皆様こんにちは、VMwareの塚田と申します。
今回は、8月末に米国サンフランシスコで開催されたVMworld 2014にて発表された数あるトピックより、比較的大きな注目を集めたVMware EVO:RAILに関連するセッションを取り上げ、より詳細な情報をご紹介致します。
VMworldでは、VMware EVO:RAILに関連するセッションが複数提供されました。本ブログ記事ではその中から下記セッションのの内容に沿ってVMware EVO:RAILについて紹介致します。
- SDDC3245 (Software-Defined Data Center through Hyper-Converged Infrastructure)
- SDDC2095 (Overview of EVO:RAIL: The Radically New Hyper-Converged Appliance 100% Powered by VMware)
Hypver-Converged Infrastructure – SDDC導入に最適化されたアプローチ
今年のVMworldにおける弊社からの発表、または発信内容のテーマの一つがSoftware-Defined Data Center(以下SDDC )の推進です。
SDDCにおいては、サーバ、ストレージ、ネットワーク等のデータセンター内のハードウェア資源は全てソフトウェアによって仮想化および抽象化され、リソースプールとして利用可能になります。また、それら仮想化されたリソースの運用管理はソフトウェアやAPIによって自動化され、ビジネス部門やITサービスの利用者からの要求に迅速に応えられようになります。
お客様が自社のITインフラをSDDCへ移行させたい、あるいは新規に導入したい、と考えられた時、お客様が取りうる導入方法(アプローチ)は下記の3通りのいずれかであるとVMwareは考えます。
- Build Your Own(アラカルト)
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- サーバやストレージ、ネットワーク機器などのハードウェア、仮想化ソフトウェア、管理ソフトウェアなどを個別に選択して調達し、お客様に合わせて統合する
- 利点:お客様の要件に沿ったカスタマイズが可能であり、構成上の自由度が最も高い
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- Converged Infrastructure(統合インフラストラクチャ)
- サーバ、ストレージ、およびネットワーク機器が単体シャーシ、またはラック内に工場出荷時に構成済み。ソフトウェアはオプションとして選択可能。
- 利点
- パッケージ済みなので購入が容易
- お客様に合わせてカスタマイズが可能
- 一本化されたサポート窓口
- Hyper-Converged Infrastructure(高度な統合インフラストラクチャ)
- 仮想化ソフトウェアとハードウェア(サーバ、ストレージ、ネットワーク)がSDDCを前提として統合済み
- それらのために最適化された管理ソフトウェアも同梱
- 利点
- 購入が容易
- ハードウェアとソフトウェアがSDDC向けに設計済み
- より短時間で導入可能
- 一本化されたサポート窓口
SDDC実現への3番目のアプローチであるHyper-Converged Infrastructure の特徴は、その用途をSDDC実現のために絞り込み、導入にかかる事前検討や調整の対象を徹底的に削減していることです。その代わり、カスタマイズの自由度が下がったり、拡張性に制限がかかったりするなどのトレードオフが伴いますが、SDDC実現を最優先にしたアーキテクチャであると言えます。
SDDC向け専用アプライアンス – VMware EVO:RAIL
VMware EVO:RAILは、このSDDC向けのHyper-Converged Infrastructureのアーキテクチャに沿ったハードウェア アプライアンスです。
VMware EVO:RAILは、2RUのシャーシ内に4台のサーバノードが搭載され、各ノードは次のようなスペックを備えています。
- Intel Xeon E5-2620 v2プロセッサ(6コア)x 2
- 192GBメモリ
- ストレージ
- 146GB SAS HDD、または32GB SATADOM(ESXiの起動ディスク)
- 400GB SSD x 1
- 1.2TB SAS HDD x 3
- ネットワーク
- 10Gb Ethernet x 2
- 100Mbps/1Gbps管理用NIC x 1
また、下記のソフトウェアが予め組み込まれています。
- vSphere 5.5(Enterprise Plusエディション)
- VMware Virtual SAN
- VMware vCenter Log Insight
- EVO:RAIL Engine
VMware EVO:RAILはサーバノード間の共有ストレージを持っていません。その代わり、各サーバノードが内蔵しているSSDとHDDをVMware Virutal SANによって共有データストアとして使用します。
SDDCの導入と管理の複雑性を排除した管理ソフトウェア「EVO:RAIL Engine」
また、EVO:RAIL Engineは、VMware EVO:RAILのための管理用ソフトェアです。お客様は、VMware EVO:RAILの最初のセットアップから仮想マシンの作成など毎日の運用までを、このEVO:RAIL Engineで行うことが可能です。
VMware EVO:RAILをセットアップをする際は、PCからHTML5対応ブラウザを使って接続すれば開始可能です。セットアップにあたってESXiやvCenter Server、VSAN等に関する知識やスキルは必ずしも必要ではなく、インフラのことを意識せず、仮想マシンの作成や運用に専念することが可能です。
セッションでは、EVO:RAIL Engineを使うことにより、VMware EVO:RAILの初期化から最初の仮想マシンを作成するまで約15分で完了するデモを紹介していました。
また、EVO:RAIL Engineは最大4台までのVMware EVO:RAILを管理することが可能であり、増設もとても簡単です。2台目以降のVMware EVO:RAILをネットワークへ接続すると、クラスタへ自動的に追加され、コンピュート(CPU, メモリ)とストレージそれぞれの容量が自動的に拡張されます。一般的なサーバ用途の仮想マシンであればVMware EVO:RAIl 1台あたり100台、仮想デスクトップ(VDI)用であれば仮想マシンを同250台まで作成可能です。アアプライアンスを追加することにより、サーバならば最大400台、仮想デスクトップであれば最大1,000台まで拡張することが可能です。
VMware EVO:RAILはOEMパートナーから提供されます
ここまでVMware EVO:RAILの説明をして参りましたが、VMwareが「EVO:RAIL」というハードウェア製品を開発し販売するわけではございません。この点はくれぐれもご注意ください。
VMwareはVMware EVO:RAILを構成するためのソフトウェア(vSphereやEVO:RAIL Engine等)を開発し、これのOEM契約を結んだパートナー(以下EVO:RAILパートナー)各社へ提供しています。EVO:RAILパートナーが、このEVO:RAILソフトウェアと各社が開発、または調達したハードウェアを組み合わせ、各社それぞれのVMware EVO:RAILアプライアンスを開発し提供します。
本ブログ執筆時点でのVMware EVO:RAILのOEMパートナーは、Dell, EMC, Fujitsu, Inspur, Super Micro、およびネットワンシステムズの6社です。特にネットワンシステムズは、VMware EVO:RAILに基づくアプライアンス製品「NetOne Integrated System Appliance for VMware EVO:RAIL」を10月1日より販売開始することを発表されました(ネットワンシステムズによる発表資料へのリンク)。他のOEMパートナーからも日本国内でのVMware EVO:RAILアプライアンスの発表が続くと予想されますので是非お待ち下さい。
VMware EVO:RAILはOEMパートナーから提供されます
まとめ – VMware EVO:RAILの利点
ここまで述べてきました通り、 VMware EVO:RAILは、VMwareが推進するアーキテクチャ “Software-Defined Data Center” (SDDC)を実現するために特化したインフラストラクチャ アプライアンスです。これを用いる利点を再度まとめてみます。
SDDCのための基盤を最速で導入、構築することが可能。
VMware EVO:RAILは、SDDCのためのインフラとして求められる性能や信頼性、拡張性を備えながら、複雑性を徹底的に排除しています。セットアップ時に必要な設定項目もIPアドレスや管理者のパスワードなど必要最小限にとどめられています。また、ハードウェア、およびソフトウェアが相互に密に連携しています。それらのため、導入後最短15分で最初の仮想マシンを起動することが可能なくらい、SDDCを最速で構築することが可能です。
基盤構築や運用のために仮想化技術やハードウェアの専門知識は必須でありません
VMware EVO:RAILの運用管理は専用の管理用ソフトウェア”EVO:RAIL Engine”を用います。その操作にあたっては、VMware ESXiやvCenter Server等の仮想化ソフトウェア、そしてサーバやストレージ等ハードウェアに関する知識も必須ではありません。また、それらの技術に精通した専門家を雇用しづらい組織や、専門家が配置されていない拠点においてもSDDCのための基盤を導入することが可能です。
拡張が非常に容易、そのため常に最適な構成で利用可能
VMware EVO:RAILは最大4台(サーバノードは最大16台)まで拡張することが可能です。また、増設も非常に容易です。EVO:Engineが増設されたシャーシを認識すると、追加されたCPU, メモリ、HDDやSDD等のリソースが利用できるよう自動的に再構成します。その間も、仮想マシンを稼働させ続けられます。
このように拡張が非常に容易なので、必要になった時にリソースを追加することが可能です。そのため、お客様は常にジャストサイズの構成のVMware EVO:RAILを利用することが可能であり、過剰なリリースを抱える必要はありません。
以上