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VMware Cloud on AWS で 使用できる VMware HCX の機能が増えた!

VMware Cloud on AWS のお客様に朗報です!2020年11月より VMware Cloud on AWS ユーザーであれば追加料金なしで VMware HCX のほぼすべての機能が使えるようになりました。今回は、2020年10月30日にアップデートされた HCX のリリースノート(バージョン R145)の内容を抜粋してお伝えします。

   

マルチクラウド移行をサポートする HCX

VMware HCX は、データセンターやクラウド間のシームレスな移行を実現するソフトウエア製品です(図1)。HCX は、既存環境の構成を大きく変更することなくデータセンター間やクラウド間での仮想マシンの移行を実現できるので、VMware Cloud on AWS ユーザーの標準的な移行ツールとして海外を含め多くの企業で活用されています。

図1 VMware HCX のコンセプト

   

これまで使えた HCX の機能

HCX のライセンスは、二つのエディションに分かれています(図2)。「Advanced エディション」は HCX の標準機能が使えるもので、VMware NSX のライセンス(NSX Data Center Enterprise Plus エディション)に含まれています。VMware Cloud on AWS のユーザーは、以前からこの Advanced エディションに含まれる機能が追加料金なしで利用できました。

一方「Enterprise エディション」は移行だけではなく、オンプレミスとクラウド間の接続環境で運用の効率性を高める便利な機能も含まれています。ただ、残念ながら Enterprise エディションは、これまで VMware Cloud on AWS ユーザーには提供されていなかったため、それらの機能は利用できない状況が続いていました。

しかし、今回の発表で VMware Cloud on AWS ユーザーも Enterprise エディションのほぼすべての機能が使えるようになりました。しかも、追加料金は不要です!

図2 HCX のライセンスとエディション

    

これからは HCX をフル活用できる!

前述のとおり、2020年11月以降、VMware Cloud on AWS ユーザーは HCX のバージョンを R145(またはそれ以降)にアップグレードすれば、HCX Enterprise エディションに含まれる機能が使えるようになります。それぞれの特徴を簡単にご紹介しましょう。

  • Replication Assisted vMotion
    これは、オンラインでバルクマイグレーションを実現する機能です。あらかじめレプリケーション機能によって仮想マシンの移行データをバックグラウンドでコピーしておき、切り替えのタイミングで vMotion の機能に切り替えて移行を完了させます。vMotion はデータのコピーから切り替えまでシングルタスクで処理されるので、これまでは一度に多くの仮想マシンをオンラインで移行することが困難でした。Replication Assisted vMotion を活用すれば、大規模なオンライン移行も可能になります(図3)。
図3 Replication Assisted vMotion の概念図

   

  • Mobility Optimized Networking
    通常、サイト間でネットワークを延伸している(L2延伸)環境では、Default Gateway が延伸元のサイトに存在するため、サイト間で WAN を経由した非効率なトラフィックが流れてしまうこと(トロンボーン現象)が懸念されていました。これを解消するのが Mobility Optimized Networking です。オンプレから延伸されたネットワーク上に配置された VMware Cloud on AWS 上で動く仮想マシンは、Default Gateway がオンプレミス側に存在していても、宛先によっては VMware Cloud on AWS 側のルータを経由して(Default Gateway に戻ることなく)通信できるようになります。これによってトロンボーン現象は回避され、非効率なトラフィックが削減できます(図4)。
図4 Mobility Optimized Networking の概念図

   

  • Application Path Resiliency
    これは、サイト間ネットワークのレジリエンシー(復元性)向上とパスの最適化を実現する機能です。HCX ではサイト間のトラフィックを送受信する仮想アプライアンス(HCX-IX と HCX-NE)が両サイトに展開され、移行に関わるデータをやり取りします。Application Path Resiliency を有効にすると、それらの仮想アプライアンスがサイト間ネットワークの複数経路(例えば ECMP などで構成)を認識し、最適な経路で通信するように動作します。また、全ての経路を常時プローブ(検査)することで「ブラックホール問題」を回避します。一つの経路が切断された場合、別な経路に自動的に切り替わるので、レジリエンシーを高め安定した通信を確保することができます(図5)。
図5 Application Path Resiliency の概念図

   

  • TCP Flow Conditioning
    これは、VPN 環境で発生しがちなフラグメント(パケット分割)による性能劣化を低減する機能です。仮想マシン同士で TCP 通信を開始する際、TCP Three Way Handshake のネゴシエーションで vNIC の MTU をベースとした Maximum Segment Size (MSS) が決まります。一方、サイト間を L2延伸(IPSec VPN)で構成した環境では、VPN トンネルの入り口でパケットにヘッダー情報が追加されます。先の仮想マシン間で決めた MSS は、このオーバーヘッドを考慮していないため、L2延伸環境の通信ではパケットサイズが変わりフラグメントが生じてしまいます。TCP Flow Conditioning は、仮想マシン同士でやりとりされるネゴシエーションを HCX がインターセプトして VPN のオーバーヘッドを考慮した MSS に調整します。その結果、フラグメントの発生を削減し、性能劣化を回避します(図6)。
図6 TCP Flow Conditioning の概念図

   

  • Mobility Groups
    HCX で仮想マシンの移行を実行する時、移行対象の仮想マシンをリストから選び、移行手法や移行先リソースを選択する操作が必要になります。しかし、対象の仮想マシン数が多くなると選択する操作が増えるため、若干非効率だと感じられるケースがありました。Mobility Groups を使えば、移行対象の仮想マシンを簡単にグループ化できるので、操作がシンプルになります(図7)。例えば、タグや名前で移行対象を抽出することもできますし、リソースプールに含まれるものを一括でグループ化することもできます。移行プロセスのステータスもグループ単位で確認できるので、大規模環境の移行でも操作効率が向上します。
図7 Mobility Groups の概念図

   

まとめ

2020年11月より 、VMware Cloud on AWS ユーザーは追加料金なしに HCX をフル活用できるようになりました。これでハイブリッドクラウドの運用をさらに効率化できます。また、これからクラウド移行を目指す企業にとっても大きなメリットになることは間違いありません!ぜひ VMware Cloud on AWS の採用をご検討ください。

   

関連情報リンク(英語)

< 11月12日追記 > 記載内容に誤解を招く表現があったため、一部タイトルと内容を訂正しました。