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vSAN HCL – コントローラ・ドライバの互換性について

こんにちは、VMware グローバルサポート vSAN チーム  の首藤です。

今回は VMware vSAN 構成にてよくお問い合わせのある vSAN HCL のコントローラ・ドライバの互換性に関する健全性アラームについて説明します。

* vSAN Health Service – vSAN HCL Health – Controller Driver (2109263)


弊社側へもよくお問い合わせのある内容となりますが、実はユーザー様によるトラブルシュート
も容易な健全性アラートとなります。

そもそも vSAN では通常の VMware vSphere (VMware ESXi) とは別に、vSAN 独自でハードウェア、ドライバの I/O 製品に関して互換性を保持しており、こちらを順守頂く必要があります。

この互換性情報を内部的にチェックし、互換性リストに合わない環境を保持しているケースでは
警告を出してくれる動作となっています。

この警告が出るケースでは、主に以下の要因が考えられます。

1. 実際にご利用いただいているコントローラ、ドライバの互換性があっていないケース
2. チェックに利用している互換性 DB (HCL DB) が古く最新の情報をもとにチェックされていないケース

それぞれ詳細について確認を進めてみましょう。

 

1. 実際にご利用いただいているコントローラ、ドライバの互換性があっていないケース


まず実際に利用しているコントローラ、ドライバの互換性があっていないケースをチェックする
ためにご利用いただいているホストのドライバをチェックしてみましょう。

vSAN クラスタ内に配置されている ESXi ホスト上へ SSH にてアクセス頂き
esxcli vsan storage list コマンドを利用することで、vSAN にて利用されているデバイスを
確認することができます。

## esxcli vsan storage list | grep Device

Device: naa.5000cca07d5c7e74
Device: naa.5002538a986c0a10
Device: naa.5000cca02f680e3c
Device: naa.55cd2e4150d162fc
Device: naa.5000cca02f670380
Device: naa.50000398c84a6bbd
Device: naa.50000398c84a2311

また対象のデバイスがどのコントローラのドライバを利用しているかは esxcfg-mpath コマンド
を利用することで確認ができます。

## esxcfg-mpath -b より抜粋
naa.55cd2e4150d162fc : Local ATA Disk (naa.55cd2e4150d162fc)
vmhba0:C0:T5:L0 LUN:0 state:active sas Adapter: 54cd98f06805aa00 Target: 500056b34b09edc4
naa.5000cca07d5c7e74 : Local HGST Disk (naa.5000cca07d5c7e74)
vmhba0:C0:T6:L0 LUN:0 state:active sas Adapter: 54cd98f06805aa00 Target: 5000cca07d5c7e75
naa.50000398c84a2311 : Local TOSHIBA Disk (naa.50000398c84a2311)
vmhba0:C0:T3:L0 LUN:0 state:active sas Adapter: 54cd98f06805aa00 Target: 50000398c84a2312
naa.5000cca02f680e3c : Local HGST Disk (naa.5000cca02f680e3c)
vmhba0:C0:T8:L0 LUN:0 state:active sas Adapter: 54cd98f06805aa00 Target: 5000cca02f680e3d
naa.50000398c84a6bbd : Local TOSHIBA Disk (naa.50000398c84a6bbd)
vmhba0:C0:T2:L0 LUN:0 state:active sas Adapter: 54cd98f06805aa00 Target: 50000398c84a6bbe
naa.5000cca02f670380 : Local HGST Disk (naa.5000cca02f670380)
vmhba0:C0:T7:L0 LUN:0 state:active sas Adapter: 54cd98f06805aa00 Target: 5000cca02f670381
naa.5002538a986c0a10 : Local SAMSUNG Disk (naa.5002538a986c0a10)
vmhba0:C0:T4:L0 LUN:0 state:active sas Adapter: 54cd98f06805aa00 Target: 5002538a986c0a12

上記より vSAN に利用されているストレージについては vmhba0 につながっている点が
確認できますね。
では実際にこのコントローラ名を調べていきましょう。

## esxcli storage core adapter list より抜粋

HBA Name Driver Link State UID Capabilities Description
——– ———- ———- —————————————— ——————- —————————————————————
vmhba0 lsi_msgpt3 link-n/a sas.54cd98f06805aa00 (0000:18:00.0) Avago (LSI Logic) Dell HBA330 Mini


今回は Dell HBA330 Mini のコントローラを利用している点が確認できます。

また利用しているドライバは lsi_msgpt3 である点が確認できます。

このドライバのバージョンについては esxcli software vib list コマンドで
確認が可能です。

## esxcli software vib list より抜粋

Name Version Vendor Acceptance Level Install Date
—————————– ————————————– ——- —————- ————
lsi-msgpt3 17.00.02.00-1vmw.670.3.73.14320388 VMW VMwareCertified 2021-06-07

コントローラのファームウェアバージョンについては別途コントローラ側で確認しておきましょう。

以上で構成を確認するための下準備は終了です。

ここで登場するのは vSAN の互換性ガイドになります。

互換性ガイドについては以下2つの見方があります。

– VMware vSAN ReadyNode を利用しているケース
– 認証基盤をベースに独自に互換性があるデバイスを組み合わせて利用しているケース

vSAN ReadyNode は、主要なサーバ ベンダーにて vSAN 構成用に最適に構成され提供されて
いるサーバーとなります。

認証基盤をベースに独自に互換性があるデバイスを組み合わせて利用しているケースでは
ご利用頂いている I/O デバイスが vSAN側で認証されているか独自に確認が可能です。

いずれも互換性については下記で確認が可能です。

* VMware Compatibility Guide – vsan

上記画面では “Ready Node” の検索画面がありますが、今回は認証基盤をベースに
デバイスを調査してみましょう。

下記の画面の「認証コンポーネントを基盤とした構築」のリンクをクリックしましょう。

すると各デバイスの互換性をチェックできる画面に飛びますので I/O controller を選択します。

ここからデバイスを探すと、互換性リストの確認ができます。

HBA330 Mini の例では下記が該当します。

製品バージョン毎に異なっていますので、VMware 製品名のプルダウンを選択し、ご利用の
バージョンの表記に変えておきましょう。

* VMware Compatibility Guide
HBA330 Mini

この互換性リスト上にこのコントローラのドライバ、ファームウェアのバージョンの
記載がありますので、ご利用されている組み合わせの互換性があるかチェックをします。

 

2. チェックに利用している互換性 DB (HCL DB) が古く、最新の情報をもとにチェックされていないケース


次にチェックに利用している互換性 DB が古く、最新の情報をもとにチェックを
行っていないケースの確認をしておきましょう。

まず互換性 DB (HCL DB) とは何か?という点を抑えておきましょう。

ハードウェアの互換性の情報とはベンダー様側にて vSAN 構成において互換性を検証した
各種デバイス情報となります。

互換性 DB とは vSAN (VMware vCenter Server) 内部で保持している上記ハードウェアの
互換性情報を保持している DB になります。

このDBの元となる互換性の情報は定期的に更新がされております。
これは下記ページの all.json ファイルにまとめられています。

http://partnerweb.vmware.com/service/vsan/all.json

互換性の情報についてはベンダー様によって追加、修正されるケースがあり、
ご利用いただいている互換性 DB の情報が古い場合にアップデートをかけることで
互換性のミスマッチを検知しアラートが発生する可能性があります。

このケースでは既存の環境において最新の情報に基づいた互換性が適切に保持されて
いないといった状況が想定できます。

互換性については常に最新の情報にそって適切に確保しておくべき内容となりますので
以前 vSAN HCL の互換性の正常性を確認したので警告が出ていても大丈夫と安心せず
本互換性 DB のアップデートは定期的に実施し、常に最新にしておくことを推奨します。

互換性 DB の状態については下記 KB でご案内している vSAN の健全性にてチェックが可能です。

* vSAN Health Service – vSAN HCL Health – vSAN HCL DB up-to-date (2109870)

下記健全性の画面にて「ローカル HCL DB コピーの最終更新日時」をチェックすることで
現在保持されている HCL DB はいつ更新された情報かの確認が可能です。

なおインターネットへ接続できる環境では自動で定期的に更新することができます。

* vSAN Health Service – Hardware compatibility – vSAN HCL DB Auto Update (2146132)

外部へ接続ができないケースでは上記 all.json ファイルをダウンロードし
手動でアップロードすることで更新が可能です。


以上が vSAN HCL コントローラ・ドライバの互換性に関する互換性のチェック方法と
なりますが如何でしたでしょうか。

vSAN HCL のアラートについてはアラートが発生したとしても稼働中のサービスへの
影響はありません。

ですが、vSAN を運用するにあたってハードウェアの互換性を保った運用というのは
非常に重要です。

もし本健全性のアラートが発生した場合には上記をもとにチェックをしてみてください。

いずれも本対応で健全性のアラートが解消しないといったお話があれば内容を
おまとめ頂き弊社サポートへお問い合わせ頂く対応をご検討頂けますようお願い致します。

その際は以下の情報を纏めて SR 起票時に合わせて共有頂くとより対応がスムーズに進みます。

– vSAN クラスタ内の ESXi ホストのログバンドル
– vCenter Server のログバンドル
– ご確認された健全性の画面のスクリーンショット

本記事がお客様のトラブルシュートの一助となれば幸いです。