みなさま、こんにちは!マイクロソフトの前島です。
前回・前々回の2回に渡って AVS 機能アップデート10選をご紹介しましたが、AVS の進化はそれら機能だけにとどまりません。今回および次回(*)は、皆様がより安心してご利用いただけるように改良を重ねる AVS の “機能以外の強化点“をピックアップしてご紹介します。
(*1話にまとめるつもりでしたが、思っていたよりもボリュームが増えてしまったため、2回に分けてお届けします!)
- VMware 製品の AVS サポート
- 両社の AVS 専任チームによる提案支援
- エンタープライズグレードとしてのコンプライアンス強化
1. VMware 製品の AVS サポート
一点目は VMware との連携強化です。AVS は Microsoft が提供するファーストパーティサービスですが、より良いサービスを提供していくうえで VMware との連携が重要なのは言うまでもないでしょう。
歴史的には”競合”という関係で語られることが多かった VMware と Microsoft ですが、この数年間でその関係性は劇的に変わりました。Azure VMware Solution をはじめ、Horizon Cloud on Microsoft Azure, NSX Cloud on Azure, Azure Spring Cloud/VMware Tanzu on Microsoft Azure, VMware SD-WAN with Azure Virtual WAN Hub など、非常に広範囲なサービスが両社の連携によって提供されており、クラウド時代の、そしてデジタルトランスフォーメーションを支えるサービスを提供する不可欠なパートナーになっています。
AVS を軸に見た場合、AVS 本体を両社で共同開発しているのはもちろん、現在では多くの VMware 製品が AVS をサポートするようになっています。ここ数か月で行われた発表をピックアップしてみましょう。
- VMware Site Recovery Manager is now generally available for Azure VMware Solution
災害対策ソリューションとして実績豊富な Site Recovery Manager (SRM) が、AVS を正式サポートするようになりました。”オンプレミスと AVS 間での DR (Disaster Recovery) ”および ”複数 Azure リージョン間での AVS 同士の DR” どちらのシナリオでも SRM をご利用いただけます。
なお SRM を利用するためには、SRM アプライアンスおよび vSphere Replication アプライアンスを最初に導入する必要がありますが、これらは Azure ポータルからワンクリックでインストールまたはアンインストールすることができます。
- VMware vRealize Cloud Management tested and certified with Azure VMware Solution
VMware のハイブリッドクラウド管理製品群である vRealize Cloud Management が、AVS を正式サポートしました。既存環境で vRealize 製品 (vRealize Operations 等) を利用している場合に、その管理対象として AVS を加えることができるほか、SaaS 版 (vRealize Automation Cloud 等) から AVS を管理することもサポートされます。
- New VMware Tanzu Support for Azure VMware Solution
Kubernetes を中心にコンテナ化アプリケーションの運用管理を提供する Tanzu が、AVS をサポートするようになりました。たとえば AVS 上でも Tanzu Kubernetes Grid を展開し、アプリケーション開発基盤として AVS をご活用いただけます。
また AVS からは話が逸れますが、フルマネージ型の Tanzu サービスである Azure Spring Cloud Enterprise が発表されるなど、さらに多くの選択肢をご提供できるようになっています。
- Announcing VMware NSX Advanced Load Balancer (Avi) for Azure VMware Solution
NSX Advanced Load Balancer (旧称: AVI Networks) も、AVS の正式サポートを開始しています。AVS で展開される vCenter や NSX Manager と連携させることができ、負荷分散(L4-L7 ロードバランサー)、WAF、リアルタイムアプリケーション分析などの高度なネットワークセキュリティ機能を活用できます。
VDI ソリューションである VMware Horizon も、AVS の一般提供が始まったその日からサポートしています。Azure ファミリーである AVS では、VDI シナリオでよく使われる弊社ソフトウェア(Windows 10 や Microsoft 365 Apps for enterprise) に対するライセンス上のメリット(*)があり、多くのお客様が仮想デスクトップ基盤としても AVS を活用されています。
(*ライセンス上のメリットは第6回記事で解説しています)
2. 両社の AVS 専任チームによる提案支援
このような製品サポートを実現するために、両社の開発部門間で密接な連携が行われていることはもちろんですが、両社の関係は製品開発・サポート部門だけにとどまりません。実は VMware にも Azure VMware Solution 専任のプリセールス組織があり、VMware として長年培ってきた知見を活かしながらお客様のクラウド化を支援しています。日本でも、AVS 専任のスペシャリスト(八田さん)やソリューションアーキテクト(バスカさん)が在籍しており、お客様/VMware/MS 3社で会社の垣根を超えてディスカッションし、次世代のシステムアーキテクチャーを決めていくケースも珍しくなくなっています。
手前味噌ですが、ZDNet にて両社の AVS 専任チームによる対談記事(オンプレミスのVMware製品による仮想化環境をクラウドに簡単移行。より安く、セキュアに使える「Azure VMware Solution」)が公開されていますので、お時間のある時にぜひご一読ください。
3. エンタープライズグレードとしてのコンプライアンス強化
3つ目のトピックは、セキュリティや法令順守などのコンプライアンスです。クラウドで提供されるサービスは、クラウドプロバイダーに一定の運用管理をお任せいただく形になるため、プロバイダーやサービスが信頼できるかどうかは極めて重要です。信頼の測り方にはさまざまな方法がありますが、国や地域あるいは業界が定めるコンプライアンス規格の第三者認証を受けているかは、多くのお客様にとって重要な指標でしょう。
Microsoft ではお客様が安心してクラウドをご利用いただけるよう、さまざまなコンプライアンスへの準拠を行っています。AVS も例外ではなく、国際規格である ISO 27001/27017/27018 やクレジットカード情報の取り扱いに関する国際セキュリティ基準である PCI DSS など、主要なコンプライアンスに対応しています。最近では、米国政府のクラウド調達セキュリティ基準である FedRAMP High レベルの認定を取得しました。
Azure VMware Solution achieves FedRAMP High Authorization | Azure updates | Microsoft Azure
なお、「日本版 FedRAMP」とも呼ばれる ISMAP (日本の政府情報システムのためのセキュリティ評価制度) においても、今年6月に AVS を含むほぼすべての Azure サービスが認証登録されています。ISMAP 登録を受けて、最近ではパブリックセクターのお客様からも AVS に関するご相談をいただく機会が増えています。
ISMAP への Microsoft の取り組みについては、下記ドキュメントをご参照ください。
情報システム セキュリティ管理および評価プログラム (ISMAP) – Microsoft Compliance | Microsoft Docs
なお主要コンプライアンスの抜粋になりますが、各 Azure サービスがどのコンプライアンス認定を取得しているかは一覧として公開しています。仮にみなさまの会社あるいは業界として求められるコンプライアンスに未対応だった場合は、ぜひ弊社担当営業にご相談ください。需要の高いものから継続的に、認証拡充に努めています。
まとめ
今回は Azure VMware Solution に関連する “機能以外の強化点“として、3つの項目をご紹介しました。他にもまだまだご紹介したい改善点がありますので、次回記事で解説していきます。