6回目:V4HでHorizon RDSホストの監視
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#1…最新のV4Hが使いやすくなっている!
#2…ビューの活用方法①
#3…ビューの活用方法②
#4…レポートの活用方法
#5…vRealize Log Insightとの連携
#6…V4HでHorizon RDSホストの監視
こんにちは、ソフトバンク コマース&サービスの中川明美です。
今回は、番外編として、VMware vRealize Operations for Horizon (V4H)の「Horizon RDSホスト」の監視を取りあげます。なぜ追加で取りあげることになったのか?
RDSホスト(RDSH)を使用する環境で、V4Hのよさを伝えるためにはどうしたらよいかとご相談を受けたからです。その相談に回答するように、RDSHの監視のポイントをご紹介します。
◆V4Hでは何を監視する?
「最新のV4Hが使いやすくなっている!」でお伝えした通り、V4Hはセッションやログオン時間などユーザーに関連するデータを監視します。
RDS(リモートデスクトップサービス)は、セッションの仮想化(Server Based Computing)とも言いますから、RDSホストをV4Hで監視するのは適していますね。
◆SBC(Server Based Computing)とVDI(Virtual Desktop Infrastructure)の違いは?
左図がSBC、右図がVDIの違いを説明するイメージ図です。では、これらの環境を準備する目的は何でしょうか?
「OS/アプリケーションの運用管理コストを削減したい」「働き方変革に取り組みたい」というご要望から、OS/アプリケーションの仮想化が検討されます。そして、その環境をユーザーへ提供するための方法として、SBCまたはVDIが選択肢にあげられますね。
先の目的をふまえ、ユーザーがアプリケーションを使用するための接続先として、次の3つがあげられます。「仮想マシンベースのデスクトップ」「セッションベースのデスクトップ」「セッションベースのアプリケーション」です。この環境があれば、ユーザーは場所を意識することなく、業務を実施することができます。
VMware Horizon 6.x以降では、「セッションベースのデスクトップ」はRDSデスクトッププールで、「セッションベースのアプリケーション」はアプリケーションプールで構成します。RDS(リモートデスクトップサービス)はWindows Server 2008 R2以降から提供されているサービスです。それ以前はターミナルサービスと呼ばれていました。
そして、RDSのサービスの1つである「RDSホスト(RDセッションホスト)」が、ユーザーにデスクトップセッションとアプリケーションセッションを提供します。
各種プールをまとめます!
- 「手動/自動デスクトッププール」は、物理/仮想マシンが対象であり、デフォルトは1台のマシンに1人のユーザーがリモートアクセス可能です。「仮想マシンのデスクトップ」を提供する方法です。
- 「RDSデスクトッププール」はセッションが対象であり、RDSホストにおけるデスクトップセッションをユーザーに提供します。RDSホスト上のデスクトップセッションは複数のユーザーによる同時利用が可能です。
- 「アプリケーションプール」もセッションが対象であり、複数のユーザーにアプリケーション配布が可能です。アプリケーションは、ファーム内のRDSホスト上で実行されます。
RDS環境で、「OS/アプリケーションの仮想化」を運用管理する場合、セッションがポイントとなりますね!
では、V4Hの画面から、RDSに関するどんな情報が得られるのかを、ダッシュボードごとに確認します。
◆Horizon RDS プール
「Horizon RDS プール」タブでは、「ファーム」「RDSデスクトッププールと「アプリケーションプール」のセッション数を確認することが可能です。
ファームは、RDSホストの集まりです。ユーザーが接続すると、ファーム内のRDSホストが選択され、セッションが提供されます。ファーム内のRDSホストの数は、ロードバランスの可否や提供したいアプリケーションによって検討する必要があります。
下図では、ファーム内でデスクトップとアプリケーション(ここではInternet Explore)のセッションが1つずつ提供されています。RDSホストの最大セッション数(接続数)は、デフォルト150です。設定値を無制限にすることも可能です。設定値は、RDSホストのキャパシティに応じて決めることをお勧めします。V4Hを導入後、最適な値を設定するのも一つの方法です。
キャパシティを判断する際に参考になるのが、同じタブ内にある次の情報です。
ヒートマップの健全性、トップN のCPUワークロードやPCoIP遅延などのリソース状況です。この情報から、現在のキャパシティに適した接続数であるかを判断できますね。
ファーム内に複数のRDSホストが追加されている場合は、ロードバランス(負荷分散)されます。ユーザーに新規セッションが提供される際、ファーム内で利用可能なセッション数が多いRDSホストや、CPU/メモリの負荷が低いRDSホストが選択されます。リソースでのロードバランスは、事前にスクリプトを構成する必要があります。
https://pubs.vmware.com/horizon-7-view/index.jsp#com.vmware.horizon-view.administration.doc/GUID-54966EA2-8542-43B1-A5D4-60C8B21C0AC8.htm
◆Horizon RDS ホストの詳細
「Horizon RDS ホストの詳細」タブでは、各RDSホストの情報が得られます。
V4Hは同じデータの視点を変えて表示されます。RDSホストのキャパシティに関する情報はこちらのタブの方が多くを確認できますね。
また、ユーザーがどの程度リソースを使用しているかは、管理者にとって気になるところです。「RDSホストのプロセスとユーザー」では、「サーバーサービス」「サーバープロセス」「サーバーユーザー」のリソース使用状況を取得できます。下図は、「サーバーユーザー」を取得した画面ショットです。
「ユーザーリソース消費量」では、デスクトップセッションとアプリケーションセッションを別に確認することも可能です。
◆Horizon アプリケーション
「Horizon アプリケーション」タブでは、アプリケーションプールで構成したアプリケーションの状況を確認することができます。
左の「アプリケーションプール」では、アプリケーションのインスタンス数(起動数)と起動平均時間(秒)、相関関係の情報を得られます。「アプリケーションプールの関係」では、そのアプリケーションセッションを利用するユーザー名や提供するRDSホストが存在するファームの名前を確認することができます。
「アプリケーションインスタンス」では、アプリケーションセッションを提供するRDSホストの名前や、そのセッションのリソース使用状況を確認することができます。
◆セッション
最後に、セッションのカウント方法をご紹介します。接続するRDSホストの数=セッション数です。
たとえば、左図は複数のアプリケーションが1台のRDSホストで提供されているパターンです。アクセスするRDSホストは1台ですから、セッションは「1」です。
右図は、各アプリケーションが各RDSホストで提供されているパターンです。接続するRDSホストごとにセッションをカウントしますから、セッションは「2」です。
次は、ファームで提供するアプリケーションが異なるパターンです。これは上図のパターン2と同様の考え方です。アクセスするRDSホストは2台ですから、セッションは「2」です。セッション数のカウント方法はシンプルですね!
◆まとめ
V4Hでの監視対象はおもにユーザーセッション関連です。
仮想デスクトップもRDSHも、セッションやPCoIP遅延の情報を監視するのは同じです。異なるのは、基盤の部分です。
仮想デスクトップは1ユーザーにつき仮想マシンが1台提供され、RDSは複数のユーザーにRDSホストのセッションが提供されます。
vROpsは仮想マシンのリソース状況を監視しますね。V4Hは、vROpsで対象となる仮想マシンを、提供するサービスによって「仮想デスクトップ」や「RDSホスト」と呼び、セッション状況を監視します。
1ユーザーが使用する仮想マシン(仮想デスクトップ)のセッション/リソース状況を確認するのか、複数ユーザーが使用する仮想マシン(RDSホスト)のセッション/リソース状況を確認するのか、の違いです。
呼び方が変わる、機能がAdd-Onされると、複雑に感じますね。しかし、何を監視対象としているのかの区別がつけばシンプルになります。
アプリケーションの仮想化は、働き方改革により注目されていますね!
VMware Horizon環境下で、RDSHを使用する場合は、合わせてV4Hでの運用管理も検討いただければと思います。
ソフトバンクC&SのサイトでvROpsを使用した仮想化健康診断の事例を紹介しています。ここでは、「vSphere環境を運用管理している方が何に困っているのか」「その困ったことにパートナーのみなさまがどのようにアプローチされているのか」を載せています。インタビュー形式で構成しています。ぜひお仕事に役立つ情報を手に入れてください!