2021年4月および5月にリリースされた VMware Cloud on AWS に関連する新機能や機能拡張について、主要なものをピックアップしてご紹介します。詳細はリリースノートご覧ください。
目次
SDDC 関連のアップデート
シングルホスト構成から2ホスト構成への拡張をサポート
VMware Cloud on AWS は、期間限定の検証用途として1台のホスト構成でご利用いただけます。これまでは、この「1ホスト構成」を本番環境としてそのまま使い続ける場合、2台のホストを追加して「3ホスト構成」にする必要がありました。今回のアップデートでは、「1ホスト構成」に1台のホストを追加して「2ホスト構成」に変更して本番環境で利用できるようなりました(図1)。この仕様変更により、一度構築した検証環境を削除することなく、コストを抑えながら本番環境へ移行できるようになりました。
図1 1ホスト構成から2ホスト構成への拡張
セカンダリクラスタに2ホスト構成(カスタムコア設定付き)をサポート
SDDC には複数のクラスタを展開できます。1つ目のクラスタを展開した後で2つ目のクラスタ(セカンダリクラスタ)を追加する時、これまでは最低3ホストで構成する必要がありました。今回のアップデートにより、今後は2つ目のクラスタとして「2ホスト構成」のクラスタを追加することができるようになりました(図2)。尚、この「2ホスト構成」クラスタは、クラスタ作成時に CPU コア数が選択できます(現時点でサポートされているホストタイプは i3.metal のみ)。
図2 セカンダリクラスタの「2ホスト構成」
4ホスト(2−2−1)構成のストレッチクラスタをサポート
AWS の Availability Zone (AZ) を跨いで クラスタを構成する「ストレッチクラスタ」機能の仕様が変更されました。ストレッチクラスタを使用する場合、これまでは最低6台のホスト(AZ あたり3ホストで構成)が必要でした。今後は、最低4台のホスト(AZ あたり2ホストで構成)でストレッチクラスタが使用できるようになりました(図3)。ただし、4ホスト構成のストレッチクラスタの可用性は99.9%として SLA にて定義されています(ホストを追加して6ホスト構成のストレッチクラスタに拡張すれば、可用性は99.99%が保証されます)。尚、一度6ホスト構成に増やした後は、4ホスト構成に戻すことができません。4ホストのストレッチクラスタを使用する場合には、これらの SLA とホスト数の制限にご留意ください。これまで、コストの観点でストレッチクラスタの採用を諦めていたお客様は、ぜひとも再検討ください。
図3 4ホスト構成のストレッチクラスタ
ストレッチクラスタ構成でのアベイラビリティゾーン障害時の自動スケールアウト
ストレッチクラスタ環境におけるユーザーの利便性が向上するサービスが追加されました。ストレッチクラスタでは、片方の AZ が障害で使用不要になると、仮想マシンは正常な AZ で再起動される仕様になっています。今回のアップデートでは、AZ 障害で仮想マシンが再起動する時、正常な AZ のクラスタのリソースが足りない場合、自動的にホストが一時的に追加される仕様になりました(一時的に追加されるホストの料金は発生しません)。また、追加されたホストはリソース不足が解消され次第、自動的に除去されます(図4)。尚、現時点でこの機能は確実にホストを追加することを保証していません。この機能は正常な AZ の空きリソースに依存するため、確実にホストが追加されることを保証するものではない点にご注意ください。
図4 AZ 障害時の一時的な自動スケールアウト
周辺サービスとのインテグレーションを強化
Tanzu Application Service 2.11 のサポート
Tanzu Application Service は、モダンアプリケーションのリリースやアップデート、外部サービス接続などが非常にシンプルな操作で実行でき、アプリケーションのライフサイクル管理の複雑性を排除するアプリケーションプラットフォームです。Tanzu Application Service は、AWS や Azure をはじめとしたパブリッククラウドや vSphere などのオンプレミスに展開して利用できるプラットフォームですが、今後は VMware Cloud on AWS 上に展開して利用できるようになりました(図5)。伸縮自在な VMware Cloud on AWS のインフラリソース を Tanzu Application Service が活用できるようになるため、突発的で常に変動するモダンアプリケーションのリソース要求に対しても、オンデマンドで柔軟に対応できるようになります。
図5 Tanzu Application Service が VMware Cloud on AWS をサポート
Tanzu Mission Control における Tanzu Kubernetes Grid Management Cluster の登録をサポート
Tanzu Mission Control は、マルチクラウド環境で Kubernetes クラスタを統合的に管理できるクラウドサービスです。今回のアップデートより、VMware Cloud on AWS 上に展開した Tanzu Kubernetes Grid (TKG) の Management Cluster を Tanzu Mission Control に登録して TKG Cluster を管理できるようになりました(図6)。これによって、TKG Cluster の作成や削除、アップグレードなどを含めたライフサイクル管理が Tanzu Mission Control から一元的に実行できるようになり、VMware Cloud on AWS に展開される Kubernetes プラットフォームの運用効率がさらに向上します。
図6 Tanzu Mission Control による VMware Cloud on AWS の TKG Cluster サポート
VMware Cloud Disaster Recovery のコンプライアンス認定強化
VMware Cloud Disaster Recovery が CSA Trusted Cloud Provider 認定を取得
VMware Cloud Disaster Recovery は、災害対策向けクラウドサービスです。 2021年5月より、VMware Cloud Disaster Recovery は Cloud Security Alliance (CSA) の信頼できるクラウド プロバイダとして Security Trust Assurance and Risk (STAR) – Level 1 として認定・登録されました。CSA STAR は、ユーザーがクラウドプロバイダと契約を行う際の判断に利用できるようにクラウドプロバイダのセキュリティレベルを公開しています。これによって、企業が要求するコンプライアンス準拠の要件を満たすサービスとしてご利用いただけるようになります。尚、自己評価用の Consensus Assessments Initiative Questionnaire (CAIQ)は下記リンクよりダウンロードできます。
- CSA STAR Registry Listing for VMware Cloud Disaster Recovery
- Level 1: Self-Assessment – CAIQ – for VMware Cloud Disaster Recovery
まとめ
VMware Cloud on AWS 自体のサービス仕様は、よりお客様にとって使いやすいものに改善されています。さらに、周辺サービスとのインテグレーションも継続しています。ぜひ VMware Cloud on AWS の更なる進化にご期待ください!
関連情報リンク
- VMware Cloud on AWS リリースノート
- VMware Cloud on AWS の SLA
- Tanzu Application Service 2.11 リリースノート
- VMware Cloud on AWS 向け Tanzu Application Service のインストール手順
- Tanzu Mission Control リリースノート
- システム要件「VMware Tanzu Mission Control Concepts」
- CSA STAR Registry Listing for VMware Cloud Disaster Recovery
- Level 1: Self-Assessment – CAIQ – for VMware Cloud Disaster Recovery
- ブログ「VMware Cloud on AWS のホスト構成」
- ブログ「VMware Cloud on AWS のソフトウエア構成とリソース管理」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の最新アップデート(2021年4月)」
- ブログ「VMware Cloud Disaster Recovery の最新アップデート(2021年4月)」
- ブログカテゴリ「Tanzu」
- ブログカテゴリ「クラウド運用・管理」