クラウド クラウドマネジメント

マルチクラウド環境における複雑性の解消

この記事は、キット・コルバート(Kit Colbert)が執筆したブログの翻訳版です。

ここ数年間、マルチクラウド戦略を策定することの重要性について、いくつもの寄稿や講演を行ってきました。(参照:「The Cost of Cloud, and the Need for a Multi-Cloud Strategy(クラウドのコスト、そしてマルチクラウド戦略の必要性)」、「Cloud Infrastructure Transformation(クラウド インフラの変革)」、「VMware’s Approach to Multi-Cloud: A Strategy or an Inevitable Outcome? (Or both?)(マルチクラウドに対する VMware のアプローチ:戦略か、必然の結果か、その両方か)」、「Multi-Cloud: What to Expect in 2022(マルチクラウドに関する 2022 年の予測)」)マルチクラウドによって、エッジを含め、複数のクラウドをまたがって企業がアプリケーションやサービスを実行できるようになると、システムのスピード、規模、選択肢は大きく拡大します。

しかし、複数のクラウド プロバイダーを活用する状況は、徐々に複雑さを増すことになります。開発者にとっては、クラウドごとに異なる開発ツールや API を導入しなくてはならず、アプリケーションの展開、セキュリティ、データの管理が難しくなります。新たなクラウドとその基盤技術を追加導入するたびに、企業のテクノロジー担当者にはさらなる負荷がかかることになります。

マルチクラウドを活用する企業に共通のトレンドは、DevSecOps、Kubernetes などのインフラ、管理/ガバナンスなど、さまざまな面からクラウド間の標準化を推進するサービス セットを構築することです。これは、マルチクラウドのメリットを享受しながら一定レベルの一貫性を実現するためです。しかし、各社が独自にサービスを構築するよりも、マルチクラウド向けのサービス セットがはじめからあればいいですよね?

そこで登場したのが VMware Cross-Cloud Services です。一連の SaaS サービス群でサポート インフラ基盤を含め、アプリケーションのライフサイクルを幅広くカバーする設計となっています。複数のクラウドでアプリケーションやサービスを展開する際に生じるさまざまな問題を軽減し、どのクラウド上でもアプリケーションの構築、実行、管理、接続、保護、アクセスを同じ方法で行えるようにします。

例えば、DevSecOps の整合性について考えてみましょう。企業が求めているのは、どのクラウド上でも同じようにアプリケーションを構築、展開、保護、運用するための標準的な方法です。このような DevSecOps の基盤となる機能をクラウド間で提供するのが、Tanzu Application Platform(TAP)です。TAP があれば、開発者はクラウド インフラ基盤とのインターフェイスを介することなく迅速にコードを改善し、開発のスピードを劇的に向上させることができます。また、Tanzu for Kubernetes Operations によって、複数のクラウド間をまたがる Kubernetes クラスタの管理、監視、保護も可能です。

フェイルオーバーやフェイルバックにも VMware Cross-Cloud Services を活用できます。一般的にパブリッククラウドには高い信頼性がありますが、複数のアベイラビリティゾーン(AZ)またはリージョン全体がダウンする可能性もあります。そのため、バックアップだけでなくアプリケーションも含めてセカンダリ クラウドに切り替えることができれば、大きなメリットになります。そこで VMware Cross-Cloud Services は、この機能をシームレスにサポートしています。最初のクラウドが復旧した時点で、VMware Cross-Cloud Services によるフェイルバックが可能になります。

マルチクラウド アーキテクチャの適切な実装とは、モジュール性、選択性、一貫性を実現し、クラウド管理者と開発者が行うサービスの管理と利用に役立つものでなければなりません。VMware ソリューションを活用してマルチクラウド環境の複雑性を軽減する方法については、最近開催された Multi-Cloud Briefing の動画をご覧ください。VMware の技術者とお客様が、それぞれの組織でどのようにマルチクラウドを活用しているかを説明しています。

また、皆様がマルチクラウド環境の複雑性にどのように対処しているか、コメントをお寄せください。幅広いご意見をお待ちしております。

 

キット・コルバート(Kit Colbert)
キット・コルバートは、VMware の最高技術責任者(CTO)として、VMware のエンジニアリング部門全体の技術戦略、イノベーション、普及活動、SaaS トランスフォーメーションを推進しています。過去には、VMware においてクラウド担当 CTO、クラウドネイティブ アプリケーション事業部のゼネラルマネージャ、CTO などを務めました。