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ヴイエムウェア20周年:アナリストが語る日本のITインフラの20年

日本法人の設立から20周年の節目を迎えた2023年4月に、ヴイエムウェアでは日頃お世話になっている国内を代表する記者やアナリストの皆さまを招待した懇親会を開催しました。

第2回目となる今回は、ゲスト講師として株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト 入谷 光浩様(以下、入谷氏)を迎え、「アナリスト視点でITインフラの動向を振り返る」と題して講演していただきました。入谷氏には、ITインフラの変遷を通して、仮想化技術によるITインフラ革命のこれまでと未来についてお話しいただきました。

なお、第1回目は、社長の山中のプレゼンテーションの様子を紹介しましたので、こちらも併せてご覧ください。

 

  • ITインフラの変遷と革命の歴史

講演の冒頭で、1980年代から現在に至るITインフラの変遷史についてお話しいただきました。

入谷氏は「2000年代に入ると、オープン系ITインフラが急速に普及して、x86系(インテルアーキテクチャ)サーバーが、物凄い量で出荷されていきました。その結果、マシンルームにx86サーバーやブレードサーバーを集約したラックが大量に設置され、その運用負担も増加したと思います。その中で注目されたのが、ハイパーバイザーによる仮想化でした。さらに、2010年代に入ると、サーバーからストレージにネットワークまで仮想化が広がっていきました」と2000年代の前半を振り返りました。

その当時の印象について、「初めてサーバー仮想化の取材をしたときには、『仮想化なんてパソコンの技術でしょ』とか『企業のITシステムでは使えないよ』といった反応でした。ただ、結果的に仮想化はIT基盤のデファクトになりました。2009年にVMworldの会場で”hello freedom”という言葉を目にしたときに、熱量を感じました。今ではサーバーもストレージもネットワークもアプリも仮想化で抽象化され、ハードウェアにとらわれずに構築や変更ができるようになりました。まさに仮想化技術はエンジニアに自由を提供したことによってITインフラに革命をもたらしたと思います。」と話しました。

  • ITインフラ視点で捉えるクラウドの変遷

続いて入谷氏は、クラウドサービスの歴史について、ITインフラの視点から捉えたスライドを示しました。

「仮想化技術によるITインフラの革命は、現在のIaaSにつながるITの大きなイノベーションだったと思います。AWSが登場したときに、「ホスティングと何が違うの?』とか『コンシューマービジネス向け?』や『セキュリティへの不安』といった懐疑心がありました。そして、仮想化の延長で構築できる『なんちゃってクラウド』も登場してきました。しかし、大きな転機になったのは、東日本大震災の経験から『事業継続と災害対策』への必要性が高まり、オンプレミスからパブリッククラウドへの検討が広がりました」と入谷氏は2011年までの歴史を振り返りました。

そして、「VMwareからSDDC構想が発表されると、日本のベンダーもプライベートクラウドを普及させていきます。2014年から15年にかけては、メガIaaSも台頭してきて、パブリッククラウドも先進企業を中心に導入が進みます。さらに、DXが推奨されるようになると、適材適所でクラウドを活用するマルチクラウドも活発になってきました」と2010年代の後半を分析しました。

さらに、「2020年のCOVID-19によって、一気にデジタル化が加速しました。クラウドファーストへの流れが進み、今に至っています」と整理しました。

 

  • ITインフラから産業のデジタルインフラへの発展

仮想化からクラウドまでのITインフラ変遷を振り返った入谷氏は、「これからのITインフラは『産業のデジタルインフラ』へと発展していくでしょう。これまでのように、IT分野でクラウドを用するだけではなく、企業のOT(オペレーショナルテクノロジ)や社会インラなどが、どんどんつながっていきます。その発展のためには、エッジコンピューティングが重要になります」と指摘し、「さらにIT企業は、サステナビリティコンピューティングや、ダイバーシティ&インクルージョンなど、率先して持続可能な社会に向けた貢献をするべきだと考えます」と締めくくりました。

 

次回は、執行役員 パートナー技術本部 本部長の名倉 丈雄による米国VMware 25年の振り返りについてお伝えします。