Thought Leadership

これからの時代におけるインテリジェントエッジの活用

太古の昔から組織と個人は、こぞって優位に立つための方法を模索してきました。だからこそ、私たちは200年以上にわたる「イノベーションの時代」にいるのです。ここでは往々にしてスピードが優位性を得るための鍵となります。

1830年代までさかのぼってフランソワ・ブランとジョセフ・ブランの物語に目を向けてみましょう。二人はパリからボルドーの証券取引所へ情報を送信するための(違法ではあるものの)精巧な方法を発見しました。銀行家が国債を取り引きする際、機械式電信システムによって情報が伝達されるため、ブラン兄弟はその情報を盗み取れば競争相手の一歩先を行って一儲けできることにすぐに気がついたのです。

楽観的な技術者たちは私たちが現在、イノベーションの黄金時代にいると信じており、デジタルテクノロジーは人間の存在の基盤に変革をもたらしています。パンデミックへの集団的な対応でテクノロジーが果たす様々な役割を私たちは目にしてきました。今ではエッジコンピューティングやAI、機械学習などのテクノロジーを用いて、企業や政府、コミュニティは次のアクションを計画する際に何が実行可能かを検討できるのです。

VMware, Inc. ヨーロッパ、中東、アフリカ地域(EMEA)担当副社長 兼 最高技術責任者(CTO)
ジョー・バグリー(Joe Baguley)

 

情報 + スピード

上述した話に関連するのは意思決定のスピード。つまり、適切な人が適切な情報に基づき、適切なタイミングで意思決定を行い、それに従って迅速な行動が取れることです。

クラウドやモバイル、ネットワーキングといった様々なテクノロジーによって、アプリケーションの配布をサポートする機械学習やAI、エッジコンピューティングを利用できます。その情報を賢くユーザーの手に渡して変化を促すことで、私たちの目指す新しい世界に豊かな可能性がもたらされるのです。

機械学習とAIがもたらすコンピューティングと、必要な場所への計算とデータの移動を組み合わせることで、応答時間を向上させることができます。この組み合わせは人やビジネスが可能な限り通常に近い状態で機能するようにするためのコンタクトトレーシング(接触者追跡)や、ソーシャルディスタンス確保の取り組みでも役割を果たします。

 

「ニューノーマル」時代のAIとエッジの活用例

ヘルスケアの分野では、正確でリアルタイムなインサイト(洞察)を提供するために、トラッキングアプリやトレーシングアプリ、試験のアプリにAIが取り入れられています。こうしたアプリは国全体の動きを停止させるのではなく、社会の中で新型コロナウイルスへの感染が発生している小さな地理的集団に対する適切な制限を支援します。

監視とモニタリングの分野では、監視カメラにAIが搭載されています。例えば建設会社が現場をモニタリングして、作業員がフェイスマスクや防護服を着用しているかどうか確認するのに役立ちます。もちろん、この種のモニタリング技術は悪用することもできます。IBMは今年、新技術の倫理を管理するため、汎用的な顔認証技術の開発を中止すると発表しました。ですから、私たちは明確で具体的な考えを持って前進しなければなりません。とにかく前進し、これらのテクノロジーがどのように善のための力になり得るかを示す必要があるのです。

経済の再開に不可欠な交通ネットワークを例に挙げてみましょう。ソーシャルディスタンスを保った世界では多くの人の管理が重要になります。

  • 電車のプラットホームにいる人数
  • バスの乗客数
  • 発着する車両の乗車定員

こうした状況では、人数と彼らがたどる様々なルートを瞬時に判断する必要があります。これは新たなテクノロジーの優れた活用例であり、センサーと組み合わされたAIシステムは需要管理を総合的に評価し、ピンチポイントを効果的にリアルタイムで特定することができます。エッジポジショニングによってAIが生成した情報をスタッフに伝達することも可能です。これらの専門家は必要に応じて更新や再ルーティング、追加容量のデプロイを即座に実行できます。アプリケーションをクラウドベースのデータセンターからエッジに移動することで、これらはすべて数秒や数分といった単位ではなく、マイクロ秒のうちに完了します。システムが機能しているか否かで違いが生じるのです。

ほかの場所にも目を向けてみましょう。店舗は現在、厳しいソーシャルディスタンス施策を適用しながら営業しています。大規模なショッピングモールで人々の数や流れを管理するのは難しい課題ですが、多機能センサーを使用するとエッジのAI対応アプリケーションによって買い物客が最も密集しやすい場所を明らかにし、予測することができます。人流を管理するチームはモールに入る人数をリアルタイムで抑制したり、自動的に接近を制限したりするといった対策を講じることが可能になるのです。

最後に倉庫保管について見てみましょう。買い物客を対象とした最近の調査によると、オンライン注文は2019年4月から2020年4月にかけて96%増加しています。バックエンドの倉庫保管と流通にかかる負担は相当なものになるはずです。しかし、現場の作業員がたとえ最小限の人数であってもエッジとAIはアクティビティのスケーリングを安全にサポートします。これらのテクノロジーはソーシャルディスタンスを保ちながら、すべての作業員を最も効果的に配置するのに役立ちます。組織は予知保全を通じて小さな異常を積極的に検出し、脅威が現実となる前にリソースをリダイレクトできるのです。

 

テクノロジー分野のリーダーたちが大規模なバックアップオフィスの整備について議論したエグゼクティブラウンドテーブルはこちらからご覧いただけます:(写真左より)Angel MedFlight CIO Paul GreenGenghis Capital Ltd オルタナティブチャネル兼テクノロジー責任者 Jeremiah ChungeVMware CIOCDTO Bask IyerNode Africa CEO Phares KariukiSociété Générale デジタルワークプレイス副グローバル責任者 Didier Sabardu

 

アプリケーション中心の世界

これらすべての事例が示しているのは、迅速な意思決定を要する問題を解決するために、政府や企業がますます多くのアプリケーションを必要としていることです。これこそがAIとエッジ(実際には二つの組み合わせ)によってもたらされるものです。データをソースの近くで処理することで応答時間を大幅に短縮して遅延を減らし、帯域幅を節約できるのです。

何十年もの間、AIはプロセッサを必要とする認知タスクを実行するのに十分な計算能力を持つデータセンターに置かれていました。これは即時性が最優先されない場合には問題なく機能します。問題なのは情報に対して即時、または即時に近い反応を必要とするアプリケーションが増加していることです。フロントエンドの情報収集をエッジに移動した上でAIを適用することで、システムは推論(AIが観察とバックグラウンドに基づいて論理的な結論に到達する手法)を用いてより迅速に意思決定を行えるようになります。

ただし、それに伴うセキュリティリスクを認識しておくことが重要です。エッジで処理するデータの量が増えると企業のデジタルフットプリントは拡大します。これは安全に保護されなければなりません。アプリケーションの残りの部分は、クラウド上またはデータセンターにあります。そうすることで企業は全体的なエクスペリエンスに支障を来すことなく、セキュリティとコンプライアンスを確保できるのです。

 

エッジに対応した前例のない意思決定

必要なときにデータを得て、処理することが可能になるにつれ、組織はヘルスケアや倉庫保管、鉄道ネットワークといった分野で前例のないレベルの真のイノベーションを提供できるようになります。

ただし、各エンドポイントにはデータの転送に伴うセキュリティリスクが存在しています。エッジがクラウドベースのアプリに取って代われないのはこのためです。エッジは組織がアプリケーションとデータを最大限に活用できるようにするために、必要な補足手段としてクラウドベースのアプリと肩を並べることになるでしょう。そうすることで組織はエクスペリエンスを損なうことなく、適切なデータを安全に、かつコンプライアンスに準拠したものにすることができます。これを安全でシンプルな方法で制御し、管理していくことが重要であり、グローバルな一貫性を持たせることですべてをうまく統合することが可能になるのです。

 

エッジを全体の一部として見ると次のようなことが可能になります。

  • 必要に応じて変更を加えること
  • 必要に応じてアプリケーションを保護すること
  • より良い意思決定をより迅速に行うためのインテリジェンスをもたらすこと
  • 「(新型コロナウイルスによって生じた)新しい世界」の混乱を管理すること

 

*US参考資料原文、および参考資料内コメントは下記URLよりご覧ください。(英語サイト)

https://www.vmware.com/radius/gaining-intelligent-edge-joe-baguley/