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VMware NSXとTrend Micro Deep Securityで実現する仮想化セキュリティの最適化(8)

エージェント型とエージェントレス型の使い分けのポイント

トレンドマイクロ VMwareテクニカルアライアンス担当 栃沢です。
前回までエージェントレス型セキュリティ対策を提供するDSVAでウイルス対策、侵入防御をどのような仕組みで提供しているかを解説してきました。
Deep Securityにはエージェントによるセキュリティ保護も可能ですが、うまく使い分けて頂くことでよりセキュアなインフラ環境を構築することが可能です。
今回はこれからDeep Securityの導入を検討している、またはこれから実装する!といった皆様に向けて、エージェントレス型のDeep Security Virtual Appliance(DSVA)とエージェント型Deep Security Agent(DSA)の使い分け、組み合わせのポイントを解説していきたいと思います。

DSVA/DSAで提供できる機能の違い
まずは、DSVAとDSAで提供できる機能について見てみましょう。

※GI:VMware NSX にてGuest Introspectionが有効である必要がある機能
※NI:VMware NSX にてNetwork Introspectionが有効である必要がある機能
※OSのバージョン、ディストリビューション毎の対応状況の詳細については、Supported features by platformをご確認ください。

詳細部分で機能、OS毎に対応できる内容に差異がありますが、大枠は上記で確認を頂けると思いますが、特に以下の点は見落としがちな内容ですので、留意してください。

  • DSVAによる推奨設定の検索は、Guest Introspectionが有効である必要がありますので、Linux OSの仮想マシンで侵入防御機能を利用する場合には利用できません。推奨設定の検索を利用する場合にはDSAが必要となります。
  • Webレピュテーションはネットワーク系のプロセスで処理を行うため、DSVA環境ではNetwork Introspectionを有効にする必要があります。
    (Deep Security Virtual Appliance ウイルス対策では不正プログラム対策とWebレピュテーションが利用できますが、Network Introspectionが利用できるVMware NSXライセンスが必要になります。)

DSVAとDSAを組み合わせて利用もできる
DSVAはVMware vSphere/VMware NSXと連携をしてセキュリティ機能を提供していますが、DSVAで保護しているESXiホスト上にDSAが導入された仮想マシンを稼動させることも可能です。

DSVAとDSAで予め決められたルール(アフィニティルール)に従って、保護機能を分担してセキュリティ機能を提供します。これをコンバインモードといいます。コンバインモードについては次回詳しく解説します。

上記のようにDSVAとDSAが混在した環境でも利用することができるため、サーバ環境で複数の機能を利用したい場合でも柔軟に設計することが可能です。

まとめ ~ DSVAとDSAを使い分ける上でのポイント
DSVAとDSAの機能の違いとESXiホスト上での基本的な動作仕様を踏まえて、導入されるケースとして多い組み合わせをいくつかご紹介しておきます。

  • 仮想デスクトップ環境でWindows OSを展開してウイルス対策を行いたい場合にDSVAを利用する。(Webレピュテーションを利用する場合にはVMware NSXでNetwork Introspectionを有効化する必要あり)
  • LinuxサーバとWindowsサーバが混在する、またはWindowsサーバが大多数を占める環境において、Windowsサーバは機能に応じてDSVA、LinuxサーバはDSAにて保護する。
  • セキュリティログ監視、アプリケーションコントロールが利用したいユーザでサーバ環境を全面的にDSAで保護する。実際にはシステム環境に応じてさまざまなケースがあると思いますが、DSVA/DSAそれぞれでできることを理解頂きながら、うまく使い分けて頂ければと思います。

執筆者:
トレンドマイクロ株式会社
セキュリティエキスパート本部
パートナービジネスSE部 パートナーSE2課
栃沢 直樹(Tochizawa Naoki)

【VMware NSXとTrend Micro Deep Securityで実現する仮想化セキュリティの最適化】

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