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ヴイエムウェア20周年:技術本部長が語るVMware 25年史

日本法人の設立から20周年の節目を迎えた2023年4月に、ヴイエムウェアでは日頃お世話になっている国内を代表する記者やアナリストの皆さまを招待したイベントを開催しました。

第3回目となる今回は、ヴイエムウェアの執行役員 パートナー技術本部 本部長の名倉 丈雄が、米国本社の25年史を振り返りました。1998年に創業したVMwareが、どのような成長を遂げてきたのか、日本法人の立ち上げから歴史を間近で見てきた名倉が語ります。

 

なお、第1回目は社長の山中のプレゼンテーション、第2回目は株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト 入谷 光浩様の講演の様子を紹介しています。併せてご覧ください。

 

  • 5人の技術者で創業した25年の歴史を振り返る

本社の歴史を語るために、名倉は1998年の創業から現在までをまとめたサイトを紹介しました。

https://www.vmware.com/jp/timeline.html

 

1998年に5人で創業したVMwareは、年内に社員数を20名にし、翌1999年にVMware 初の製品となった Workstation 1.0 をDEMO 1999 で発表しました。2002年には、複数のサーバーを統合して、物理デバイスの台数を削減できる画期的な製品として、初のハイパーバイザーとなる ESX Server 1.5 がリリースされました。

 

名倉は、日本法人が設立された2003年からエンジニアとして働いてきました。その当時のエピソードについて「お客様の環境に伺って、仮想インフラストラクチャを構築するために、サーバーを設置して、ソフトを入れて、本当に動くのかを検証して、安心して導入してもらう、という業務を繰り返していました。競合他社もいましたが、確実に動作することを愚直に証明してきた取り組みが、お客様から信頼を得られた大きな違いでした」と振り返りました。

2004年に、初の VMworld カンファレンスが開催され、名倉も日本から参加し、「2000年代の後半になると、CPUの性能を向上させるために、動作周波数を高くする技術も限界が見え始め、CPU内のコアを増やし処理の並列性を高める方向にシフトしていった。それ以降、段階的に業界全体が仮想化をベースにした製品計画を推進するようになりました」と仮想化の大きな流れに触れました。

米国では、2007年に本社を Stanford Research Park のパロアルト キャンパスに移転しました。そのキャンパスに作られた池について、「13匹のカメが育てられていますが、そのうちの何匹かは、創業時から飼われていたそうで、まだ元気に生きているらしいです」と振り返りました。

 

  • データセンターの仮想化を加速したBCPへの取り組みとSDDC戦略

2009年からは、データセンターも仮想化の時代になり、日本でも東日本大震災を経験した企業の多くが、BCP(事業継続性)の観点からデータセンターの仮想化を加速するようになりました。その当時の印象について「震災の被害を受けたデータセンターの中で、一番早く復帰できた環境が、仮想化基盤でした。早いところでは、翌日に復帰していました。それに対して、物理環境で構築されていた基盤は復旧に1週間を要していたケースもありました。この経験から、データセンターでも仮想化を導入する流れが加速しました」と名倉は語りました。

 

BCPの重要性を痛感した日本企業には、あらゆる局面で仮想化のメリットが浸透していきました。そして、3代目CEOにパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏が就任した2012年には、ストレージやネットワークの仮想化を前提とした設計によるSoftware-Defined Data Center(SDDC)戦略が推進されました。

 

  • データセンターとクラウドを架橋しトランスフォーメーションに向けて前進

「2010年代のVMwareは、インフラの仮想化を目指していました。そして、2016年にAWS(Amazon Web Services)との提携を発表してから、データセンターとクラウドを架橋し、複数のクラウドを制限なく運用できるという基盤からの独立を実現しました。さらに、2019年にはPivotal と Carbon Blackを買収し、アプリとかネットワークとかシステムを基盤から持ち上げて、ワンレイヤー入れることで、共通の基盤をどこもでも動かせるインフラの抽象化というメリットをお客様に提供できるようになりました」と名倉はイノベーションの歴史と最新の取り組みに触れました。

 

そして、「日本法人で20年が経ちましたが、毎年毎年、新しいテクノロジーが登場し、飽きることがありません。これからも、お客様とパートナーとともに、トランスフォーメーションに向けた前進のための選択肢を提供していきます」と締めくくりました。

 

これで全3回にわたるヴイエムウェア20周年を機に開催した懇親会の様子を紹介するレポートは完結です。今後もヴイエムウェアは、新たな時代へつなぐ架け橋になれるよう、願っております。