6 月の Blog で、ヴイエムウェアが今年の新卒社員研修を初めて完全ハイブリッド型で実施したことをご紹介しました。今回取り上げるのは、そのハイブリッド研修環境のインフラを陰で支えた IT チームの仕事ぶりです。
ヴイエムウェアの社内 IT インフラの構築・管理を行っているのは、通称 CET(シー・イー・ティー:Colleague Experience & Technology)と呼ばれる IT 運用のプロフェッショナル・チームです。ヴイエムウェアの日本国内ではたった 4 名という少数精鋭のメンバーで構成されています。
CET は一体どんな仕事をしているのか? 今日はその活動内容について詳しくご紹介します。
CET チーム:(左から)下出 憲政、橘 明香、石井 純也、羅 正圭
新卒研修のハイブリッド研修環境を準備
2021 年 秋、COVID-19 の影響が長引く中、年明け 4 月にヴイエムウェアに入社してくる新卒社員のための IT 研修の準備が始まりました。しかし、その前に大きく立ちはだかったのが、リアル(対面・オンサイト)で研修を提供するのか、前年のようにすべてオンライン/リモートでやるのかを決断しなければならないという問題でした。
感染拡大は少しずつ収まってきているものの、従来のような集合研修に戻すのも時期尚早という状況の中で、まずは研修内容の再定義を行いました。結果的に PC やモバイルの設定はどこからでも参加可能なリモート、会議室の使い方といったハンズオンはオンサイト、といったハイブリッドな形式に落ち着きました。(今後も出社状況などを注視しながら、社員がより柔軟な選択ができるよう環境整備を進めていく予定です)
一方で、世界的に半導体が不足している中、新卒社員に配布する PC 端末を入社日までに確実に割り当てられるだろうかという懸念もあったため、今回は 5 ヶ月前からハードウェアの確保に走り、それと同時に、入社式および 2 ヶ月にわたる新卒研修をハイブリッドで実施するための環境整備を着々と進めていきました。
4 月 1 日の入社式のあとには、それぞれに配布された PC のセットアップ作業を、オンラインの各自の環境で行ってもらいましたが、28 名の新卒社員全員がメールを使えるようになるまでに 2 時間もかかりませんでした。このとき CET のメンバーが改めて感じたのは、最近の若者は電子機器に対する感性が鋭く、一を聞いて十を知るようなデジタルネイティブな人が多いということでした。従来の方式でのリモート研修は色々と難しい所が多いのですが、おそらく 10 年前だったらこれほどスムーズにはいかなかったのかもしれません。
インフラ提供にとどまらないプラスアルファの活動
上述したハイブリッド型 新卒研修の準備というのは CET の活動のほんの一端でしかありません。CET の業務の中心は、他社の IT チームと同様にサーバールームを含んだインフラ管理や社内会議室のAV機器の運用・管理、ユーザーサポートなどです。しかし、カバーする仕事の範囲がそれにとどまらないのが、CET のユニークなところです。
例えば、ヴイエムウェア製品の自社内での活用事例を、社外に向けてご紹介するプログラム「VMware on VMware」の実施です。
これは、IT 部門で自社製品をどのように使っているか等の実例をベストプラクティスとして、経験値や生の声をお客様と共有させていただくプログラムなのですが、多い時には月に 5 回もお声が掛かる、大変人気のあるプログラムとなっています。
この取り組みは、営業・SE などと一緒になってお客様とインタラクティブに情報共有できるだけではなく、ヴイエムウェアの社員に対しても IT 部門がどんな仕事をしているのか知ってもらえる貴重な機会になっています。
また、全社ミーティングなどの社内イベントや、お客様を招いて行うパーティなど、AV 環境の運用やサポートも積極的に行っています。
最近では社内外のイベントも多様化し、オンサイト/オンライン両方で同時配信したいという要望が増えてきました。それに伴い CET ではイベントをハイブリッド対応にし、社員がどこからでも参加できるように準備・提供しています。特に今年の 5 月は 1 ヶ月で 50 件近いリクエストをいただき、目が回るような忙しさでした。
一般的な企業では、こうしたイベントサポートを外部に委託することも多いと思いますが、ヴイエムウェアでは、それをすべて CET が請け負っています。まさに八面六臂!ちょっとスーパーマン的な活躍ぶりです。
昨年 4 月に田町オフィスがオープンした際には、新しい会議室の仕組みの構築に取り組みました。
2020 年に感染予防対策のためオフィスを全面的に閉鎖した時には、全社員が業務をほぼ 100 %リモートワークで行わなければならないという状況になりました。その後、徐々にオフィスに戻れるようになるに連れ、オフィスに出社する社員と、リモートで仕事をしている社員とが打ち合わせをする機会も増えてきました。
そんな中、新オフィスをデザインするにあたって CET のメンバーがフォーカスしたのは、社外からリモートで会議に参加する社員に対しても、会議室で参加している社員と同等のコミュニケーション環境を提供するべきだということでした。
そこで採用したのが、Zoom 社が提供する Zoom Rooms です。Zoom Rooms には、ミーティングルームに設置された 1 台のカメラからひとり一人の映像を切り出して表示するという機能(マルチビュー)があります。会議に参加するすべての参加者が共存感を深めることができ、インタラクティブに会話を盛り上げることが可能になるという、とてもユニークな会議システムです。
その他にも、会議室にいる社員がより自然に相手を意識できるように音源の方向や距離、室内反響音などを考慮した音響設計を行ったり、部屋全体のケーブルを極力少なくすると同時に、最新のデジタル機器に合わせて Type-C の充電コネクタを設置したりと、より利便性に優れたファシリティとなるように細かい配慮を重ねていきました。
そのお陰で、多くの社員からは、煩わしさを感じずにディスカッションに集中できるミーティング環境である、と上々の評価をもらっています。
よりプロアクティブに動く IT 部門に
CET の仕事は、まだまだあります。
単に机に座って誰かから問い合わせが入るのを待つのではなく、もっとプロアクティブに動こうというのが、CET の活動の基本コンセプトです。
そこで、毎月数回開催しているのが、CET Roadshow です。
これは、社内に向けた情報発信のためのミニ・イベントで、新しくリリースされたアプリケーションの使い方を紹介したり、ポリシー変更があればその詳細を解説したりと、最新の情報を次々とテーマを変えて披露しています。
忙しい中でも気軽に聞いてもらえるよう、お昼時などに社内のラウンジで 20 分程度のプレゼンテーションを行うのですが、直近ではこれもハイブリッド型で開催し、オンサイト・リモート両方でも見てもらえるようになりました。
いつも 100 名 〜 200 名ほどの社員が参加してくれますが、開催後はアンケートに答えてもらい、そのフィードバックを CET の活動に反映するようにしています。
さらに最近は、メールやドキュメント以外にも、動画という手段を使ってITデバイスの活用促進を図っています。例えば、新入社員がセルフで携帯端末のセットアップを完了できるように、設定方法を解説するビデオコンテンツを制作、提供しています。
これにより、各個人の作業スピードや経験の差に影響されず、それぞれが自分のペースで設定する事ができます。また自らセットアップに取り組んでもらう事は、社員の自主性を尊重しようというヴイエムウェアのミッションにも合致する取り組みです。
そして、そのようにセルフで解決できる範囲を超えた部分で発生したサポート依頼にフォーカスすることで、リソース活用の効率化・より良いサービスの提供につなげていきたいというのが、CET の基本的な考え方なのです。だからこそ、プロアクティブな活動や仕組みの提供を緩めることはできないのです。
PC 貸出しの自動化で、一時たりとも止めない IT サービスを!
そして、最後にご紹介したいのが、ラップトップ PC の貸出しを自動化した Laptop Kiosk の提供です。
写真をご覧いただくと一目瞭然ですが、自動販売機のような大きなボックスにラップトップ PC が格納されていて、PC の貸出しを希望する社員は、社員証を読み取らせて希望の機種を選択することで、誰でも、いつでも、好きな時に PC をピックアップすることができます。もちろん業務で使用するのであれば、用途は自由です。
同様に、返却もすべてセルフで完結できるようになっていて、Laptop Kiosk に戻すと自動的に初期化が行われます。
これらのプロセスはすべて VMware Workspace ONE UEM のプロビジョニング機能を用いて行われます。貸出・返却処理という担当者・利用者の手間を軽減したいという意図から生まれたサービスではありますが、COVID-19 による出社制限が続く中で、たとえ IT チームが出社していなくてもサービスを止めないという大きな目的を果たすために、今や不可欠な仕組みとなりました。
多くの方が出社するようになった現在は、およそ 1 日 1 件くらいの頻度で利用されています。これも IT チームのプロアクティブな活動のひとつと言って良いでしょう。
最近では、お客様からこの Laptop Kiosk を導入したいと相談されるケースも出てきています。
実際のサービス提供までにはクリアしなければならないことも多いので簡単にはいかないとは思いますが、将来的にはいずれ外販するようなことがあるかもしれません。
CET のスーパー 4 人組の活躍は、これからもまだまだ続きそうです。