9月1日から2日にわたって、VMware Tanzu の年次イベントである SpringOne が開催されました。Day 1のメインステージ ( 基調講演 ) におけるお客様事例を紹介します。
Day 1 のメインステージでは、以下のお客様が登壇されました。
- 現代自動車
- ギャップ
- CVS
- モルガンスタンレー
- 米国陸軍
現代自動車 : Hyundai AutoEver社はソフトウェア駆動型自動車メーカーへのジャーニーを Tanzu によって加速
多くの人にとって「明日のクルマ」とは、エンジンの出力やガソリンの消費量よりも機能やサービスとのつながりを意味します。Hyundai AutoEver 社の CEO である Jung Sik Suh 氏は、現代自動車グループのITイニシアティブをサポートする重要な役割を担っている同チームが、自動車とモビリティのエコシステムの間のギャップを埋めながら、世界をリードするモビリティ企業になるという目標に向けてテクノロジーをどのように活用してきたかを語りました。
「現代自動車グループは、一夜にしてソフトウェア主導の自動車メーカーになったわけではありません。適切なソフトウェアエンジニアリング能力を開発し、この変革を可能にするモダンなパターンとテクノロジーに適応しなければならないと認識していました。この目的のために、Hyundai AutoEver は VMware Tanzu によるアプリケーションのモダナイゼーションに注力し、DevSecOpsやマイクロサービスなど内製化の能力向上に多額の投資を行いました」と述べています。
AutoEver 社は開発をシンプルにするために、ドメイン駆動型の設計手法を確立しました。具体的には、VMware Tanzu Labs のエンジニアと Hyundai AutoEver 社のエンジニアがペアを組み、クラウドネイティブテクノロジーについて素早く学び、開発者の体験をどのように高めることができるかに注力することができました。AutoEver 社のアプリケーションチームは現在、コンテナ化されスケールしたアプリケーションを簡単にデプロイしセルフサービスですべてを監視できるようになりました。
Sik Suh 氏のチームは、VMware Tanzuによりデリバリーに要する期間を14日から3日以内に短縮できました。また、アプリケーションのデプロイのために夜間のメンテナンスウィンドウを設定するのではなく、個々のマイクロサービスを独立して更新することで、ダウンタイムなしにいつでも新機能をデプロイできるようになりました。
現在、400万台以上の現代自動車がクラウドに接続されており(1,000万台以上からのリクエストに対応できるスケーラビリティを備えています)、Sik Suh 氏のチームは、モダンなソフトウェアソリューションを使用し、VMware Tanzu のサポートを受けながら、すべての現代自動車のドライバーに高品質でパーソナライズされたデジタル体験を提供するために努力を続けています。
Gap社はどのようにして、ホリデーシーズンのピーク時に顧客にシームレスなショッピング体験を提供することに成功したか
Gap Inc.は、The Gap、Athleta、Banana Republic、Old Navyブランドを有しています。暫定CIOである Heather Mickman 氏はそれらのブランドを共有するサイトを持つ同社が VMware Tanzu Application Service 上で、2020年にホリデーシーズンのピーク時のトラフィックのワークロードをクラウドで実行することに成功した方法について説明しました。このサイトでは最大トラフィックが20%増加し、もっとも忙しい時間帯だけでも1分間に平均1万人の訪問者があったとのことです。
ホリデーシーズンの成功以外に、お客様のショッピングジャーニーを通じてシームレスな体験を提供できるようになりました。
- 新しいYeezy製品の発売時に毎秒30,000件のトランザクションを管理
- パンデミックによるロックダウンのわずか数週間後にオンラインで購入して店外で受け取る機能を展開
- 4つのブランドのロイヤルティプログラムとクレジットカードのリワードプログラムを1つに統合
これらの取り組みにより、Gap 社は小売店のネット・プロモーター・スコアを14%向上させ、平均スコアは業界標準の62点に対して70点を達成しました。
「当社のテクノロジー変革とアプリケーションのクラウドへのモダナイゼーションにより、トラフィックと注文が前年比で増加し続ける中、システムを継続的に拡張することができます。また、予期せぬトラフィックの急増にも備えることができます」と Mickman 氏は語ります。
CVS、モルガン・スタンレー、米国陸軍もクラウドへ
弊社製品やサービスについて、他にも多くのお客様がご自身の体験を語ってくれました。
CVS Health社のソフトウェアエンジニアである Alex Cook 氏は、これまで膨大なデータファイルが入ったCD-ROMを顧客に送付していたプロセスをどのようにモダナイズしたかを紹介しました。このアプリケーションは、Tanzu Application Service 上でホストされており、VMware がサポートされている Spring Cloud Gateway を使用して、API セキュリティを確保し、CORS (Cross-Origin Resource Sharing) ロジックを管理しています。その結果、開発者(と API )は、Spring Cloud Gateway がリクエストなどを安全に処理していることを認識しながら、ビジネスロジックに集中することができました。
モルガン・スタンレーの著名なエンジニアでありエグゼクティブディレクターであるDhiren Shah氏は、金融サービス会社がどのようにしてメインフレームベースの決済プラットフォームをモダナイズすることができたかを説明しました。
その方法とは、メインフレームのアプリケーションを Spring Boot アプリケーションに書き換え、それをMicrosoft Azure Spring Cloud にデプロイしたのです。最初の展開は一部の市場を対象としたものでしたが、今後は世界中のメインフレーム・アプリケーションを Azure Spring Cloud 上で稼働させていく予定です。
米国陸軍 Software Factory のチーフプロダクト&イノベーションオフィサーであるHannah Hunt氏は、彼女のチームがわずか数カ月で本番アプリケーションをクラウド上で(複数のパブリッククラウド上で)稼働させることができたことを詳しく説明しています。特に有益だったのは、Tanzu の様々なポートフォリオと CI/CD パイプラインを組み合わせることで、セキュリティガードレールが事前に定義され自動化されているため、最小限の手動操作でコードを本番環境に投入できるようになったことです。
以上 Spring One 初日の基調講演のサマリーをご紹介しました。
SpringOne 基調講演は、YouTube でもご覧いただけるようになりましたのでぜひご覧ください。