Sustainability

VMware Explore 2022 Sustainability Update

はじめに

去る2022年8月29日から9月1日にかけて、弊社の年次イベントである VMware Explore 2022 (旧称VMworld) がアメリカ サンフランシスコで開催されました。

過去2回は COVID-19 の影響もあり完全バーチャルでの開催でしたが、久しぶりの物理開催ということで会場は非常に盛り上がり日本からも多数のお客様にご来場いただきました。

GS_Opening

VMware Explore 2022 では多数の新しいソリューションやプロジェクトなどが発表されましたが、そちらの紹介は他に譲りまして本ブログではサステナビリティ関連にテーマを絞ってアップデートをお届けしたいと思います。

General Session より

VMware Explore 2022 のオープニングセッションである General Session では、冒頭に CEO の Raghu Raghuram が登壇し今日のビジネスにおけるマルチクラウドの重要性や現状の課題、その解決に向けた当社の取り組みを中心にプレゼンテーションを行いました。

GS_MultiCloud

その中で、今日のマルチクラウド時代においてサステナビリティと気候変動への対策は VMware のみならず全世界にとってかつてないほど重要な課題となっていること、そしてデジタル化の進展に伴いデータセンターが消費するエネルギーの割合は年々大きくなってきており、VMware は数十年にわたり仮想化のテクノロジーを中心としてデジタル環境におけるエネルギー消費量の削減を支援することで、CO₂ 排出量の大幅な削減を推進してきたことに触れました。

GS_ESG

そして今回、VMware のサステナビリティに関する新たな取り組みの一環として、「VMware Zero Carbon Committed Initiative」 を立ち上げたことを発表しました。

GS_ZSC_INITIATIVE

このイニシアティブの目標は、2030 年までに、VMware のソフトウェアが稼働するすべてのデータセンターで100% 再生可能エネルギーが利用されている状態を実現することです。

AWS、IBM、Google、Microsoft、Oracle など、多くのパートナー企業がこのイニシアティブに参加しており、パートナーエコシステムと密接に連携しながら、このプログラムを通じてゼロ・カーボンの目標達成に向けて前進を続けています。

Solution Keynote – Vision and Innovation より

Solution Keynote の Vision and Innovation セッションに登壇した CTO の Kit Colbert は、 VMware が現在取り組んでいる R&D や Innovation について紹介をする中で、ESG は企業にとって重大な関心ごとであり、環境はもちろん特に IT 業界では資源を大量に消費することから、サステナビリティが重要な要素になっている。と話しました。

SK_VI_ESG

またサステナビリティに関連する VMware の取り組みとして、カーボンニュートラルおよびゼロ・カーボンの実現を目指して以下のような研究開発に取り組んでいることが紹介されました。

  • Carbon Transparency
  • Workload Carbon Efficiency
  • Renewable Energy

SK_VI_SOLUTION

  • Carbon Transparency
    Carbon Transparency の具体例として、ESXi ホストレベルだけでなく VM レベルでより詳細に炭素利用状況の可視化ができるようなメトリックの追加を行い、すでに提供が始まっている VMware Aria Operations (旧称: VMware vRealize Operations) のサステナビリティダッシュボード機能 (詳しくはこちらのブログ記事を参照) を活用し、仮想環境における炭素利用状況をより詳細に可視化できるようにしていく方針であることを話しました。
  • Workload Carbon Efficiency
    Workload Carbon Efficiency の具体例としては、 VMware Aria Operations (旧称: VMware vRealize Operations) を用いて未使用の VM (ゾンビ VM) を検出してシャットダウンを行ったり、CPU やメモリの利用に無駄のある VM を検出し適切なサイズに修正を行ったりする機能についての紹介や、パートナーと連携した Deep Cooling ソリューションによってデータセンターの冷却効率を最適化し、電力消費を削減するプロジェクトが紹介されました。
  • Renewable Energy
    Renewable Energy としては、再生可能エネルギーの効率的な利用を観点としたマルチクラウドの世界観に触れ、例えば世界の各地域における日照時間のずれや気候状況の差を活用し、常に再生可能エネルギーが発電できているデータセンターに動的にサーバワークロードをシフトすることで Zero Carbon を実現するといった構想を紹介しました。
    VMware においては DRS というサーバリソースの状況に基づき動的にサーバワークロードを移動する技術がありますが、このメトリック(条件)に Carbon Usage のパラメータを追加し、Carbon Usage の状況に基づき DRS を動作させる。といった将来的なアイデアについても触れました。

以上が General Session および Solution Keynote で発表されたサステナビリティ関連のアップデートとなります。
カーボンニュートラルおよびゼロ・カーボンを実現するために VMware が目指す方向性と取り組みの例をご理解いただけたのではないでしょうか。

Breakout Session より

サステナビリティ関連をテーマとする Breakout Session のうち、ここでは “Deep Cooling Joint Solution Accelerating Carbon Neutral in Data Centers” [CEIB1384USD] の内容についてご紹介します。

Deep Cooling とは中国 Quarkdata 社および米国 Intel 社と共同し開発したジョイントソリューションで、IT 活動における CO₂ 排出の大部分を占めるデータセンターのカーボンニュートラル実現を加速することを目的としています。
クラウド活用の進展により、データセンターが占める CO₂ 排出量の割合は年々増加しています。現在データセンターにおけるクリーンエネルギーへの転換、すなわち再生可能エネルギーの活用も検討が進められていますが、当面の課題としてデータセンターにおける電力消費の効率化、電力消費量の削減は重要なテーマとなっています。

BS_DC_ESG

Deep Cooling の概要は、システムが稼働するデータセンターのマシンルームの熱量をリアルタイムで計測し、ディープマシンラーニングをベースに構築されたデータセンターの熱シミュレーションモデルを用いて分析を行い、空調や水冷のパラメータを動的に調整するというものです。

BS_DC_Intro

またリアルタイムに計測したデータをもとに学習モデルを再強化し、シミュレーションモデルの精度を継続的に向上していきます。

マシンルームに設置されるサーバにおいては仮想化技術によって様々なワークロードを最適化されたハードウェア上に統合し、電力消費量の削減を実現します。

BS_DC_AirFlow

この Deep Cooling の具体的な成果として、11のマシンルームでこのソリューションを活用することで30% 以上の電力削減効果を得たというデータが示されました。

BS_DC_Result

また、セッションの中ではサーバだけでなく、データセンターの電源設備やその電源を利用する空調設備やカメラなど物理的なファシリティを含めたデータセンター全体の電力消費量、CO₂ 排出量を可視化する取り組みとして VMware が開発したオープンソースソフトウェアであり、統合的なビューを提供する Flowgate についても紹介されました。

EdgeX Foundry (https://www.edgexfoundry.org/) フレームワークに対応した機器や、データセンターの CMDB(Configuration Management Data Base)、IPAM(IP Address Management)、DCIM (Data Center Infrastructure Management) といったツールで取得したデータセンター設備や機器の情報を Flowgate で統合的に収集し、VMware の VMware Aria Operations (旧称: VMware vRealize Operations) やサードパーティの IT Management ツールを通じてデータセンター全体の電力消費量、CO₂ 排出量の可視化を行うことができるようになります。

BS_DC_Flowgate

最後に、将来に向けた取り組みとして Project Bluesky を紹介しました。
これは今後お客様が ESG 開示規制に対応する必要が生じた際に必要な、Carbon Reporting の機能を SaaS ベースのサービスとして提供することを目指すものです。

BS_DC_Bluesky

具体的には以下のような機能を提供することを目指しています。

  • ホスト及び VM レベルの ESXi エネルギーメトリクスとデータコレクタ機能
  • Flowgate データセンター (VMware 以外も含む) のデータコレクタ機能
  • 地域のカーボンエミッション係数の参照データベースと参照サービス
  • VM、ホスト、クラスタ、データセンターレベルのカーボンフットプリントレポート (経営層および IT 管理者向けを想定)
  • グリーンスコア: セクターベンチマークと最適化のインサイトレポート

おわりに

今回は VMware Explore 2022 で発表されたサステナビリティ関連のアップデートの一部をお届けしましたがいかがでしたでしょうか。
ここで紹介した以外にも様々な発表がありましたので、詳細は VMware Explore 2022 のビデオライブラリーをご視聴ください。
https://www.vmware.com/explore/video-library.html#year=2022

また、VMware Explore 2022 の日本版である VMware Explore 2022 Japan が 2022年11月15日から2022年11月16日の間で物理とバーチャルを組み合わせたハイブリッド形式で開催されます。
こちらのイベントで日本のサステナビリティチームが「新入社員と熟練社員が語る VMware サステナビリティの魅力」と題してセッションを配信します。ぜひセッション登録の上ご視聴ください!
https://www.vmware.com/explore/jp/content/sess/VI22264.html