

以下では例として、vSAN 9.0 に対応した Dell 社の vSAN ReadyNode から、最新の Intel Xeon Granite 世代の CPU を搭載した 1U サーバー (R670) で絞り込んでみます。選択の実行は上部の “View Result” をクリックしてください。

 

対象の vSAN ReadyNode サーバーが右側のリストに絞り込まれたらモデル名をクリックします。
以下のようにな対象の vSAN ReadyNode がサポートする構成範囲が表示されます。

ここからわかるように、各項の記載は「シリーズ」や「最大構成」や「選択可能なパーツ」です。
さらに、今回選択した Dell PowerEdge R670 がカバーするプロファイルは vSAN ESA ReadyNode の Small 〜 Large をカバーしています。つまり最小構成は「vSAN-HCI-SM」プロファイルで定義されていますが、最大構成はサポートされる限り自由に構成できます。

 

ちなみに、2U フォームファクターモデルの vSAN ESA モデルの中には、HCI モデルとストレージクラスタモデルの両方をサポートするモデルもあるため、より選択の幅が広がります。

vSAN ReadyNode の各ベースモデルの情報をデータとしてエクスポートしたい場合は、画面右上の “Export to CSV” または “Export to PDF” ボタンをクリックして保存するか、

 

以下のリンクからその時点の最新の全 ReadyNode リストが PDF で入手できます。

 

■ vSAN 認定パーツ

vSAN でサポートされる SSD、IO Controller などは、個々のデバイス毎にサポートされるモデル、ドライバ、ファームウェアが厳密に指定されています。
※ これらは vSphere ESX としてのサポート認定よりも遥かに厳しい vSAN 認定用の負荷試験・互換性テストをクリアしたモデル、ドライバ、ファームウェアの組み合わせがそれぞれの vSAN バージョン (ESX バージョン) 毎に設定されます。

 

※ NIC に関しては RDMA 利用せず TCP を vSAN トラフィックに利用する場合は、通常の vSphere がサポートする IO デバイスとしての認定のある NIC がサポート対象となります。vSAN ESA においては小規模構成では 10Gbps もサポートされますが、vSAN ESA のメリットを十分に引き出すには 25Gbps 以上の広帯域なネットワークの利用が強く推奨されます。

vSAN 認定パーツについては、2025年時点では vSAN ReadyNode や Dell VxRail などの統合アプライアンス製品で vSAN を構成することがほとんどであるため、基本的に各ハードウェアベンダーの構成ツールや見積もりシステムで vSAN ReadyNode 用のコンポーネントを選択して発注、購入すれば vSAN 対応のものが入手できるため、新規導入時や拡張時には都度互換性ガイドを調べなくても良くなりました。

一方、何等か不具合がありパッチやドライバ、ファームウェアを個別適用するような場合には、必ずサポートされたバージョンであるかを調べるために、上記リンクからサポートの詳細を確認が必要です。

 

ちなみに、Broadcom Compatibility Guide で個々のパーツを見ていくと「同じモデル名称」のパーツが存在する場合があります。容量別で同じモデル名称の時もありますが、製造ベンダーと提供ベンダーが異なる所謂 OEM モデルの場合は、名称が同じであっても内部のデバイス ID などが異なるため、適用するドライバやファームウェアが異なる場合が多くあります。

必ず、名称だけでなく提供ベンダーを確認し、場合によっては各パーツが内部に持つ ID を確認してください。特にサーバーベンダー各社に問い合わせる際には デバイス ID などの情報があることで確実な回答を得やすくなります。

デバイス ID など詳細を調べる方法は以下の KB にて解説しています。

 

【vSAN ReadyNode のカスタマイズ】

前項の vSAN ReadyNode のモデル別画面で紹介したように、vSAN ReadyNode で定義されているのは「ベースサーバー」と「最小構成要件」です。

それ以外、例えば CPU やメモリはワークロードの要件に合わせて、サーバーベンダー各社の構成ツールで選択可能なモデル・容量を組み合わせて柔軟にカスタマイズできます。

vSAN ESA、vSAN OSA それぞれの ReadyNode でカスタマイズ可能なコンポーネントについては、以下の KB にて詳細に解説されています。

基本方針としては vSAN ReadyNode プロファイルの指定より上位の構成であれば自由にカスタマイズできます。例えば前項で例として上げた Dell PowerEdge R670 の場合は、vSAN ESA ReadyNode の Small 〜 Large をカバーしていますので、最小構成から最大構成まで柔軟にカスタマイズ可能ということになります。

vSAN ReadyNode において、明確にカスタマイズがサポートされていないコンポーネントは、vSAN ESA の場合はシステムボードと PCIe バックプレーンの構成、vSAN OSA の場合は IO Controller (HBA) の構成変更です。
これらは vSAN が個々の SSD / HDD をダイレクトに高速な IO 処理を行うための必須条件なのでご注意ください。
その代わり、vSAN OSA では1つのサーバーモデルをベースとしながら、異なる IO コントローラモデルが搭載された vSAN ReadyNode ベースモデルが用意されていることがあります。

vSAN OSA の場合、一般的にはパススルータイプの ホストバスアダプタ (HBA) が vSAN ReadyNode に組み込まれています。もし、HBA ではなく RAID コントローラの場合は、RAID モードではなく HBA モード (パススルーモード) で利用し、1本1本のドライブを独立して ESX Kernel から制御するように設定します。

 

ちなみに、vSAN ESA ReadyNode はドライブベイが PCIe バックプレーン直結のシステムボードで構成され、HBA や RAID カードは使用しません。
NVMe ドライブ自体に IO コントローラが内蔵されており、ESX Kernel はダイレクトにそれらと通信するためです。

特に、vSAN ESA 検証用にハードウェアを調達する際は、必ず vSAN ESA  ReadyNode を選定してください。vSAN ESA ReadyNode には NVMe 対応の RAID コントローラなどは搭載されていません
もし、NVMe 対応の RAID コントローラが搭載され、NVMe SSD との間に介在するシステムボードの構成では性能がでず、vSAN ESA としてサポートされないため注意が必要です。

 

vSAN ReadyNode のカスタマイズについては以下の公式ブログでも解説していますので参考にしてください。

 

■ ESX ブートデバイス(ブート領域)について

2025年時点で、サーバーベンダー各社は ESX などハイパーバイザーのインスール先デバイス・ブートデバイスとして、PCIe カード上の M.2 SSD などを利用したブート領域専用デバイスを提供しており、各社 vSAN ReadyNode のブート領域もそれらを利用するのが一般的です。

ESX 9.0 以降では ESX ブート領域には最小 128GB 以上の NVMe / SAS / SATA 接続のデバイスが必要です。以前は 2.5 インチ HDD や SSD で RAID1 を構成してブート領域とすることもありましたが、vSAN ESA ReadyNode は PCIe ダイレクト接続前提でありローカル RAID コントローラは搭載ができないため、ブート領域専用デバイスの利用が強く推奨されます。

また、従来ブート領域としてサポートされていた SD カード / USB ブートは非サポートであるため注意が必要です。

vSphere 7.0 以降のブート領域についての各種情報は以下の KB を参照してください。

 

【NVMe Advanced Memory Tiering (NVMe メモリ階層化) 機能を使う場合の NVMe SSD 選定と設定】

vSphere 9.0 から正式サポート (GA) された NVMe Advanced Memory Tiering (NVMe メモリ階層化 : 以下、Memory Tiering) は、Tier 1  NVMe SSD として、vSAN ESA 用の TLC NVMe SSD で Mix Use クラス以上の耐久性 (DWPD 3 ※ 以上) のものを利用します。

 

Memory Tiering でサポートされる対象の NVMe SSD は、Broadcom Compatibility Guide の vSAN SSD の項目で “Tier” で vSAN ESA と選ぶか、“Device Type” で NVMe を指定し、耐久性 Class D 以上パフォーマンスクラス F 以上にチェックを入れるとフィルタリング可能です。

 

vSAN ESA ReadyNode で Memory Tiering を併用する場合は、全ての NVMe SSD を vSAN ESA のストレージプールに組み込んでしまうと Memory Tiering で利用できなくなってしまうので、任意の NVMe SSD をプールに組み込ますに残しておくか、あらかじめ Memory Tiering 用として設定することを推奨します。

Memory Tiering の実装についての詳細は以下の公式ブログを参照してください。

※ DWPD = Drive Write per Day (1日に何回 SSD の全容量を上書きしても記録素子が5年間使えるかの指標)
例) 1.6 TB (3 DWPD) = 毎日 4.8 TB 書き込んでも 5年間は記録素子の寿命が持つ (合計 8760 TB 書込可能 : 8760 TBW)

 

【vSAN ReadyNode Sizer と VMware Private Cloud Sizer の利用】

vSAN のサイジングといえば vSAN ReadyNodevSAN™ Sizer (vSAN Sizer) を思い浮かべる人もいるかも知れません。

ただ、残念ながら2025年12月時点ではまだ vSAN 9.0 に対応しておりません。
実際、vSAN OSA / vSAN ESA ともにサイジングの観点では 8.0 U3 と 9.0 では大幅な変更はないので概算を算出するには問題はないのですが、最新バージョンへの対応が待たれるところです。

 

一方、一部の方は既に触ったことがあるかもしれませんが、VCF に対応した新しいサイジングツール、VMware Private Cloud Sizer (PC Sizer) の開発も進んでおり、現在ベータ版が公開されています。※ 以前 VCF Capacity Planner と呼ばれていたツールの後継です。

 

PC Sizer も現時点の Beta バージョンでは、最新のハードウェア構成でのサイジングは可能となっておりますが、VCF 5.2 (vSAN 8.0 U3)までを前提としたサポートとなっており、2026年に VCF 9.x / vSAN 9.x に対応したバージョンとして正式公開される予定で、合わせて vSAN Sizer も大幅アップデートされます。

サイジングツールについては 2026年に改めて最情情報をお届けしたいと思います。

 

vSAN Sizer の詳細な利用方法については以前、個人ブログの方で解説したものがありますので、以下を参考にしていただければと思います。

また、vSAN サイジングには欠かせないアセスメントについても Dell LiveOptics を利用した方法を以下の記事にて解説しております。

PC Sizer では LiveOptics からエクスポートしたアセスメントデータを取り込んだサイジングがより行いやすくなっております。興味のある方はお試しいただければと思います。