Sustainability

持続可能なデータセンター運用に向けて

サステナビリティは、現在、世界中すべての企業組織にとって重要な優先事項の1つです。仮想化はデータセンターの消費電力や床面積を削減でき、VMware ESGレポートによると、VMware のテクノロジーによって削減されたCO2 排出量は 12 億 CO2 メトリックトンだそうです。これがどのくらいの量なのか想像もつかない方もいらっしゃるかもしれませんが、2019年の日本全体で排出された温室効果ガス 排出量とほぼ同じ量だそうです。とても驚きの削減効果ですね!
詳しくは、前回のVMware のサステナビリティに関する取り組みのブログで紹介しておりますのでご覧ください。

さて今回は、仮想化テクノロジーを利用することで削減できるデータセンターのCO2 排出量を手軽に数値化することができるVMware vRealize Operations 8.6の持続可能性ダッシュボードをご紹介します。

図1:持続可能性ダッシュボードのトップページ

 

このダッシュボードは、「Green Supply」、「クリーンデマンド」、「無駄のない操作」という3つの観点で、持続可能なデータセンターの運用をサポートすることができます。

  1. Green Supplyは、インフラストラクチャの観点(物理サーバ、ストレージ、ネットワーク)から電力効率の最適化を支援します。
  • 小規模クラスタ:ESXi ホストが少ない vSphere クラスタは、リソースの合計にくらべ HA のオーバーヘッドが大きくなります。例えば2台のクラスタの場合、50% が HA用に必要になり、効率が悪いことになります。このダッシュホードでは、非効率なクラスタとして、4 ESXi ホスト以下または 120 CPU コア以下とメモリが1 TB以下のものを表示します。
  • 旧式のハードウエア:新しいハードウエアは、テクノロジーの進歩により少ない電力でより多くのCPUとメモリリソースを提供することが可能です。このダッシュボードではESXi バージョン6.0以前を使用しているホスト及び40 CPUコア、および256GB未満のメモリを搭載したホストを表示します。
  • 炭素排出の透明化:実際の消費電力量とCPUのクロック速度から環境負荷の小さい vSphere クラスタを表示します。
  • CO2排出量の削減:仮想化によって削減された消費電力、CO2 排出量を Before / After 表示します。このメトリック計算に利用された各種パラメーターは、保守的なもので各国の電力事情に合わせたチューニングが必要です。参考までに下記がデフォルトのパラメーターとなります。
    • サーバ(CPU 1ソケット、10 CPUコア、32 GB メモリ)=0.1KW
    • KWh あたりのCO2排出量=0.709Kg (Greenhouse Gas Equivalencies Calculator より参照)
    • 電力コスト=KWhあたり$108 (米国本土におけるVMware TCO Reference Calculatorより参照)

図2:CO2排出量の削減ダッシュボード

 

  1. クリーンデマンド」は、仮想マシンの状態を確認し、それらに対して適切なリソースが提供されているのかの判断の支援をします。つまり、使用していない仮想マシンなどにリソースが無駄に割り当てられていないかを可視化します。
  • パワーオフ・アイドル状態の仮想マシン:これらの状態の仮想マシンも、ストレージを消費します。どの vSphere クラスタにどのくらいの数の仮想マシンが、どのくらいのストレージを消費しているか表示します。
  • スナップショット:一時的な状態を保持するために利用するスナップショットは、大量のストレージを消費します。不要なスナップショットを削除し余分なストレージを消費させないために、スナップショットを保持した仮想マシンのリストを表示します。
  • 過剰サイズの仮想マシン:仮想マシンの状態をモニターし、CPU、メモリーが過剰にリソースとして割当てされていないかを通知してくれます。適切なリソース割当を実現することで、消費電力の削減に繋がります。
  • アイドル状態の仮想マシンが環境に与える影響:1つ1つの削減効果は微々たるものですが、アイドル状態の仮想マシンによって消費される電力を表示します。

図3:アイドル状態の仮想マシンが環境に与える影響ダッシュボード

 

  1. 無駄のない操作」:インフラストラクチャの観点でリソース使用効率の最適化を支援します。
  • 過小に使用されているストレージ:管理下にあるデータストアの状況を一覧化し、使用状況、残りキャパシティ、親なし仮想マシンなどを確認することができます。
  • 過剰サイズのクラスタ:同様に管理下の vSphere クラスタの状況を一覧化し、オーバーコミット率、予約されたリソース、再利用可能なリソースなどを確認することができます。

このようにVMware vRealize Operations 8.6の持続可能性ダッシュボードを利用することで、自社の仮想環境がどの程度のCO2削減に寄与しているのか定量的に確認することができます。現場を知るというのは、サステナビリティーの第一歩ということで、是非お試しください。