昨年夏の VMware Explore でテクニカルプレビューとして発表した、VMware Aria Migration がリリース(初期提供: Initial Availability )されました。
VMware Aria Migration とは
企業が単一の専用インフラから柔軟なマルチクラウドモデルへのクラウドジャーニーを進める中、ITチームは新しいアプリケーションやワークロードをどこにデプロイするかだけではなく、既存のアプリケーションやワークロードを移行するかという決断に迫られています。この場合、複数のクラウド間でのワークロードの移行を評価、分析、計画、モダナイズ、実行、運用という重要なステップに対して多くの課題が発生します。
VMware Aria Migration は、マルチクラウドへのワークロードの移行をワンストップで提供するサービスとして設計されています。多くの企業がマルチクラウドジャーニーで直面するもっとも困難なタスクの1つを簡素化し移行を加速します。セキュリティや性能、コスト、時間の目標に基づき、ワークロードとアプリケーションを特定し、最適なクラウドへの移行を支援します。
VMware Aria Migration は移行のアセスメント、計画、実行という3つの中核となる機能をリリースする計画ですが、今回の初期リリースにおいてはアセスメント機能を提供しています。
その後のリリースでは移行の計画機能と実行機能を提供し、エンドツーエンドのサービスとしてソリューションを完成させ、お客様にシームレスな移行体験を提供する予定です。移行計画機能は、データ駆動型の意思決定を可能にするターゲットクラウド構成の設計と移行パイプラインの計画/スケジュール機能により、移行リスクの低減を支援するように設計されています。移行実行機能は、ワークフローによる移行の自動化を支援し、測定、分析、レポート、ロールバックの機能により安心を提供します。
図:Aria Migration のオーバービュー画面
移行のユースケース(シナリオ)
VMware Aria Migration は、様々なクラウド環境における移行ユースケース(シナリオ)をサポートするよう計画されています。今回の初期リリースでは、オンプレミスの vSphere 環境から VMware Cloud on AWS への移行アセスメントをサポートしており今後、移行アセスメントにユースケースを追加していく予定です。アセスメント対象の選択にかかわらず、ディスカバリー、アプリケーションのグループ化、依存関係の分析といった中核機能は、本リリースの一部として、すべてのお客様が引き続き使用することができます。
移行アセスメントの主な特徴
お客様は、ご自身の vCenter から実際のインベントリベースのアセスメントを行うことができます。アセスメントサービスは、ライブデータ収集に基づく正確なアセスメントを提供するため、お客様はデータを元にした意思決定が可能になります。また、(RVToolsなどから)オフラインでデータをインポートしレイヤに追加することもできます。さらに、VMware Aria Migration からデータをエクスポートして他のツールで使用することも可能です。
このサービスは、マシンをアプリケーションに自動的にグループ化しリソース使用量ベースのカテゴリ(高、中、低ストレージ、CPU、メモリなど)にグループ化するなど、機械学習によってアプリケーションの発見(ディスカバリー)を実施します。
その後、システムインテリジェンスを活用して、移行スタイル(vLAN別、アプリケーション別など)に基づいた移行範囲を設定することができます。柔軟なフィルタにより、粗い粒度や細かい粒度のスコープも可能です(例:クラスタ、vCenterタグ、リソース使用量、vCenterフォルダなど)。
さらに、アプリケーションの依存関係を分析し移行範囲を適切に設定することで、何を含めて何を除外するかといった洞察を得ることができます。
図:アプリケーションの依存関係の分析
最後に、既存のオンプレミス環境と比較して、VMware Cloud on AWS のコストメリット分析を行うことができます。
図:VMware Cloud on AWS への移行における TCO の分析機能
ビジネスケースの想定はカスタマイズ可能で、サーバーやストレージのハードウェア、VMware ソフトウェアや OS のライセンス、メンテナンス、ネットワーク、人件費、データセンターなどのコストドライバーを含む、クラウド経済性モデルに沿います。アセスメントサービスでは、ビジネスケース策定のための移行対象クラウドの TCO 予測や比較のための移行元クラウドの TCO を提供します。リソースの利用状況を比較することで、移行アセスメントをビジネス上の話題に発展させることができます。SDDC のサイジングに関する推奨事項は、VMware Cloud Sizer と整合しており、正確なサイジングの推奨事項を提供します。
アセスメントで使用されるコストはデフォルト値で提供されますが、これらのコストドライバーは想定( Assumptions )タブで調整することができます。これらのコストを微調整することで、TCO 分析の精度を向上させることができます。
図:使用リソースの想定機能
移行アセスメント機能を無償で提供
VMware Aria Migration のアセスメント機能は現時点、無償サービスとして提供します。お客様は計画されている移行のスコープを作成し、移行先クラウドの要件や TCO への影響を理解するのに必要な時間と労力を削減できます。無料の移行アセスメントは、2,000 VMおよび500,000ネットワークフローまでのワークロードが対象です。リアルタイムの vCenter のインベントリと依存関係の収集は、最初の30日間です。アセスメントデータは30日後に削除されます。
現時点における無料アセスメントは機能は以下のとおりです。
- 移行対象:vSphere からVMware Cloud on AWS への移行
- ワークロード:最大2,000 VMまで
- お客様の vCenter から実際のインベントリベースの評価を実施
- オンプレミスと比較したVMware Cloud on AWS のコストメリットの分析
- 最初の30日間、リアルタイムで vCenter のインベントリと依存関係を収集
- RVTools のエクスポートを使用したインベントリのアップロード
- 移行対象を細かく分類し、反復的にスコーピングを実行
- マシンエージェントやマシン認証情報を使用せずに、依存関係やアプリケーションのグループ化を使用したプランの検証
- サイジングや TCO を構成する前提条件を表示・変更しながら効果を確認
- ログイン、閲覧、アセスメントの編集が可能なユーザーのシステムへの追加
今すぐサインアップして、VMware Aria Migration による無料の移行アセスメント機能をご利用ください。サインアップされたお客様にはサービスへのアクセス方法を記載したメールをお送りします。