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vROps 6.7は初心者に優しい!#5

5回目:vSAN運用管理者にはvROpsは欠かせないツール
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#1:仮想基盤のパフォーマンスは使用率だけでは図れない
#2:アラートからブレイクダウン
#3:仮想マシンのリストはカスタムビューで
#4:6.7バージョンはメトリックの活用がポイント
#5:vSAN運用管理者にはvROpsは欠かせないツール
日本ヒューレット・パッカード株式会社の中川明美です。
5回目は「vSAN運用管理者にはvROpsは欠かせないツール」です。
vSAN監視のために、vROpsとの連携が強化されていますね。6.7からは「vCenter Server の vRealize Operations Managerプラグイン」が提供されています。
先日弊社教育サービスに、パートナー様から、「エンドユーザー様からのご依頼により、vROpsの知識を身につけたい」とお問い合わせがありました。
「vSANの運用監視のためにvROpsの活用方法をお知りになりたいのでしょうか」とお尋ねしたところ、「vSAN前提で、vROpsの設計から学習したい」というご要望でした。
vSANの運用監視をされるのはエンドユーザー様ですから、vSANの導入が増えるにしたがい、vROps連携の依頼も増えるのかもしれませんね。
vROps 7.0からはVMware Cloud on AWSと連携することも可能です。連携する対象が増え、この数年vROpsの啓もう活動をしてきた私には楽しい状況です(笑)。
vCenter ServerでもvSANの基本的なパフォーマンスメトリックを監視することはできます。vSANのパフォーマンスメトリックは他のメトリックとは異なり、vCenter Serverに保存されず、 vSANデータストアに存在するオブジェクトとして格納されます。データを表示できる時間は1時間から24時間、保持日数は90日間です。vROpsのデータ履歴の保持期間はデフォルト6か月です。
KB:How to configure Data Retention in vRealize Operations Manager 6.x and later (2147600)
加えて、vROpsはvCenter Serverにはないメトリックの提供、収集したデータのカスタマイズ表示が可能です。
先に、「vCenter Server の vRealize Operations Managerプラグイン」からご紹介します。
◆vCenter Server の vRealize Operations Managerプラグイン◆
vSphere Clientから、「VMware vROps Client Plugin」を確認できます。

ホームまたはメニューから、「vRealize Operations」を選択します。

プラグインを使用する場合は、この画面から「インストール」または「既存インスタンスの構成」を選択し、進めます。完了後、表示されるまで多少のタイムラグがあります。vSANはvCenter Serverより数分遅れて表示されます。

<vCenter ServerのvRealize Operations Manager プラグインのドキュメント>
詳細は次のドキュメントを参照ください。
https://docs.vmware.com/jp/VMware-vSphere/6.7/com.vmware.vsphere.vrops/GUID-57D6EFBD-3FD2-4EDC-A754-594F7AFE546E.html


画面右側の「クリック リンク(赤枠)」メニューから、vSANの画面に切り替えます。また「vRealize Operations(緑枠)」リンクをクリックすると、新規タブにvROpsのログイン画面が表示されます。

< vSANの概要 >
すべてのvSANクラスタを対象に、「最低限このメトリックのみ確認しておけばよいでしょう」というデータが表示されています。アラートの「詳細表示 (赤枠) 」をクリックすると、このプラグイン内のアラートリストの画面に遷移します。

< vSANのクラスタ ビュー >
「クラスタの変更 (赤枠)」から、各vSANクラスタのデータへ切り替え、1つのクラスタのメトリックを確認することができます。
1点気になるのが、「最終更新日(緑枠)」の時刻はJST (Japan Standard Time) ですが、各メトリックの時刻はUTC (Universal Time, Coordinated) で表示されているようです。黒いポップアップはグラフの一番右にマウスを合わせ表示しています。
下図では、最終更新日は12:40 PM、ポップアップの時刻は3:26です。9時間ほどの差があります。この時刻はHost Clientで確認するUTCの時刻とほぼ一致しています。
「vSANの概要」も合わせ、ここは注意点かもしれません。

< vSANの アラート >
vSANクラスタ内のアラートを表示します。

ここからは、vRealize Operationsです。
◆vRealize OperationsのvSANダッシュボード◆
vROps 6.7では事前に提供されるvSANに関するダッシュボードが4つあります。
ここでは、「vSAN運用概要」と「vSANへの移行」の2つのダッシュボードを取り上げます。

< vSAN運用概要 >
vSANのプラグインはvSANに特化したデータ表示ですが、vROpsは一画面でコンピュータリソースのデータも表示されます。CPUやメモリリソースも同時に確認できます。
ディスクデータの赤色の点線枠は現在の値です。現在値と履歴トレンド (傾向) がわかるのは便利です。
ディスクに関する値はTB (テラバイト) で表示されています (青色の点線枠) 。大容量のサイズを構成していない場合は、単位はGB (ギガバイト) の方が把握しやすいかもしれませんね。

ダッシュボードの「ウィジェットの編集 (鉛筆のアイコン) 」をクリックし、編集画面から表示する単位を変更することができます。カスタマイズにはAdvanced以上のエディションが必要です。

この環境のディスクサイズは少量のため、単位をGBに変更したことで管理しやすくなりました。事前に提供されるダッシュボードもカスタマイズするとより使いやすくなりますね。

< vSANへの移行 >
非vSAN (従来の) データストアまたはvSANデータストア内の仮想マシンのストレージメトリックを監視することができます。以前のバージョンの「vSANデプロイの最適化」ダッシュボードと比べてシンプルになりました。仮想マシンのディスクパフォーマンスを考慮しつつ、非vSANデータストアとvSANデータストアとの間で仮想マシンの移行の検討をすることができます。

◆ご紹介ドキュメント◆
このBlogを執筆するにあたり、参考にした英語のドキュメントを共有します。

◆まとめ◆
vROpsのバージョンが上がると、vSANとの連携が強化されますね。
vSANの運用管理は、Web Clinet、vSphere Client、Host Clientからもできますが、仮想基盤全体のメトリックの集約と分析にはvROpsの出番です。パフォーマンスはコンピュータリソースの視点も必要です。vROpsを使用して、コンピュータリソースが必要なのか、ディスク容量が必要なのかを把握できます。さらにvRealize Log Insightも準備すれば、重要なログインベントメッセージの検索が容易になります。トラブルシューティング時は安心ですね。先にご紹介したvSANのドキュメント内にLog Insightのデモがあります。ぜひご確認ください。
こちらでご紹介した内容が、みなさんのお役に立てたなら幸いです。