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Sakuraは働く女性を応援するコミュニティ! 〜ヴイエムウェアのエグゼクティブに聞く〜

ヴイエムウェアではこれまでにも様々な社会貢献活動を推進してきましたが、その中でも女性のための復職支援プログラム“VMware Sakura”は、現代の日本の社会が抱えている課題に正面から取り組もうという試みです。
今回は、VMware Sakuraの活動をバックエンドで支えるヴイエムウェア株式会社の2名のエグゼクティブにインタビューし、取り組みの狙いや目標などについて聞きました。

 

(回答者)

  • Rasmus Holtet Rüsz(ラスマス ホルテト ルース): 上級執行役員 テクニカルサービス統括本部 統括本部長
  • 草野 繁: コマーシャルSE本部 本部長


 

フレキシブルに働ける環境づくりに向けて

10月に発表したVMware Sakuraですが、既にプログラムを利用したいという女性の皆さん30名ほどから申し込みがあったと聞いています。お二人は当初からこの企画に関わっているとのことですが、まずはそれぞれの業務上の役割と、Sakuraへの関わりについて伺えますか?

Rasmus: エンジニアリングの責任者として、お客様やパートナー様のバリューを高めるための支援を行なっています。Sakuraのプログラムにおいては、プログラムマネージャである筒井さんをはじめする多くのボランティアの方々をサポートするとともに、米国本社のテクニカルサービスとの技術面での調整、予算面の交渉など、グローバルレベルでの管理を受け持っています。
Sakuraはヴイエムウェアが全社的に掲げているESG(Environmental, Social and Governance)プログラムの一環でもありますので、目指しているゴールが、長年に渡って取り組んできているSustainabilityEquity(公平性)の目標と連携するよう本社とも密接に連絡を取り合っています。
草野: 私は、Rasmusさんにレポートする形で、一般企業を中心とするお客様を技術面で支援するコマーシャルSE本部を統括しています。VMware Sakuraにおいては、プログラムマネージャの筒井さんが進める活動の後方支援を全面的に行なっています。サポート内容は、社内外の関係者の方々との調整や、プログラムを推進する上での課題について一緒に考えて解決へ導いていくなど、様々です。

 

Rasmusさんから見て、女性の復職を受け入れる日本企業の課題は何だと思われますか? また、それに対してVMware Sakuraはどのような役割を果たせるでしょうか?

Rasmus: これは日本の労働環境に限った話ではないのですが、子育てなど、家庭とのバランスを取らなければいけない女性にとっては、よりフレキシブルに働ける環境というのが非常に大切だと私は考えています。柔軟性が欠けている中ではスキルを向上させるための時間も取りづらいですし、キャリアアップを図っていくことも難しいでしょう。ですが、これは決して課題と呼ぶべきものではなく、働く環境のクオリティを上げていこうとしている日本企業のチャレンジなのだと思っています。もちろん、こうしたことは、これからの時代において女性だけでなく、男性にとっても必要な社会環境となっていくでしょう。
一方で働く女性たちも、高度なスキルセットを身に付けるなど、柔軟に働ける環境を自ら掴み取っていくための努力も必要です。VMware Sakuraを通して提供するのは、そうした女性の皆さんに、ITおよび一般業務領域で必要とされる基本知識を身に付けていただけるよう支援するプログラムなのです。キャリア向上を目指し、より多くの機会と出会うため、Sakuraを存分に活用していただければと思っています。

 

草野さんは、多様な働き方を広く普及させるための取り組みを積極的に進められていると伺いました。その背景にはどのような状況があるのでしょうか?

草野: 実は、私自身がヴイエムウェアの中で柔軟な働き方を率先して行なっている人間の一人なのではと思います。私は家族と共に大阪で暮らしていますが、私が統括するコマーシャルSE本部に属するメンバーの半分以上は東京に在籍しているので、従来の考え方に沿っていれば、私も東京に常勤するのが当たり前だという結論になっていたでしょう。ですが、私が本部をリードすることが決まった2020年2月、コロナ感染が拡大し始め、かつ一番下の子供がまだ2歳だったということもあり、東京勤務を受け入れることは大変難しい状況となりました。
そこで、上司であるRasmusと相談した結果、オフィスに席を置かずに仕事と生活のバランスを取った働き方を実践してみようということになりました。自らがフレキシブルに働く見本となることで、他の社員にも良い影響を与え、多様な働き方の推進にもつながるのではないだろうか、という判断です。お陰さまで、現在は家庭も大切にしながら、仕事の充実も図ることが出来ています。
私のこうした状況が、VMware Sakuraを支援していきたいと思った大きな理由のひとつです。
私以外にも、コロナがきっかけとなって実家に帰りたいと希望する社員や、介護や子育てとの両立を図ろうとする社員も増えました。在宅ワークがやりやすい環境に引っ越した方も少なくありませんし、地方で暮らし始めた人もたくさんいます。
私は、自分自身の経験から、会社はこうした社員一人一人を全力で応援し、そのために必要な環境を提供していくべきだと思っています。これは、ヴイエムウェアが提唱しているWork@Anywhereにもつながる取り組みです。
そして、それを役職者が示してあげることがとても重要になります。私が今の働き方を実現できているのも、上司がグローバルな視点を持ったRasmusさんだったからに他なりません! プラスに考えて、その人に合った働き方を考えてみることが大切だと感じています。

 

組織のレジリエンシーで働きやすい職場を

Rasmusさんのご出身地であるデンマークを含む北欧各国は、男女平等の格差を表すジェンダーギャップ指数が日本よりもはるかに優秀な国々です。北欧と比較して、日本の女性の働く環境に違いは感じますか? また、デンマークでのご経験を元に、ジェンダーギャップ改善のためのヒントがあれば教えてください。

Rasmus: 長い歴史の中でデンマークの政府が主導して培われたカルチャーの違いというのは確かにあるかもしれません。例えばデンマークの女性は、仕事に就いている女性のおよそ8割が出産後に元の職場に復帰し、フルタイムで働いています。もちろん、元の職場に戻らない場合でも、パートタイムの仕事を選んだり、新たな職場を見つけるなど、子育てしながら働く人がたくさんいます。その背景には、長期の有給休暇が取れる制度が充実していることや、子供を幼稚園に預けられる環境、さらには公的な育児支援金なども寄与しているのだと思います。また、デンマークでは男性にも最大 45 日間の育児休暇が認められていて、その休暇取得率は7割にも及びます。男性でも平均すると33 日間の育児休暇を取っているという実態を見ると、日本との大きな意識の違いを感じます。
そして、何よりデンマークには、男性も女性も平等に働けるという環境が整っています。これはとても重要です。これからの時代は、男性・女性に限らず、ダイバーシティ、インクルージョンといったスタンスを企業が持たなければ、業績にさえ影響することになっていくでしょう。長期休暇を取っていた社員がスムーズに戻れる環境も用意しなければいけません。最近は日本の若者たちを見ていても、企業のそうした側面を重視して就職する企業を決めているようにも感じます。
これから企業にとって重要になるのは、レジリエンシーのある組織を築いていくことだと思います。コロナ感染が拡大した直後にも言われたことですが、困難な状況に追い込まれた時でも弾力的に対応し、早期に復旧を図ることができる仕組みを作り上げておくことが、ひいては柔軟に働ける職場環境にもつながっていき、一人一人のキャリアアップの機会をも生み出せるのではないでしょうか。

 

草野さんがこれまで数ヶ月に渡ってVMware Sakuraの活動に携わってこられた中で、新たに得た気付きや発見などはありましたか?

草野: まず、復職したいと欲している女性が非常に多いということを改めて知りました。それは、先ほどのRasmusさんのお話とは対照的に、日本では女性が復職するための環境がまだまだ揃っていないからなのかもしれません。アドバイザーとして参画いただいているママワーク研究所様からも、復職はしたいけれど様々な理由で実現できないという方が大変多いというデータがあると伺いました。ですから、Sakuraの取り組みというのは、そうした状況を変えるためのきっかけとなって、新しい価値を提供できる可能性を秘めているのではないかと思っています。
もうひとつは、Sakuraの立ち上げに向けたボランティア募集において、ヴイエムウェア社内の様々な部署から50名もの社員が即座に手を挙げていただいたことに、良い意味で驚くとともに、素晴らしいことだと感じました。ボランティアを志願されたのは、女性はもとより男性も多く、それぞれ役職も異なり、考え方も様々ですが、皆がその趣旨に賛同し、プログラムの価値を理解していただいたことに感謝しています。参加者ご自身も、組織横断的に協力し合いながら作業に取り組むことで、普段はほとんど付き合いのない部署の面々と話をするきっかけが出来たとポジティブに捉えていただけているようです。

 

最後にお二人から、VMware Sakuraにご興味をお持ちの皆さん、また企業のリーダーの皆さんへのメッセージをいただけますでしょうか?

Rasmus: Sakuraの目的も同様なのですが、企業がダイバーシティを推進する取り組みを進め、働く人たちにキャリアアップを図るためのプログラムや機会を用意することは、日本の将来を作っていくための投資なのだと考えています。新たなスキルを学ぶチャンスを得て、別の職種に就いてリスタートできる環境を整えることもとても重要です。
特に日本では、女性が柔軟に働くための環境には改善の余地がまだまだたくさんあると思います。女性のスキルが向上することは、企業にとっても多様性が増し、組織に厚みが出るとともに、女性リーダーの拡充にもつながります。
これからの社会を支えていく若手の皆さんに、教育とキャリア向上の機会を与えてあげるというのは、私たちが果たさなければならない責任でもあります。今後も皆さんと一緒に、ともに働きともに暮らす共同社会の底上げを図っていきたいと思います。ぜひSakuraをそのきっかけとして積極的に活用してください。
草野: これまで復職することを諦めていた女性の方にとって、Sakuraのプログラムは前に進んでいくための最初の一歩になると確信しています。ぜひお知り合いの方にも声掛けして積極的にご利用ください。
そして今後は、より多くの企業と一緒に、このプログラムを終了した方々を採用いただけるような取り組みも広げていければと考えています。ぜひ企業の皆さんのアイデアをお聞かせください。共に考えてまいりましょう! 結果として日本経済の発展に寄与し、少しでも社会への恩返しができれば嬉しいです。
また、Sakuraのプログラムはまず復職を望んでいる女性の皆さんに提供していく予定ですが、将来的には、男性はもちろん、日本で就職しようとしている外国人の方なども含めて、学ぶ機会を求めているあらゆる方々に対象を広げられれば良いなと考えています。そのためには、これから様々な方のご意見に耳を傾け、どういったニーズがあるかを探り、どういう方に届ければ価値が生まれるのかをしっかり見極めていかなければならないと思っています。
Rasmus: VMware Sakuraは、参加いただく女性たちを応援し、より価値のある働き方を実現するためのコミュニティとして機能するものです。技術的なスキルや知識の習得だけでなく、社会への復帰を果たすために何を準備し、どう行動していけば良いかといった情報を含む多角的なサポートをさせていただくことも重要な目的のひとつとなっています。そのコミュニティには、ヴイエムウェアからもいろいろな職種に携わる経験者が参加します。そこにより多くの皆さんに集まっていただき、忌憚のない多様な意見交換を行なっていただくことが大切なのです。
あなたもぜひSakuraのコミュニティの一員としてご参加いただき、新しい自分を発見してください!!