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VMware の OpenStack ディストリビューション「VMware Integrated OpenStack」

VMworld 2015 前に VMware の最新状況をお伝えするエントリ第 2 回です。今回は、VMware の OpenStack ディストリビューションである「VMware Integrated OpenStack」を取り上げます。
VMware Integrated OpenStack は、昨年の VMworld でベータが発表され、今年の 3 月に正式リリースとなりました。vSphere の Enterprise Plus エディションのサポート契約が有効の方は、VMware Integrated OpenStack を無償でダウンロードできる権利があります。

VMware がなぜ OpenStackのディストリビューションを出すのか?

私自身、OpenStack に関して、よく受ける質問が 2 つあります。1 点目は「OpenStack は VMware を置き換えるのか?」という質問です。
端的に言うと、これは誤解です。OpenStack には、ハイパーバイザーやストレージ/ネットワーク仮想化プラットフォームは含まれていません。そのため、VMware vSphere や Virtual SAN、NSX などを、OpenStack と組み合わせて利用できます。性能や高可用性などの機能面、そして実績の両面で VMware 製品を利用するメリットがあります。
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もう 1 つの質問は「なぜ VMware が OpenStack ディストリビューションを提供するのか?」という点です。
その回答は、VMware なら「vSphere の既存顧客が OpenStack 環境を容易に構築できる」ソリューションを提供できるからです。最近、vSphere で仮想基盤を構築済みの企業が、開発者に対して OpenStack API を提供したいというニーズが出てきています。そのような場合に、VMware Integrated OpenStack を使えば、vSphere の仮想基盤を用いて、本番環境に対応した OpenStack 環境を容易に構築できます。

vSphere の既存顧客が OpenStack 環境を容易に構築できる理由とは?

それではなぜ VMware Integrated OpenStack (以下 VIO) なら、OpenStack 環境を容易に構築できるのでしょうか?理由は 2 つあります。
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1 つ目の理由は「VIO の展開が非常にシンプルだから」です。VIO は、それぞれのコンポーネントが仮想アプライアンスにパッケージされ、それらがまとめられて単一のファイルとして提供されます。そのため、VIO のファイルをダウンロードして、vSphere Web Client から既存の仮想基盤に展開するだけで展開作業が済みます。OpenStack の各コンポーネントは VMware のドライバを含んだ状態で提供されています。
2 つ目の理由は「VIO が、VMware によって完全に検証済みのアーキテクチャとして提供されるため」です。VMware は、VMware 製品だけでなく OpenStack の部分も含めてワンストップ サポートを提供します。 (注意: VIO のサポートはオプションでの提供となり、 別途ご購入いただく必要があります)
なお、これは VIO に限らない点ですが、vRealize Operations のような VMware の管理製品が OpenStack に対応しています。そのため、既存の vSphere の仮想基盤と OpenStack 環境を単一のツールで管理することもできます。
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VMware は、シンプルで使いやすい、OpenStack の専門家がいなくても運用できるようなソリューションを目指して製品開発を続けています。VIO の機能の詳細を知りたい方は、ぜひこちらのデータシートをご覧ください。
https://www.vmware.com/files/jp/pdf/openstack/VMware-Integrated-OpenStack-Datasheet.pdf

VMware Integrated OpenStack のコンポーネント

VIO の構成を少し紹介しましょう。VIO は、主に 2 種類のビルディング ブロックから成ります。その 1 つは VIO Manager、もう 1 つは OpenStack コンポーネントです。これらが合わせて 1 つの OVA ファイルとしてパッケージングされており、その中に、VIO Manager と、各種 OpenStack コンポーネントのためのテンプレートとして使われる Ubuntu Linux 仮想マシンが含まれています。
VIO の OpenStack サービスは高可用性を備える形でデプロイされます。具体的なコンポーネントの構成は下記の通りです。

  • OpenStack コントローラ: Horizon Dashboard、Nova、Keystone、Heat、Glance、Cinder サービスをアクティブ・アクティブ クラスタで動作させるための 2 台の仮想マシン
  • Memchached クラスタ
  • RabbitMQ クラスタ: OpenStack サービス間でのメッセージングサービスとして使用
  • ロードバランサー: インターナルおよびパブリックの仮想 IP アドレスを持つアクティブ・アクティブ クラスタ
  • Nova コンピューティング マシン
  • データベース クラスタ: OpenStack メタデータを格納する 3 ノード MariaDB Galera クラスタ
  • オブジェクト ストレージ: Swift サービス
  • DHCP ノード(NSX を用いない場合に必要)

構成などの詳細は、VIO のドキュメントに記載されています。ご興味ある方は、ぜひ参照いただけると幸いです。
https://www.vmware.com/support/pubs/integrated-openstack-pubs.html