はじめに
VMware のサステナビリティに関する取り組みをご紹介するブログとして、これまで第1回目「VMware のサステナビリティに関する取り組み」、第2回目「持続可能なデータセンター運用に向けて」 とご紹介してまいりましたが、今回は第3回目として VMware ソリューションがどのようにみなさまのサステナビリティに貢献できるかを紹介いたします。
HCI を活用した CO₂ 排出量の削減
HCI (Hyper Converged Infrastructure) では共有ストレージとして専用のハードウェアを使用せず、各サーバに内蔵された HDD ないし SSD などの記憶装置を使用して仮想的な共有ストレージ領域を作成します。
VMware が提供する VMware vSAN は仮想ストレージソリューションのリーダーであり、高速かつ信頼性のある HCI 環境を構築することができます。
VMware vSAN による CO₂ 削減効果
- ストレージハードウェアの削減
HCIを用いた統合プラットフォームにより専用のストレージ装置が必要なくなるばかりか、接続スイッチも不要となり機器数が少なくなることで、消費電力を削減することができます。また、サーバ、ストレージ、スイッチ間を接続するケーブル数も削減することができます。 - キャパシティ利用効率の向上
VMware vSAN ではシンプロビジョニングや圧縮、重複排除、イレイジャコーディングによるストレージ利用効率を向上することができディスク本数の削減に役立ちます。 - 継続的なストレージ最適化
vRealize Operations のダッシュボードや vRealize AI Cloud を用いた vSAN 利用状況の可視化により継続的にストレージの最適化を行うことができます。
図1. VMware vSAN によるストレージ仮想化イメージ
ネットワーク仮想化を活用した CO₂ 排出量の削減
ネットワーク仮想化では汎用的なx86サーバを用いて仮想化されたスイッチ、ルータ、ファイアウォール、ロードバランサ、IDS/IPS といった各種ネットワーク機能を稼働させることができます(NFV: Network Function Virtualization)。 また、オーバレイ技術を活用することで物理ネットワークを非常にシンプルな構成にすることができます。
VMware が提供する VMware NSX はネットワーク仮想化技術の草分けともいえるソリューションであり、L2からL7にまたがる高度なネットワーク仮想化を実現することができます。
VMware NSX による CO₂ 削減効果
- ネットワーク機器の削減
サーバハードウェア内に仮想的なネットワーク機能を構成することができるため、物理的なネットワーク機器の数が大幅に少なくなり消費電力を削減することができます。また、ネットワーク機器間を接続するケーブル数も削減することができます。 - 物理ネットワーク機器のモデルダウン
仮想ネットワークを用いることで物理的なネットワーク機器で必要なポート数が少なくなるため、NW機器をモデルダウンし必要な電力量を削減することができます。 - ラックスペースの削減
仮想ネットワークを用いることで物理的なネットワーク機器の数量が少なくなるため、必要なラックスペースを削減することができます。
図2. VMWare NSX によるネットワーク仮想化イメージ
仮想化による CO₂ 削減効果の可視化
日本でも環境省にてカーボンプライシングの活用が検討されるなど、企業活動において消費電力や電力消費に伴う CO₂ 排出状況を可視化することが重要になってきています。
VMware vRealize Operations では、現在のデータセンターの消費電力や CO₂ の排出状況および仮想化によって削減できたデータセンターの CO₂ 排出量等を可視化することができます。
VMware vRealize Operations の持続可能性ダッシュボード
- 仮想化による削減状況の表示
持続可能性ダッシュボードによりデータセンターの消費電力、CO₂ 排出量を表示するだけでなく、仮想化によって削減できた CO₂ 削減量を可視化して表示することができます。 - さらなる CO₂ 削減可能性の提示
ダッシュボードにパワーオフ/アイドル状態の仮想マシンの検出、旧式のハードウェア検出、スナップショット取得状況などサーバの電力消費量の削減につながる情報を表示することができます。 - 仮想化効率の継続的な向上
VMware vRealize Operations では仮想マシンの使用状況を継続的に記録し、過剰な vCPU、メモリ割り当てを検出しサイズ適正化の推奨として表示することで、仮想化効率(サーバ集約効率)の向上を継続的に検討することが可能になります。
図3. VMware vRealize Operations の持続可能性ダッシュボード
持続可能性ダッシュボードの詳細については、サステナビリティブログの第2回目「持続可能なデータセンター運用に向けて」 で紹介していますので、そちらもあわせてご確認ください!
クラウドリフトによる CO₂ 排出量の削減
昨今のアセットレス需要の高まりやビジネス拡大/縮小に応じた柔軟なシステムリソースの利用、あるいはサーバレスコンピューティングや AI といった最新技術の活用を目的としたクラウド利用の流れが拡大していますが、クラウドの利用により世界最高水準の技術を利用した電力使用効率の高いデータセンターにワークロードが移行されることで、同時に CO₂ 排出量の削減も実現することができます。
VMware が提供する VMware Cloud on AWS は、VMware の Software Defined Data Center (SDDC) を AWS のクラウド上で利用できるようにしたソリューションであり、現行仮想基盤で稼働するシステムへの変更を最小限に抑えつつクラウドへの移行を容易に実現することができます。
VMware Cloud on AWS (VMC) による CO₂ 削減効果
- ハードウェア数の削減
AWS の提供する最新ハードウェアが利用できるため、仮想マシン統合率が向上し必要なホスト数が少なくなることで、必要な電力量を削減することができます。 - 電力使用効率の向上
AWS データセンターは世界最高水準のファシリティ、冷却システムを備え、ワークロードに最適化された機器が使用されているため、サービスを利用することによってオンプレミスより電力使用効率を向上(*1) させることができます。 - グリーンエネルギーの活用
再生可能エネルギーを活用したAWSのクラウドを利用することで間接的に CO₂ 排出量の削減に貢献することができます。
図4. 電力使用効率の高い VMware Cloud on AWS
クラウド DR を活用した災害対策環境の CO₂ 排出量削減
企業にとって災害対策環境を整備することは事業継続の観点において非常に重要な検討事項の1つではありますが、一般的には平常時に利用されないシステムであるため、その稼働、維持にかかるコストは課題となっています。またカーボンニュートラル実現を念頭に置いた場合、災害対策環境にかかる電力をどのように削減していくかも併せて検討が必要になりますが、クラウドの活用が解決策の1つとなる可能性があります。
VMware が提供する VMware Cloud Disaster Recovery は クラウドバックアップサービスと VMware Cloud on AWS を組み合わせた DR as a Service (DRaaS) であり、コスト最適かつ使用電力の削減にも配慮したオンデマンド DR 環境を実現することができます。
VMware Cloud Disaster Recovery による CO₂ 削減効果
- DR 環境ハードウェア数の削減
VMware Cloud on AWS および VMware Cloud Disaster Recovery の活用によりオンデマンドでスケーリングする DR 環境を構築し、RTO 要件に応じたリソースプロビジョニングを実現することができるため、通常稼働時に必要な DR 環境のハードウェア数が少なくなることで、電力消費量を削減することができます。 - 電力使用効率の向上
高い電力効率と再生可能エネルギーを活用する AWS のデータセンターインフラを利用するため、直接的に CO₂ 排出量の削減を実現できるだけでなく「The Climate Pledge (気候変動対策に関する誓約)」 の一員としてカーボンオフセットのメリットも享受することができます。
図5. VMware Cloud Disaster Recovery による DR 実現イメージ
おわりに
今回は第3回目として VMware ソリューションがどのようにみなさまのサステナビリティに貢献できるかというテーマで、主に VMware のソリューションを用いた CO₂ 削減の効果について紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。
VMware の仮想化技術が CO₂ 削減においても非常に重要な価値をもたらすものであることをご理解頂けたのではないかと思います。
今後もサステナビリティ関連の有用な情報を当ブログにて発信してまいりたいと思います。