こんにちは。VMware の吉田です。VMware Cloud on AWS は、SDDC をパブリッククラウドとして提供するサービスです。今回は、そのサービスの要であるホストの仕様や種類、構成について解説します。2022年10月より新しいインスタンス「i4i.metal」が利用可能になりました。詳細は、ブログ「新しいホストタイプ I4I インスタンスの提供開始」をご覧ください(2022年12月追記)。
VMware と AWS が共同開発したサービス
VMware Cloud on AWS は、 VMware と AWS が共同開発したクラウドサービスです。世界中で展開している AWS のインフラ上に VMware が SDDC 環境を構築し、それをお客様へ提供しています(図1)。このサービスは、オンプレミスの vSphere 環境との親和性が高いため、ユーザーにとってはスムーズにクラウドへ移行でき、オンプレミスとクラウドの両方を一貫性のある管理手法で運用できるなどのメリットがあります。
図1 VMware Cloud on AWS のサービス概念図
同時に、AWS の各種サービスとバックエンドで接続できるため、先進的なクラウドサービスと既存のアプリケーションを容易に連携させることもできます。VMware Cloud on AWS を利用すれば、オンプレミスとクラウドを適材適所で併用し、クラウド移行とアプリケーションのモダナイズを並行して進めるような使い方もできます。
ホスト占有型のサービスだから安心
VMware Cloud on AWS を利用するには、My VMware のアカウントが必要になります。そのアカウントを使い、VMware Cloud サービス上に組織と呼ばれる枠組みを作成します。組織のオーナーはユーザーを追加して VMware Cloud on AWS のサービス利用権限を付与します。権限を付与されたユーザーだけがこのサービスが利用できるようになります(図2)。
図2 VMware Cloud サービスの組織とアカウント
サービスを利用する際、はじめに SDDC とその中に構成される 最初のクラスタを作成します。SDDC とクラスタは、管理コンソールから必要事項(SDDC の名前やホスト台数など)を入力するだけで自動的に作成されます。この時、各ホストにはハイパーバイザーである VMware ESXi の他に VMware vSAN、 VMware NSX、 VMware vCenter などの SDDC コンポーネントが自動的にインストールされ、使用可能な状態で提供されます。ユーザーは、提供されたクラスタ上に仮想マシンを作成して利用します。仮想マシンが必要とするリソースは、オンデマンド拡張または縮小できます。
クラスタを構成する物理ホストは、お客様が占有する形で提供されます。同様にネットワーク、ストレージなどのリソースも他のお客様との間で共有されることはありません。占有型のサービスなのでセキュリティ面でも安心して利用できます(図3)。
なお、物理ホストには Amazon EC2 のベアメタルインスタンスを採用しています。サービスインフラとしてのネットワークには Amazon VPC が採用されており、他のお客様と完全に隔離されています。
図3 ホスト占有型のクラウドサービス
選べるホストの種類
クラスタを構成する際に物理ホストの種類を選択します。2020年10月現在、Amazon EC2 インスタンスの「i3.metal」と「i3en.metal」という二種類のホストからどちらか一つを選ぶことができます(図4)。
図4 ホストの種類とホストあたりの物理リソース容量
ホストの種類を選ぶポイントはストレージ容量です。ホストあたりのストレージ容量は i3en.metal の方が多いため、全体的に CPU やメモリよりもストレージ容量を必要とするお客様に適しています。ちなみに、ホストの種類によって提供されるサービスや機能に差異はありません。クラスタとして構成した時に、CPU やメモリ、ストレージなど利用可能なリソース容量が異なるだけです。
ホストは何台選べる?
VMware Cloud on AWS は、ホスト台数によって利用料金が変わってきます。クラウドのメリットを活かして、できるだけ投資を抑えながら始めたいという場合は、最低2台からクラスタが作成できます。使用したいリソースが足りなくなった場合、ホストを追加すればいつでも増やすことができます。ホストはクラスタあたり最大16台まで増やすことができます。もし、それ以上のリソースが必要な場合は、SDDC の中にもう1つクラスタを追加します。なお、クラスタは SDDC あたり最大10個まで作成でき、ホストは SDDC あたり合計160台まで含めることができます。
ホストの台数を減らせば使用可能なリソースも減ります。ただしサービスの仕様上、一度3台以上で構成したクラスタは、ホスト数を2台以下に減らすことができませんのでご注意ください(図5)。 <2022年3月追記> 2022年より仕様が変更されました。詳細はブログ「VMware Cloud on AWS のホスト構成パターン」をご覧ください。
図5 クラスタあたりのホスト数と拡張性
一方、短期間の検証目的で利用する場合は、1台構成で利用することができます。ただし、あくまで検証目的なので利用期間は30日60日に限定され、VMware Cloud on AWS で定義している SLA は適用されません。30日60日経過するとクラスタは削除されます(図6)。
もし、検証目的で使用している1台構成のクラスタをそのまま本番環境へ移行したい場合は、ホスト数を1台から3台2台に変更することができます。その後は、最大16台までホストを増やせます。なお、一度ホスト構成を3台以上に変更したあとは、前述のとおり2台以下に減らすことはできません。
<2021年6月追記> 1台構成のクラスタを2台構成に変更することが可能になりました。詳細はリリースノートをご覧ください。
<2021年10月追記> 1台構成のクラスタの利用期間が最大60日に延長されました。詳細はリリースノートをご覧ください。
図6 利用目的によるホスト構成と条件の違い
まとめ
VMware Cloud on AWS は、セキュリティ面でも安心して利用できるサービスです。リソースはオンディマンドで必要な分だけ増減できるため、無駄な投資を避けて利用効率を高められます。オンプレミスの運用方法をそのまま活かしつつ、パブリッククラウドのメリットを存分に得られます。今後も VMware Cloud on AWS の魅力を様々な視点からお伝えします。
関連情報リンク
- ブログ「新しいホストタイプ “I4i インスタンス” の提供開始」
- ブログ「VMware Cloud on AWS のホスト構成パターン」
- ブログ「VMware Cloud on AWS のソフトウエア構成とリソース管理」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の責任共有モデル」
- ブログ「VMware Cloud on AWS と AWS の連携」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の最新アップデート(2021年4月)」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の最新アップデート(2021年5月)」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の最新アップデート(2021年9月)」
- ブログ「VMware Cloud Disaster Recovery の最新アップデート(2021年4月)」
- ブログ「VMware Cloud Disaster Recovery の最新アップデート(2021年6月)」
- ブログ「VMware Cloud Disaster Recovery の最新アップデート(2021年8月)」