日本ヒューレット・パッカード株式会社の中川明美です。
vSphere 6.0とvSphere 6.5の違いを尋ねられることが多くなりました。そのご質問に、こちらのBlogで回答します!
また、バージョンアップ時にプリセールスのみなさまからよくご質問をいただく内容をふまえ、vSphere 6.5の変更点をお伝えします。次の6回構成です。
#1: vCenter Sever Appliance_1 (コンポーネントおよびサービス / スケーラビリティ)
#2: vCenter Sever Appliance_2 (高可用性 / バックアップとリストア)
#3: 仮想ハードウェア Version 13 / VMware Tools Version 10.1
#4: 3つの管理ツール (vSphere Host Client / vSphere Client / vSphere Web Client)
#5: vSphere HA (Proactive HA / ホスト障害への応答 / 仮想マシンで許容するパフォーマンス低下)
#6: vSphere DRS (Predictive DRS / その他のオプション)
1回目と2回目は、vCenter Server Applianceのアップデートについてです。併せてWindows版との違いも説明します。
■ vCenter Server Applianceに含まれるソフトウェア ■
vCenter Server Appliance 6.5は、下表のソフトウェアで構成されます。
6.5からPlatform Services ControllerとvCenter ServerはPhoton OS上で動作します。Project PhotonはVMwareがコンテナ向けにリリースした軽量Linux OSです。
Update ManagerはvCenter Server Appliance 6.5ではサービスとして提供されます。そのためインストール不要です。Windows版のUpdate Managerはコンポーネントとして提供されるため、従来通りインストールが必要です。
vCenter Server Appliance 6.5は仮想ハードウェアバージョン10 (ESXi 5.5以降でサポートされるバージョン) で提供されます。仮想ハードウェアバージョン10ですから、vCenter Server 6.5は、ESXi 5.5以降のホストまたはvCenter Server 5.5 以降のインスタンスのインベントリに含まれる ESXi ホストまたは DRS クラスタにデプロイできます。
~ハードウェアリプレース時~
ハードウェアリプレース時には、vSphereの移行方法(導入手順)に関わるため、最新のvCenter Serverの配下に既存のESXiホストが動作可能なのかをよく尋ねられます。
下図は、「VMware Product Interoperability Matrices」の画面ショットです。vCenter Server 6.5ではESXi5.5以降のホストを配置可能です。
■ vCenter Serverのコンポーネントとサービス ■
6.0と6.5で、「Platform Services Controller」と「vCenter Server」のコンポーネントがインストールされるのは変わりません。「Platform Services Controller」は6.0から提供されているコンポーネントです。
6.5で追加されたサービスは、Webブラウザを使用するvSphere ClientとUpdate Managerです。先に述べたとおり、Update ManagerはAppliance版に追加されます。
Syslog CollectorはWindowsと明記しているとおり、Windows OS上にインストールするサービスです。vCenter Server ApplianceでのLog収集はLinux OS に組み込みの Rsyslogサービスを使用します。
ESXiホストにLocalディスクを搭載しない場合は、トラブルシューティングのためにDump CollectorやSyslog Serverを別途準備しておく方がよいですね。
■ vCenter Serverのスケーラビリティ ■
vCenter Serverのキャパシティについてです。6.0と6.5では約2倍の差があります。
Appliance版とWindow版のデータベースにかかるコストで比較すると、ESXiホストを20台以上管理する場合、vCenter Server Appliance 6.5に分がありますね。
最大構成数は、パブリックのドキュメントを参照しています。
vCenter Server Appliance 6.5は上表から判断できるように、外部データベースをサポートしません。Window版でサポートしている外部データベースの詳細はこちらでご確認ください。
http://www.vmware.com/resources/compatibility/sim/interop_matrix.php#db
◆参考情報◆
ハードウェア要件とポート情報を付記します。
■ Platform Services Controllerのハードウェア要件 ■
規模に関わらず、2 個の vCPU と 4 GB メモリです。
■ vCenter Serverのハードウェア要件 ■
規模に合わせて、ハードウェア要件は異なります。Window版は最小推奨ハードウェア要件となりますから、vCenter Serverに同居するサービスによってメモリサイズを考慮した方がよいと思います。
■ Platform Services Controller アプライアンスのストレージ要件 ■
Platform Services Controller アプライアンスのストレージ要件は 60 GB です。
■ vCenter Server Applianceのストレージ要件 ■
このストレージ要件には、vCenter Server Appliance でサービスとして実行される vSphere Update Manager の要件も含まれています。インストール中に3つのストレージサイズを選択することが可能です。
■ Windows での vCenter Server および Platform Services Controller の最小ストレージ要件 ■
各フォルダの最小ストレージ要件は、インストール時のデプロイ モデルによって異なります。
■ vCenter ServerおよびPlatform Services Controllerに必要なポート ■
必要なポートはこちらで確認できます。
http://pubs.vmware.com/vsphere-65/index.jsp#com.vmware.vsphere.install.doc/GUID-925370DD-E3D1-455B-81C7-CB28AAF20617.html
◆まとめ◆
1回目は、Platform Services ControllerとvCenter Serverの概要についてでした。
プリセールスの方には必要なコンポーネントやハードウェア要件を、導入エンジニアの方には設定値レベルで必要な情報と思われるものをリストアップしました。
今後は、vSphere 5.5からvSphere 6.xにアップグレードされるお客様が増えてくるのではないかと思います。今回のテーマの5.5と6.xの違いは、vCenter Single Sign-OnがvCenter Serverコンポーネントに存在するか否かです。
6.5のアップデートでは、Enterprise Plusを前提とする機能も散見しますが、それらはパフォーマンスを改善する機能として提供されます。
2回目はvCenter Server Applianceの高可用性とバックアップです。お楽しみに!