皆様、こんにちは。VMware山口です。
正常に動いている仮想環境に手を入れる(バージョンアップ)のはあまり気が進まないと思います。しかし新機能は使ってみたい。
今回は、そんな旧バージョン VMware vSphere (以降vSphere)をお使いの方が、vSphere の最新バージョンに移行するための簡単移行方法をご紹介します。
あまりに簡単で拍子抜けしてしまうかもしれませんが、それもまたサーバ仮想化の恩恵の一つです。
最新バーションを利用するメリットは第1回のこちらをご覧下さい。
公式のアップグレードの方法は、こちらをご参照ください。
公式のアップグレード方式は基本的にインプレースアップグレード(既存環境そのものをアップグレード)になります。
今回ご紹介するのは、名付けて” 頭据え替え移行 ”とでも呼びますでしょうか。
弊社のKBでも紹介されている方式を活用した移行方法となっています。
詳しくはこちらをご参照ください。
この移行のメリットは、新旧環境の平行稼働が可能で、仮想マシンを自分のタイミングで移行してみて、
問題があれば、簡単に戻せる点です。
逆にデメリットは、旧 VMware vCenter Server(以降vCenter)の リソースプールや HAなどの設定情報が引き継げない点ですがメリットにもある通り平行稼働できますので、前を参考にし、動きを確認しながら引き継げます。
また、同様にこれまで蓄積したパフォーマンスなどの統計情報が持ち運べないという点です。
まさに割り切りタイプの移行と言えますので、これを了承頂ける方のみで実施をお願いいたします。
早速ですが、図の仮想環境例を使って、手順概要を確認していきます。
★既存仮想環境例★
・vCenter 4.1U1
・ESXi 4.1 U1
・ホスト3台
・共有ストレージ (iSCSI)
図1:vSphere 4.1U1 の仮想環境の例<ステップ1>
①VMware ESXi 5.5 (以降ESXi)をインストールします。
この例では3ホストあるので、旧環境を縮退させて、1ホストに新しくインストールします。
注1)お持ちの ESXi ホストが vSphere の最新バージョンに対応しているかは、こちらで確認してください。
注2)新しくインストールする前に、ESXiは元に戻せるよう、バックアップを取得して実施をお勧めします。
ESXiホストのバックアップ・リストアはこちらを参考にしてください。
②新しくインストールしたホスト上に vCenter 5.5 アプライアンスをインストールします。
なお、新環境では、vCenter アプライアンスを強くお勧めします。
Linux ベースの仮想アプライアンスなのでインストールもあっと言う間に終わります。それでいて大規模環境にも対応するスペックを持っています。
詳しくはこちらをご参照ください。
図2:vSphere 最新バージョンのインストール<ステップ2>
③新vCenter 配下に新ESXiを所属させたら、旧環境のデータストア(仮想マシンが格納されている)を
新環境に参照させます。
④新vCenterより、データストアブラウザを利用して、移行対象の仮想マシンをインベントリ登録します。
わずかこれだけで、新環境へ仮想マシンを移行したことになります。
再度、戻したい場合は、旧vCenterで再度インベントリ登録をしてあげればOKです。
図3:新旧環境のデータストア共有とインベントリ登録<ステップ3>
⑤最新バージョンの機能をフルに使う為には、仮想マシンバージョンをアップグレードする必要があります。
この例ですと、仮想マシンバージョン7−>10にします。
注3)この操作で旧環境に戻すことが出来なくなるので、旧環境でクローンなどで一時的にバックアップしておくことをお勧めします。
⑥最後にデータストアのファイルシステムをアップグレード(VMFS3ー>5)します。
注4)これも旧環境では参照できなくなりますので必ず仮想マシンの移行がすべて終わってから実施してください。
図4:仮想マシンバージョンとVMFSのアップグレード最後に、ライセンスですが、お試し頂く場合は、評価ライセンス版の60日で対応お願いします。
本格的に移行する際、お持ちのライセンスが最新バージョンに対応していない場合は、アップグレードする必要があります。
こちらを参照ください。
★★おまけ★★
実際の移行オペレーションで重要なポイントを解説動画でご案内します。
ステップ1:②vCenterアプライアンスインストール時のポイント
★初期セットアップ時のIPアドレス設定
初回アクセスの為に設定するIPアドレスにテクニックが必要です。
vCenterアプライアンスは初回起動時、IPアドレスが設定されていない為、DHCPクライアントの状態です。
デプロイされたVM NetworkにDHCPサーバが存在しない場合は、IPアドレスが付与されない状態で起動しますので
手動設定が必要です。詳しくは、こちらの動画をご覧下さい。
★デフォルトパスワード変更
必ずデフォルトパスワードを変更してください。また、デフォルトですと90日でパスワードが失効するように
設定されています。失効してしまうと復旧させるのがとても大変なので必要な方はこれを無効にしてください。
vCenterアプライアンスの管理画面にて、Adminタブ>Administrator password expiresをNoに変更し、Submitをクリック
詳しくは、こちらの動画をご覧下さい。
ステップ2:③、④の手順で特にははまりポイントはありませんが、こちらの動画をご覧下さい。
★移行後、仮想マシンを初回起動する際に、コピーしたか移動したかの設問があります。
ステップ3:⑤、⑥のアップグレードはもとに戻せなくなるので注意しながら実施してください。
⑤対象の仮想マシンを右クリック>すべてのvCenterアクション>互換性>仮想マシン互換性のアップグレード
⑥対象のデータストアを右クリック>すべてのvCenterアクション>VMFS-5へアップグレード
★VMware toolsも最新版にあげておくことをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?
既存環境をさわるのは、ちょっと気がすすまないけど、新しいvSphereの機能は使ってみないなぁー
という皆様、ご覧の通り平行稼働できますので是非お試しください。
〜本シリーズの流れ〜
–第1回 最新版 vSphere を使おう!~簡単バージョンアップのご案内~メリット編
-第2回 最新版 vSphere を使おう!~簡単バージョンアップのご案内~vCenter Server 編 本記事
-第3回 最新版 vSphere を使おう!~簡単バージョンアップのご案内~便利ツール vSphere Update Manager 編 Coming soon!