昨年実施した調査では、柔軟な働き方(勤務時間の柔軟性やリモートワーク)に対する、優秀な人材からのニーズの高まりが明らかになったほか、企業側はそのような状況をふまえ、より高い柔軟性をもった働く場所の提供や通勤圏外からの人材採用を始めました。これらは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発生以前の話であり、現在は世界中の何十億人ものナレッジワーカーが、COVID-19のパンデミック対策のため、予期せぬ形で十分な準備期間もなく在宅勤務を求められました。
企業によるリモートワークの導入と成長は、わずか1か月で大幅に早まりました。企業がリモートワークを許可すべきかどうかは、もはや問題ではなく、今は、どのように、いつ行うか、が焦点となっています。これにより、リーダーの考え方は、リモートワークを採用すべきかどうかから、できるだけ早くバーチャルワークを活用する方法へと進化させる必要があります。 すべての企業が、COVID-19の緊急事態やその他の異常事態に対し、同様の経験とはならないまでも、主要なステップを理解することで、不確実性による変化に備えることができます。 |
||
リモートワークに関するコンサルティングを行うDistribute ConsultingのCEOであるローレル・ファラー(Laurel Farrer)氏 |
第1ステップ: アクション
最小限の変更に留めた、短期間での緊急計画を策定
教育からエネルギー、IT、金融サービスに至るまで、あらゆる業界の企業や組織が迅速に行動し、ビデオ会議、クラウド キャパシティ、仮想デスクトップ、その他リモートワークに適したテクノロジーを事業継続のために導入しました。また、多くの企業は、従業員がノートパソコンやデスクトップ、モニター、キーボード、デバイスなどをオフィスから新しいワークスペースに持ち出すことを許可しています。
しかし、ツールは効果的なバーチャル コラボレーションの唯一のカギではなく、緊急事態のなかで新しいツールを導入することは、逆に生産性の低下を招く懸念があります。ソフトウェアやテクノロジーは、緊急時における実行や履行の効率化には役立ちますが、それ1つで効果的なコミュニケーション チャネルの代替えとはなりません。したがって、短期間での緊急計画を設計する際には、シンプルで親しみやすいものにする必要があります。
第2ステップ: コラボレーション
影響の長期化に備えた、対応策を練る
ビジネス部門とIT部門は、混乱の規模と深刻度を考慮のうえ、ITロードマップを再検討し、短期と長期双方の目標達成にむけた最善策を練る必要があります。なお、この計画策定においては、アプリケーションからインフラストラクチャまで、顧客体験や従業員体験に関して考慮すべき重要事項を網羅すべきでしょう。
これをリソース(時間と予算)の浪費を防ぎ、効果的に行うためには、信頼できるさまざまなアドバイザとの連携が重要になります。優れた方法の1つは、全部門の代表者やリーダーが参加するシンクタンクやコミッティを設け、それぞれが平等な発言権を持ち議論することです。この社内のコラボレーションにより、将来の変更管理プロセスが最適化されるとともに、合意の形成や情報へのアクセスが確保されます。
第3ステップ:つながり
協調性のあるチームワークで、緊急時対応策を実施する
企業には、オフィスでの相互コラボレーションとパートナーシップをリモート環境に移行するためのアプローチが求められます。リモートワーカーの孤立を防ぐために、個人が職場との繋がりを感じ、その貢献が認められる必要があります。
繋がりを育む親近感が得られなければ、リーダーは従業員との交流を意図的かつ革新的に行う必要があります。リモートワークでの人的要素を過小評価せず、チームは時間をかけて、セルフモチベーション、信頼性、共感性など、在宅ワークに求められる重要なスキルをレビューし、社内に定着させます。これらのポイントを抑えることで、従業員はお互いに離れていてもチームメンバーとのつながりをより強く感じることができ、企業文化や人材の定着を促進します。
第4ステップ:生き残りから利益創出まで
事業継続と経済的サステナビリティを推進する
働く場所の変革は、事業の生産性を向上します。また、デジタルトランスフォーメーションの導入に迅速に取り組んだ企業は、高い収益性、エンゲージメント、定着率など、リモートワークで実現しうる企業のメリットを享受できます。その結果、企業の持続可能性と経済的回復力は、着実に強化されるでしょう。
最近の調査では従業員は、人事とITの専門家に対し、従業員体験の向上や従業員が行った業務実績や成果の透過的な共有を望んでいることが分かりました。全社的なデジタルトランスフォーメーションはその良い機会となりますが、期待される事項を明確に設定し、企業全体で合意する必要があります。
なお、Distribute Consultingでは、この取り組みをはじめるための議論のたたき台として、ポリシーチェックリストを提供しています。
最後に
リモートワークをすでに導入済かどうかに関わらず、生産性が高く安全なバーチャルワーク環境の構築、強化に取り組むことで、企業は競争力と、将来における緊急時の回復力を強化できます。地理的な制約を超えて、従業員や企業が活躍できるようなバーチャルな企業文化の構築に関心があれば、「Future of Employee Experience Summit」(オンデマンド配信)をご視聴ください。
*US参考資料原文、および参考資料内コメントは下記URLよりご覧ください。(英語サイト)
https://www.vmware.com/radius/4-phases-help-remote-workforce/