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ここが変わった! VMware vSphere 6.5 Part2

日本ヒューレット・パッカード株式会社の中川明美です。
今回はvSphere 6.5から提供される、「vCenter Server Appliance の高可用性」と「vCenter Server ApplianceとPlatform Services Controllerアプライアンスのファイルベースのバックアップとリストア」についてご紹介します。

#1: vCenter Sever Appliance_1 (コンポーネントおよびサービス / スケーラビリティ)
#2: vCenter Sever Appliance_2 (高可用性 / バックアップとリストア)
#3: 仮想ハードウェア Version 13 / VMware Tools Version 10.1
#4: 3つの管理ツール (vSphere Host Client / vSphere Client / vSphere Web Client)
#5: vSphere HA (Proactive HA / ホスト障害への応答 / 仮想マシンで許容するパフォーマンス低下)
#6: vSphere DRS (Predictive DRS / その他のオプション)

vCenter Server停止時の影響範囲は?

VMware製品に初めて関わる方からは、vCenter Server停止時の影響範囲についてよく質問されました。プリセールス時には可用性も含めて提案しますから気になりますね。
最近はvCenter Server停止時の質問は減りましたが、復習をかねて影響範囲について確認しましょう。
vCenter Serverが停止して困るのは、vCenter Serverが提供している機能を使用できない時です。たとえば、仮想マシンのクローン作成やvMotion(仮想マシンの移行)を行う時です。
vSphere HAや分散スイッチは、新規作成や設定変更時にはvCenter Severが稼働している必要があります。しかし機能の継続には支障ありません。vSphere HAや分散スイッチは、ESXiホスト側で管理する仕組みを持っているからです。
最近の質問は、「vCenter Single Sign-Onサービスが停止したら、vSphere Web ClientからvCenter Serverにログオンできなくなるの?」です。次から次へと疑問は尽きませんね。

Platform Services Controller (PSC) の可用性

こちらのBlogでは、vCenter Serverの可用性を中心に進めます。vCenter Single Sign-Onサービスを含むPSCの可用性については、組み込みのPSCか外部のPSCを選択するかで方法が異なります。組み込みのPSCはvCenter Serverを保護すれば同時にPSCも保護されます。
外部のPSCの可用性については、こちらをご確認ください。
http://pubs.vmware.com/vsphere-65/index.jsp#com.vmware.psc.doc/GUID-62CC201A-01ED-4116-8604-FF123481DAFC.html

vCenter Server の可用性

vCenter Serverを長く停止させるわけにはいけませんから、少しでもダウンタイム (サービスの停止時間) を短くする方法を検討する必要があります。
vCenter Serverの可用性については、いくつかの方法が提供されてきました。シンプルな方法として選択されてきたのはvSphere HAですね。
vSphere 6.5では、vCenter Server Applianceを対象に、「vCenter High Availability」が追加されました。ハードウェア障害からの保護だけではなく、 パッチ適用などサービスを停止しなければならない際にダウンタイムの短縮に役立ちます。

<補足情報>

vSphere 6.0のドキュメントになりますが、vSphere HAとMicrosoft Cluster Serviceで構成するvCenter Serverの可用性についてまとめられています。参考にしてください。
http://pubs.vmware.com/vsphere-60/index.jsp#com.vmware.vsphere.vcenterhost.doc/GUID-4A626993-A829-495C-9659-F64BA8B560BD.html
以下はvCenter Server の高可用性に関する VMware の KBです。こちらも参考にしてください。
-英語版-
Supported vCenter Server High Availability Options
https://kb.vmware.com/kb/1024051
-日本語版-
サポート対象の vCenter Server 高可用性オプション
https://kb.vmware.com/kb/2089839

vCenter High Availability

vCenter HAは3つのvCenter Server Applianceインスタンスから構成します。
1つ目のインスタンスは、Activeノードとして使用されます。Activeノードのクローンが2回作成され、Passiveノードと監視ノード用に構成されます。
Activeノードに障害が発生すると、自動的にPassiveノードに役割を引き継ぎます。監視ノードはクォーラムを提供し、スプリットブレインの状態から保護します。
vSphere 6.5から提供される機能ですから、ESXiホストも6.5で構成できればよいですね。
vCenter HAのハードウェア要件とソフトウェア要件はこちらをご確認ください。
http://pubs.vmware.com/vsphere-65/index.jsp#com.vmware.vsphere.avail.doc/GUID-8FD87389-8CC9-4298-8B08-A1526FB44524.html

設定方法はシンプルです。下図のウィザードにあるように、vCenter HAネットワーク用のIPアドレスを設定します。環境に応じて、「Passive」と「監視」の仮想マシンをどのESXiホスト、どのデータストアに配置するかを指定します。事前にESXiホスト上にvCenter HAネットワーク用のポートグループを作成しておく必要があります。

vCenter Server ApplianceおよびPlatform Services Controllerアプライアンスのバックアップ

vSphere 6.0から、vSphere Data Protectionを使用して、vCenter Server、vCenter Server Applianceまたは Platform Services Controller を含む仮想マシンのイメージベースのバックアップができるようになりましたね。vCenter Serverを、vSphere Data Protection アプライアンスが実行されているESXi ホストに直接緊急リストアできることは特徴の一つです。

<補足情報>

vSphere Data ProtectionはvSphere 6.5が最後の提供となります。
https://blogs.vmware.com/partnernews/2017/04/vsphere-dp-eol.html

vSphere 6.5 では、vCenter Server Appliance 管理インターフェイスを使用して、vCenter Server Appliance と Platform Services Controller アプライアンスのファイルベースのバックアップを提供します。バックアップはvCenter Server Appliance 管理インターフェイスを、リストアはvCenter Server Applianceの GUI インストーラを使用します。

< vCenter Server Appliance 6.5のバックアップ>

vCenter Server Appliance 管理インターフェイス (https://vCetner Server ApplianceのFQDN or IPアドレス: 5480) を使用してバックアップします。

バックアップデータは、指定したリモート システム(たとえばFTPサーバー)に、HTTPS/ HTTP/ SCP / FTPS/ FTPのいずれかを使用してストリーミングされます。

< vCenter Server Appliance 6.5のリストア>

リストアは、次の2つの手順で実施されます。

  1. vCenter Server Appliance 6.5 Installerでovaファイルのデプロイ
  2. vCenter Server Appliance 管理インターフェイスでバックアップデータの転送


1の手順でovaファイルのデプロイ完了後、 vCenter Server Appliance 管理インターフェイスへリダイレクトされ、2の手順のリモートシステムにあるデータを、新しくデプロイされた vCenter Server Appliance にコピーします。
リストア後、vCenter Server Applianceと Platform Services Controller アプライアンスのデプロイタイプにより、スクリプト /usr/bin/vcenter-restore を実行します。
詳しくは、こちらをご確認ください。
http://pubs.vmware.com/vsphere-65/index.jsp#com.vmware.vsphere.install.doc/GUID-67C7D3ED-2A52-4960-95EC-03C4EE3F5E34.html

◆まとめ◆

今回は、vSphere 6.5で提供された、vCenter HAとvCenter Server Appliance と Platform Services Controller アプライアンスのファイルベースのバックアップをとりあげました。
可用性については、vSphere HAを選択するべきか、vCenter HAを選択するべきか。
vSphere HAはDRSの非アフィニティルールと構成することを推奨しています。vCenter HAはESXiホストが3台以上およびDRSを構成することを推奨しています。vSphere HAもvCenter HAも1つのvCenter ServerライセンスとvSphere Standardのライセンスで構成可能です。DRSを使用するならvSphere Enterprise Plusのライセンスが必要です。
どちらの機能を選択し、どのように設計(構成)するかは、運用コストの費用対効果を考慮する必要がありますね。
Windows版のvCenter Serverの場合は、vSphere HAまたはMicrosoft Clustering Serviceのどちらかを検討することになります。
次にバックアップですが、サードパーティ製品を使用して仮想マシンのバックアップを取られていることが多いと思います。コスト面からvSphere Data Protection を検討されていた方もいらっしゃるかと思いますが、先に述べたようにvSphere 6.5が最後のリリースとなりますからご注意ください。
vCenter Server Applianceをご使用であれば、正常に動作するアプライアンスを復元できるようにバックアップデータを取りますから、こちらもお勧めかもしれません。
次回は仮想ハードウェア Version 13  VMware Tools Version 10.1ついてご紹介します。