VMware Cloud on AWS クラウド

Amazon FSx for NetApp ONTAP を VMware Cloud on AWS のデータストアとしてサポート

VMware Cloud on AWS NFS データストアとしてアマゾン ウェブ サービス(AWS)が提供しているストレージサービス「Amazon FSx for NetApp ONTAPFSx for ONTAP)」が利用できるようになりました。今後は Software-Defined Data Center (SDDC) のクラスタにストレージだけ追加できるので、無駄なコストを抑えながら効率よくリソースを拡張できます。今回はその概要や活用メリットについてお伝えします。具体的な構成方法は、ブログ「Amazon FSx for NetApp ONTAP で NFS データストアを構成する方法」をご覧ください。

 

目次

 

 

 

Amazon FSx for NetApp ONTAP とは?

FSx for ONTAP は、NetApp ONTAP を採用したフルマネージド型の共有ストレージサービスであり、Amazon FSx のラインナップの1つとして提供されています(図1)。FSx for ONTAP は、オンプレミスと同様に NetApp のストレージ機能を利用できます。例えば、SMB NFS などのファイル共有機能はもちろんのこと、iSCSI によるブロックストレージ機能も提供します。また、ストレージデータに対する圧縮や重複排除、階層化機能なども利用できます。

図1 Amazon FSx for NetApp ONTAP のトップページ

 

 

 

NFS データストアのサポートを開始!

20229月より、FSx for ONTAP のボリュームを VMware Cloud on AWS SDDC のクラスタから NFS データストアとして利用することがサポートされました(図2)。NFS データストアとして利用する機能は、20229月にリリースされた「SDDC バージョン 1.20」以上の環境で使えるようになります。

図2 VMware Cloud on AWS FSx for ONTAP の接続イメージ

 

NFS データストアのサポート開始に伴い、SDDC の管理インターフェイスである「VMC コンソール」に新しく「ストレージ」タブメニューが追加されました(図3)。

図3 新しく追加された「ストレージ」メニュー

 

NFS データストアを作成する操作は極めてシンプルです。はじめに、FSx for ONTAP などのクラウドストレージサービス側でファイルシステム(またはボリューム)を作成し、NFS エクスポートを準備します。その後、SDDC とのネットワーク接続を構成すれば、VMC コンソール画面から簡単な操作でマウントできます(図4および図5)。必要な時に素早くストレージを準備できるので、急な要求にも慌てることなく対処できます。

図4 NFS データストアの作成画面

 

図5 データストアの一覧画面(NFS データストア作成後)

 

 

 

NFS データストアを活用するメリット

VMware Cloud on AWS からNFS データストアを活用する最大のメリットは、ホストを追加せずにストレージ領域だけ増やせることです。

クラスタのリソース(CPU やメモリ、ストレージ)は、クラスタを構成する物理ホストの種類と台数で決まります(詳細は過去のブログ「VMware Cloud on AWS のソフトウエア構成とリソース管理」をご覧ください)。例えば、3台の物理ホストでクラスタを構成すれば、ホストに搭載されているリソースの総容量がクラスタで使用可能なリソースになります。ホストを追加すれば、そのホストに搭載されているリソースがクラスタに追加されます。この時、CPU とメモリ、ストレージのリソースは、それぞれ一定比率で増加することになります。

これまでは、ホストを追加することがクラスタのリソースを増加させる唯一の手段だったため、ストレージ容量だけが足りなくなった場合も、物理ホストを追加するしかありませんでした(図6)。この時、追加する必要のない CPU とメモリリソースも一緒に増えてしまうため、リソースの余剰が発生してしまうことが悩みでした。

図6 これまでのストレージリソースの追加方法

 

今回の NFS データストアのサポートによって、物理ホストを追加せずにストレージだけ追加できるようになりました。ストレージを追加した後は、仮想マシンのデータを Storage vMotion で追加したデータストアに移動させることができます(図7)。NFS デーアストアの領域は、FSx for ONTAP をはじめとしてクラウドサービスで提供されているものなのでオンデマンドで利用できます。また、コスト面でも従量課金のメリットを活かして必要な容量だけ構成すれば良いので、無駄なく利用できます。

図7 これからのストレージリソースの追加方法

 

 

 

ユースケース

FSx for ONTAP SDDC NFS データストアとして利用する場合、主に3つのユースケースがあります。尚、SDDC 上で動く仮想マシン(OS)から 直接接続して FSx for ONTAP をストレージとして利用するユースケースもありますが、ここでは触れませんので予めご了承ください。

 

一時的なストレージの利用

突発的にストレージ容量が必要になる場合や、開発プロジェクトなどで一定期間だけストレージが必要になる場合、オンデマンドで即座にストレージを準備できます(図8)。FSx for ONTAP は、必要な容量だけ構成してすぐに使用でき、不要になったらすぐに削除できるので料金面でも無駄が生じません。

図8 一時的なストレージの利用イメージ

 

恒久的なストレージの利用

SDDC の利用を検討する際、必要とされる CPU やメモリと比較してストレージ容量の割合が高いことが事前にわかっている場合、無駄にホスト台数を増やすことなく FSx for ONTAP をうまく組み合わせることで適量のリソースを調達できます(図9)。その結果、効率よく仮想マシンを集約できるので、コスト効率を高める効果が期待できます。

図9 恒久的なストレージの利用イメージ

 

バックアップや災害対策としての利用

オンプレミスで NetApp をデータストアのストレージとして利用している場合、クラウドへのバックアップや災害対策目的で FSx for ONTAP を活用できます(図10)。オンプレミスの NetApp から NetApp SnapMirror 機能で FSx for ONTAP にレプリケーションできるので、VMware Cloud on AWS の SDDC 環境を併用すれば、有事の際にクラウドでリカバリすることができます。また、このレプリケーション機能は、仮想マシンを VMware Cloud on AWS へ移行する目的でデータをコピーする手段としても応用できるでしょう。

図10 バックアップや災害対策としての利用

 

 

 

まとめ

今回は、VMware Cloud on AWS の SDDC から NFS データストアとして Amazon FSx for NetApp ONTAP が利用可能になったことをお伝えしました。SDDC 環境でストレージの選択肢が増えたことで、これまでよりも設計面および運用面の柔軟性が高くなりました。ぜひとも採用をご検討ください。具体的な構成方法は、ブログ「Amazon FSx for NetApp ONTAP で NFS データストアを構成する方法」をご覧ください。

 

 

 

関連情報リンク