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[TAM Blog] Reduced Downtime Upgrade(RDU)機能のご紹介(Part1)

皆さまこんにちは。TAM の辻です。

平素より弊社製品をご利用いただきありがとうございます。

今回は Reduced Downtime Upgrade(RDU)機能を利用した VMware vCenter Server Appliance ( 以下 vCenter Server ) のアップデート・パッチ適用についてご紹介いたします。

本機能により、vCenter Server の停止時間を大幅に短縮することが可能ですので、メンテナンス時間を短縮する際に有用となります。

そこで本シリーズでは「RDU 機能の概要と事前準備」、「RDU 実施ステップ」の大きく 2 パートに分類しご紹介させて頂きます。

今回はその第一弾として「RDU 機能の概要と事前準備」を中心にご紹介いたします。

■目次

 

■Reduced Downtime Upgrade とは

vCenter Server のアップデート・パッチ適用時のダウンタイムを削減する機能になります。

まず、従来のアップデート・パッチ適用フローになります。

こちらでは、通常の vCenter Server のアップデート・パッチ適用時には 既存の vCenter Server に ISO イメージを適用します。

vCenter Server の停止時間は、アップデート・パッチ適用作業中となります。

アップデート・パッチ適用に要する時間は環境に依存しますが、20分程度~1時間程度要します。その間は vCenter Server  は停止となり、利用不可です。

ちなみに、vSphere 8 でも引き続き上記のアップデート・パッチ適用方法はサポートされております。

 

次に、Reduced Downtime Upgrade のフローになります。

Reduced Downtime Upgrade 実施時は、新規に vCenter Server をデプロイし、既存の vCenter Server のデータ、構成を新規 vCenter Server へ転送し、切り替える処理を行います。

変更点は、スイッチオーバーのフェーズまで引き続きアップデート・パッチ適用前の vCenter Server を利用することが可能になった点です。

そして、スイッチオーバーのフェーズは、環境に依存しますが、10分程度と想定されます。

そのため、vCenter Server の停止時間は、スイッチオーバーの時間のみで済むということで大幅に停止時間を短縮することが可能になっております。

 

■サポートされているアップグレードパス

vCenter Server 8.0 のアップデート・パッチ適用において、適用先バージョンが 8.0 U2 以降である場合に使用可能な機能です。

参考:Reduced Downtime Upgrade – Upgrade Paths

<補足情報> vCenter Server 8.0 Update3 未満では、下記構成において RDU 機能は未対応でした。
  • vCenter Server High Availability 構成
  • Enhanced Linked Mode 構成
  • DUAL IP Stack 構成
  • Non Self-Managed 構成 ( vCenter Server 仮想マシンが他の vCenter Server によって管理されている構成)
vCenter Server 8.0 Update3 とそれ以上のバージョンでは、 上記構成においても RDU 機能がサポートされるようになりました。
  :vCenter Server upgrades with the reduced downtime – Miscellanous – Unsupported topologies

 

■ Reduced Downtime Upgrade 事前準備

まず、RDU の処理で使用される一時 IP アドレスについて DNS による正引き/逆引きが行える状態にする必要があります。 DNS 設定後、nslookup コマンド等で正しく名前解決できているかを確認しておきます。

  • nslookup <一時 IP アドレス>
  • nslookup <新規 vCenter Server の FQDN>

 

次に、ソース vCenter Server が 8.0 Update 2 より前のバージョンである場合、リポジトリ URL を構成する必要がありますが、 vCenter Server が 8.0 Update 2 以降のバージョンである場合は、リポジトリ URL の構成は不要になります。

今回 vCenter Server 8.0 Update 2e から vCenter Server 8.0 Update 3d へのパッチ適用を実施します。そのため、リポジトリ URL の構成は不要になります。

<補足情報>

8.0 Update 2 よりも前のバージョンの vCenter Server にてリポジトリ URL を構成せずに RDU 実行を進めると、下記の画像のようにエラーとなります。

参考:About the Reduced Downtime Upgrade Process – Configure Repository URL

 

次に、vCenter Server 8.0 Update 3d へのパッチ適用を行うため、Broadcom Support Portal から [VMware-VCSA-all-8.0.3-24322831.iso] をダウンロードします。

<補足情報>

vCenter Server のアップデート・パッチ適用には、通常下記のような ISO イメージを使用します。

  • VMware-vCenter-Server-Appliance-8.0.3.00400-24322831-patch-FP.iso

Reduced Downtime Upgrade では、上記のような [-patch-FP.iso] ファイルは使用できず、新規インストール時に利用する下記のような ISO イメージを使用します。

  • VMware-VCSA-all-8.0.3-24322831.iso

 

最後に、RDU 実施前に現行の vCenter Server のバックアップを取得しておきます。

事前準備は以上です。

 

■参考情報

 

■最後に

次回は 「RDU 機能の実施ステップ」を中心に、具体的な作業画面を交えてご紹介を予定しております。お楽しみに!