VMware Cloud on AWS クラウド

VMware Cloud on AWS の vSAN ストレージポリシー

VMware Cloud on AWS で提供されている SDDC のストレージには vSAN が採用されています。今回は、そこで提供されているストレージポリシープロファイル「Managed Storage Policy Profiles」について解説します。

 

 

VMware Cloud on AWS 独自のデフォルトストレージポリシー

vSAN データストア上にプロビジョニングする仮想マシンには、「仮想マシンストレージ ポリシー」を適用する必要があります。もし、明示的にストレージポリシーを割り当てない場合は、「デフォルトストレージ ポリシー」が割り当てられます。この点については、オンプレミスの vSAN 環境と VMware Cloud on AWS  において違いはありません。

ただし、VMware Cloud on AWS が提供するデフォルトストレージポリシーは、サービスの特性が考慮された特別なポリシーとして実装されています。このストレージポリシープロファイルを「Managed Storage Policy Profiles」と呼びます(図1)。

図1  VMware Cloud on AWS のデフォルトストレージポリシー

 

では、この VMware Cloud on AWS が提供するデフォルトストレージポリシーは、どのような仕様でどんな役割を果たすでしょうか?具体的な話に入る前に、VMware Cloud on AWS のホスト構成とストレージポリシーの関係について整理しておきましょう。

 

 

変動するホスト台数とストレージポリシーの関係

VMware Cloud on AWS の SDDC には複数のクラスタを作成することができます。クラスタは最小2ホストから作成でき、最大16ホストまで拡張できます。

一方、仮想マシンに割り当てるストレージポリシーは、「Failures To Tolerate (FTT)」の選択でホスト障害など許容する障害数を決めます。 同時に「Fault Tolerance Method (FTM)」を組み合わせて RAID 構成を決めます。

ただし、ホスト台数が少ない場合、RAID 構成によって適用できるものとできないものがあります。例えば、3ホスト構成で適用できるポリシーは「FTM = RAID-1」ですが、「FTM = RAID-5」や「FTM = RAID-6」は適用できません(図2)。

図2  FTM と最小ホスト数の関係

 

これは、VMware Cloud on AWS に限った話ではなく vSAN の仕様であるため、特に驚くことではありません。ただ、VMware Cloud on AWS の場合はホストをオンデマンドで即時に追加または削除できる点が従来のオンプレミス環境と異なります。

例えば、6ホスト構成でクラスタを作成する環境を考えてみましょう。この時、仮想マシンのストレージポリシーは「FTT = 2, FTM = RAID-6」を適用したと仮定します。その後、需要が変動して6ホストから3ホストに減らしたらどうなるでしょうか?この場合、ストレージポリシーは「FTT = 1, FTM = RAID-1」を適用する(強制的に適用される)ことになります(図3)。

図3  ホスト数に応じてストレージポリシーが変更されるイメージ図

 

オンプレミスの vSAN 環境の場合、需要に応じてホストを追加することは想定していても、ホストを削除することはあまり想定していない場合が多いでしょう。ストレージポリシーも最初に決めたものを仮想マシンに適用して、そのまま使用し続けるのが一般的です。しかし、VMware Cloud on AWS の場合はオンデマンドでホスト数を増減できるので、ストレージポリシーのプロファイルもその状況に応じて変わる場合があります。

 

 

SLA も考慮しておきたい

もう一点、考慮すべきことがあります。それは「Service Level Agreement (SLA)」です。

VMware Cloud on AWS は、SDDC に対して SLA を提供しています(詳しくは、ドキュメント「Service Level Agreement for VMware Cloud on AWS」をご覧ください)。一つの Availability Zone で構成する標準クラスタ環境の場合、99.9% の可用性を保証します。一方、二つの Availability Zone を跨いで構成するストレッチクラスタ環境の場合、99.99% の可用性を保証します(図4)。

図4  VMware Cloud on AWS の SLA 定義

 

SLA にはいくつかの条件が定義されています。SLA の対象はあくまで SDDC であり仮想マシンではないのですが、SLA 認定のためにはホストの台数に応じて SLA で規定するストレージポリシーが仮想マシンに対して適用されていることが定義されています。

具体的には、標準クラスタでホストが 2〜5台構成の場合は「FTT = 1」以上のポリシーが適用され、6〜16台構成の場合は「FTT = 2」以上のポリシーが適用されていることが定められています。

For non-stretched clusters without VMware Elastic vSAN for VMware Cloud on AWS (“VMware Elastic vSAN”),  you must have a minimum configuration for all VM storage policy Numbers of Failures To Tolerate (FTT) = 1 when the cluster has 2 to 5 hosts, and a minimum configuration of FTT = 2 when the cluster has 6 to 16 hosts.

< 引用 >  ドキュメント「Service Level Agreement for VMware Cloud on AWS」より一部抜粋

 

SLA を考慮しつつ、ホスト台数に応じて随時最適なポリシーを適用するにはどうしたら良いでしょうか?そこで役立つのが冒頭で紹介した「Managed Storage Policy Profile」です。

 

 

便利な「Managed Storage Policy Profile」の活用

Managed Storage Policy Profile とは、VMware Cloud on AWS に標準実装されているデフォルトストレージポリシーのプロファイルです。これは、SDDC のクラスタ作成と同時に自動的に実装され、ストレージポリシーの設定画面で「VMC Workload Storage Policy」という名称で定義されています(図5)。尚、このストレージポリシーはクラスタ毎に作成されます。

図5  デフォルトストレージポリシー「VMC Workload Storage Policy」

 

このデフォルトストレージポリシーのメリットは、クラスタの規模(ホスト台数)に応じて SLA に準拠したストレージポリシーが自動的に適用される点です(図1)。

例えば、3ホスト構成の場合は「FTT = 1, FTM = RAID-1」が適用され、6ホストに増加したら自動的に「FTT = 2, FTM = RAID-6」が適用されます。この時、vSAN データストア内のデータは、自動的に再配置されます。同様に、6ホストから3ホストに減らした場合、ストレージポリシーは「FTT = 2, FTM = RAID-6」から「FTT = 1, FTM = RAID-1」へ自動的に変更されます(図6)。

図6  SLA に準拠したデフォルトストレージポリシー

 

SLA の条件を満たしていれば、「FTT = 2, FTM = RAID-1」などのポリシーを作成して、個別に仮想マシンへ適用することもできます。ただ、このあたりの運用に手間をかけたくない場合、またはストレージ容量消費を抑えつつ SLA を満たしたい場合は、このデフォルトストレージポリシーを活用するのが最適と言えます。

デフォルトストレージポリシーの詳細については、ドキュメント「VMware Cloud on AWS データセンターの管理 – vSAN のデフォルトストレージポリシーについて」およびドキュメント「Managed Storage Policy Profiles @ VMware Cloud Tech Zone」 ご覧ください。

 

 

まとめ

VMware Cloud on AWS のデフォルトストレージポリシーを適用することで、ホストの増減に関わらず SLA に準拠するポリシーを仮想マシンに適用できます。この仕組みを活用することで、需要変動に対して柔軟に対応しながら運用効率を高められます。これもクラウド移行で得られる一つのメリットと言えるでしょう。

 

 

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