VMware Cloud on AWS クラウド

VMware Cloud on AWS の最新アップデート(VMware Explore 2022 の発表内容)

2022年8月29日から9月1日の間(米国時間)、米国サンフランシスコで開催された VMware の年次イベント「VMware Explore 2022」にて VMware Cloud on AWS 関連の新しい発表がありました。今回はその中から主要なものをピックアップしてお伝えします。

 

目次

 

 

新しいホストの選択肢「i4i.metal」をサポート

VMware Cloud on AWS は、複数の物理ホスト(Amazon EC2 ベアメタルインスタンス)で構成されたクラスタを Software-Defined Data Center (SDDC) としてサービス提供しているものです。

VMware Cloud on AWS のユーザーは、最初にホストの種類と台数を指定してクラスタを作成します。この時、選択可能なホストは「I3 インスタンス (i3.metal)」と「I3en インスタンス (i3en.metal)」の2種類でした。今回のイベントでは、3種類目の選択肢として「I4i インスタンス (i4i.metal) 」を追加することを発表しました。

図1 VMware Cloud on AWS で選択可能なホスト(2022年9月14日:図中の表現を一部変更および注意事項を追加しました。2022年10月17日:I4i インスタンスのストレージ容量を訂正しました。202211月16日:I4i インスタンスの CPU スペックを訂正しました)

i4i.metal は、従来の i3.metal インスタンスと比較して約2倍の CPU 物理コア数、2倍のメモリー、3倍のストレージ容量を搭載しており、I/O 処理性能にも優れています。メモリリソースを多く消費するアプリケーションやインメモリデータベース、トランザクションが多いデータベース等に適しています。

今回ラインナップに追加された i4i.metal は、当社会計年度における2023年度第3四半期中(2022年7月30日〜10月28日)にリリース予定です。国内では東京リージョンから提供予定です。尚、大阪リージョンついては、本日時点でアマゾン ウエブ サービス(AWS)より i4i.metal が提供されていません。

 

 

 

NFS データストアをサポート

VMware Cloud on AWS の SDDC 環境のストレージは、物理ホストに搭載された NVMe SSD で構成する vSAN ベースのストレージが標準のデータストアとして提供されています。今回のイベントでは、標準ストレージ以外のクラウドストレージサービスを NFS データストアとして利用可能になることが発表されました。NFS データストアとしてサポートするストレージサービスは「VMware Cloud Flex Storage」と「Amazon FSx for NetApp ONTAP」の2つです。詳細は記事の後半をご覧ください。

図2 NFS データストアのサポートを発表

 

NFS データストアをサポートすることによって、物理ホストを追加しなくてもストレージだけ追加・拡張させることができるようになります。SDDC のクラスタで、CPU とメモリリソースは余っている状況で、ストレージ容量だけが足りない場合、NFS データストアを活用すれば無駄なく効率的にストレージが調達できます。

 

 

 

新しいクラウドストレージサービス「VMware Cloud Flex Storage」の発表

NFS データストアのサポートと同時に、新しくクラウドストレージサービスを提供することも発表しました。それが「VMware Cloud Flex Storage」です。このサービスで提供されるストレージ領域を VMware Cloud on AWS のクラスタから NFS データストアとして利用できます。オペレーションは VMware Cloud サービスに統合されており、数クリックでプロビジョニングできます。

図3 新しいクラウドストレージサービス「VMware Cloud Flex Storage」

 

尚、ストレージの容量と性能はそれぞれ拡張可能であり、堅牢かつ安全なストレージ設計になっています。VMware Cloud Flex Storage は、2023年度第3四半期中(2022年7月30日〜10月28日)にリリース予定です。国内のリリースは、第4四半期(2022年10月29日〜2023年1月下旬)を予定しています。

 

 

 

「Amazon FSx for NetApp ONTAP」をサポート

AWS が提供しているストレージサービス「Amazon FSx for NetApp ONTAP」を VMware Cloud on AWS のクラスタから NFS データストアとしてサポートすることも発表しました。オンプレミスデータセンターで NetApp 製品を利用している企業にとっては、クラウドでも同等のストレージ機能を活用したいと考える管理者は多いと思います。VMware Cloud on AWS が このサービスをサポートすることで、クラウド活用の幅が広がります。是非とも利用をご検討ください。この仕組みは、2023年度第3四半期中(2022年7月30日〜10月28日)に利用可能になる予定です。

図4 Amazon FSx for NetApp ONTAP を NFS データストアとしてサポート

 

尚、NFS データストアとして SDDC のクラスタと Amazon FSx for NetApp ONTAP 間を接続する場合、VMware Managed Transit Gateway が必要です。詳細は、リファレンスアーキテクチャ「Amazon FSx for NetApp ONTAP Integration with VMware Cloud on AWS」をご覧ください。

 

 

 

新しいリソース消費モデルサービス「VMware Cloud Flex Compute」の発表

今回、新しい消費モデルサービスも Preview として発表しました。それが「VMware Cloud Flex Compute」です。VMware Cloud Flex Compute は、物理ホスト単位での契約は不要で、小さなリソースプール(CPU、メモリ、ストレージ)と隔離されたネットワークを提供し、アプリケーションのニーズに応じて柔軟にリソースを拡張できるサービスです。

図5 新しい消費モデルサービス「VMware Cloud Flex Compute」を発表

 

リソースの払い出しや仮想マシンの作成などの操作は、 VMware Cloud サービスのコンソール画面から行います。リソースの払い出しは数分で完了するので、急にリソースが必要になった場合にも有効です。比較的小規模な環境や限られたリソースだけ必要な場合に利用すると、コスト面でも効率的に利用できます。

尚、VMware Cloud Flex Compute は、2023年以降にリリース予定です。サービス自体は現在開発中であり、リリース時に変更される可能性がありますが、操作画面のイメージ動画がこちらで公開されているのでご覧ください。ユーザーの視点から考えてもクラウドを活用する幅が広がるサービスと言えます。ご期待ください!

 

 

 

ランサムウエアの復旧支援機能「VMware Ransomware Recovery for VMware Cloud DR」の発表

VMware の DRaaS として提供している「VMware Cloud Disaster Recovery」のアドオンサービスとして、ランサムウエア被害から安全かつスムーズに復旧できる機能「VMware Ransomware Recovery for VMware Cloud DR(以下 VMware Ransomware Recovery)」を追加することを発表しました。この機能は、オンプレミスデータセンターの災害対策として VMware Cloud on AWS と VMware Cloud Disaster Recovery を採用している環境で利用できます。

図6 安全かつスムーズな復旧を実現する「VMware Ransomware Recovery for VMware Cloud DR」

 

データセンターでランサムウエア攻撃を受けた後、システムを復旧するには攻撃される前のバックアップデータから復元する必要があります。今回発表した VMware Ransomware Recovery を利用すると、管理者は VMware Cloud Disaster Recovery にバックアップしたデータから最適なリカバリポイント(攻撃前のスナップショット)の候補を容易に特定できるようになります。

さらに、データセンターから隔離されたクラウド上で素早く仮想マシンを復元した後、スキャンを実行して安全性を確認できます。隔離されたクラウド上で安全性が確認できたら、データセンターにシステム全体を復旧させるというオペレーションが実現できます。尚、VMware Ransomware Recovery は、2023年度第3四半期中(2022年7月30日〜10月28日)にリリース予定です。

 

 

 

まとめ

ここで紹介した以外にも VMware Cloud on AWS の機能拡張等が多く発表されました。それらの内容も順次ブログでご紹介します。

また、今回発表した内容については、日本で開催する「VMware Explore 2022 Japan」(11月15日、16日の2日間で開催)でも詳しく披露します。企業の皆様に役立つ最新情報やお客様事例など多彩なセッションをご用意しています。是非ともご参加ください!

 

 

 

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