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ネットワールド的検証結果報告 Part-2 (VxRail Intel® Optane ™ SSD のパフォーマンスはどの位出るのか!?)

皆様こんにちは!

株式会社ネットワールドの Dell EMC 製品担当です。

前回に続いて、連載5回目は「VxRail  Intel® Optane ™ SSD をキャッシュドライブで利用するとどれくらい性能が出るのか?」の検証結果の続きに関してご報告したいと思います!!

 

<アジェンダ>

  • 検証環境

  • パフォーマンス検証結果① -> 前回の Blog で実施済み!!

[ハードウェア構成]

モデル:Hybrid

キャッシュ:SSD

ネットワーク:10GbE、ノーマルフレーム

 

  •  パフォーマンス検証結果② -> 前回の Blog で実施済み!!

[ハードウェア構成]
モデル:All Flash
キャッシュ:Intel Optane
ネットワーク:10GbE

 

  •  パフォーマンス検証結果③ -> 今回はここから!!

[ハードウェア構成]
モデル:All Flash
キャッシュ:Intel Optane
ネットワーク:25GbE

 

 

なお、VxRail はVMware  vSphere にストレージ機能 VMware vSAN 機能を標準搭載した VMware 社とデル・テクノロジーズ社が共同開発した HCI になります。VxRail の基本的な事運用管理面に関して疑問をお持ちの方はぜひ、以前のブログをご参照下さい。

 

そして最後には、キャッシュを Intel® Optane ™ SSD に変更するとどれだけ価格が変わってくるのか?など、実際に検討するには気になってしまうポイントにも触れますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。

 

では、早速前回の続きですが、前回は、VxRail Intel® Optane ™ SSD でパフォーマンス検証をしてみたところ、どうやら、10G ネットワークの帯域がボトルネックとなっている模様です。では、リンクスピードを25Gに変更して同じワークロードを流してみましょう。

③ All-Flash Optane キャッシュ (25GbE) でのパフォーマンス

 

◆IOPS  (参考値)
10G ネットワークと 25G ネットワークで比較した事、IOPS 値で Read 性能として、14 % の性能向上 / Write 性能として、8% の IOPS 性能の向上が本検証結果から確認できました。
ベースラインの Hybird 構成と比較すると、Read 性能として、5.21 倍 / Write 性能として、5.27 倍の IOPS 性能が出ている事が本検証では確認することができました。

 

 

◆スループット (参考値)
こちらも 10G ネットワークと 25G ネットワークで比較した事、こちらもスループットとしては、Read 性能として 5% / Write 性能として 8% のスループット向上が本検証では確認できました。
ベースラインの Hybird 構成と比較すると、Read 性能として 5 倍 / Write 性能として 5.23 倍のスループット性能が出ている事が本検証では確認することができました。

◆遅延(参考値)

こちらも 10G ネットワークと 25G ネットワークで比較した事、Read 発生時の遅延として 34% / Write 発生時に 15% の遅延を抑えられていることが確認出来ました。
また、ベースライン (Hybrid構成) と比較すると Read 発生時には、ベースラインの 20% 程度 / Write 発生時には、ベースラインの 33% 程度の遅延に遅延を抑えられている事を確認しました。

 

 

 

④ All-Flash Optane キャッシュ (25GbEジャンボフレーム) でのパフォーマンス

ちなみに、VxRail はノーマルフレーム (MTU=1500) でデプロイされますが、ジャンボフレームをサポートしています。
VMWare 社としても、ジャンボフレームが使用できる環境であれば使用を検討するように推奨事項として記載されているので、ジャンボフレームにしてベンチマークを測定してみます。

参考:vSAN Design and Sizing Guide (P.24)
http://www.vmware.com/files/pdf/products/vsan/VSAN_Design_and_Sizing_Guide.pdf

ちなみに、MTU の設定変更となると、すべてのノードの VMkernel を変更する必要があるので、かなり手間がかかりますよね?
VxRail の設定変更手順を確認してみると、今回検証に使ったバージョンでは MTU 変更ツールが配布されています。
Powershell で引数を指定してスクリプトを実行するだけなので、とても簡単にフレームサイズの変更ができました。

 

 

※ VxRail 側の設定変更前に、対向スイッチのフレームサイズ変更を実施する必要があります。
無事フレームサイズを MTU = 9000 に変更できたので、早速ベンチマークを測定してみます。

◆IOPS (参考値)
25G ネットワークを利用したデフォルト設定 (MTU:1500) と比較して、ジャンボフレームを利用した場合、Read 発生時に、4% 程度 / Write 発生時に、11% 程度のパフォーマンス向上が確認できました。

 

 

 

◆スループット (参考値)
25G ネットワークを利用したデフォルト設定 (MTU:1500) と比較して、ジャンボフレームを利用した場合、Read/Write 発生時ともに 11% の性能向上を確認することが出来ました。
また、ベースラインの Hybird 構成と比較した場合、Read 発生時に 5.55 倍 / Write 発生時に 5.82 倍のスループット性能の向上を確認することが出来ました。

 

 

◆遅延 (参考値)
25G ネットワークを利用したデフォルト設定 (MTU:1500) と比較して、ジャンボフレームを利用した場合、Write 発生時に 17% の遅延を抑える事を確認できました。また、ベースライン (Hybrid 構成) と比較した場合、Read 発生時には 20% 程度、Write 発生時には 27% の遅延に抑えていることを確認できました。

 

 

⑤ VxRail 7.0 All-Flash Optaneキャッシュ(25GbE)でのパフォーマンス

2020 年 4 月に vSphere7.0 がバンドルされた VxRail 7.0 がリリースされました。
当然、vSAN も 7.0 にアップデートされています。ということで、早速アップデートしてみたいと思います。

 

VxRail アップデート ①

vCenter にアクセスして、vCenter Plug-in からアップグレード開始

 

VxRail アップデート ②

ファイルをアップロードして、そのままアップグレードを進めます。

 

VxRail アップデート ③

vCenter7 の仕様変更に対応する為、テンポラリ IP を指定して、そのままアップグレード作業を続行

 

VxRail アップデート ④

ウィザードを進めているともうアップデート作業は完了。サービスへの影響も無いし、本当に簡単でした。

 

⑤vSphere7 へのアップグレードした場合でのパフォーマンス

◆IOPS (参考値)

ESXi6.7U3 と比較して、ESXi7.0 では、Read 発生時には 19% / Write 発生時には 11% のパフォーマンス向上が確認できました。ESXi7.0 へアップグレードの前後 (同一ハードウェア) でパフォーマンスを取得・比較しているため、ESXi7.0 ではやはり、パフォーマンスも更に向上している事が確認できました。

 

◆スループット (参考値)

ESXi6.7U3 と比較して、ESXi7.0 では Read 発生時には 15% / Write 発生時には 11% のパフォーマンス向上が確認できました。こちらも、ESXi7.0 ではやはり、パフォーマンスも更に向上している事が確認できる結果となりました。

 

◆遅延 (参考値)

Read発生時で 20% / Write 発生時に 28% の遅延を抑えることが出来ました。こちらも ESXi7.0 へアップグレードすることにより、ハードウェアをより効率的に活用できることがわかる結果となりました。

 

⑥ FTT=0 の場合のパフォーマンス (参考)

VxRail デフォルトの SPBM では、FTT=1,Mirroring となっているので、同じデータを二つのキャッシュデバイスに書き込みする挙動となります。となると、単純に IOPS で計算すると値は半分になってしまいます。その為、試しに FTT=0 の SPBM を作成してベンチマークを測定してみましょう (本番環境では行わないでください。あくまでも検証作業の範囲内で実施しております)。
結果、Write の IOPS として約 50 万 IOPS を達成しました。
P4800X の公称値が Write で 50 万 IOPS なので、ハードウェアスペックの公称値を達成することができた事となります。

 

◆ボトルネックの有無

vRealize Operations や esxtop、vsantop コマンド等で、CPU / メモリ / ネットワーク / キャッシュディスクといった各コンポーネントのリソース状況を確認してみましたが、ボトルネックとなる部分は特に見られませんでした。すなわち、VxRail は非常にバランスが取れているハードウェア構成を実現しているという事が確認できました。

 

 

なお、esxtop コマンドは ESXi 上に昔から存在しているコマンドラインツールですが、vsantop コマンドは vSAN6.7U3 から追加になっている vSAN パフォーマンス調査用のコマンドラインツールになります。もし、ご存じない方はぜひ、一度、ご活用頂ければと思います。

 

◆本検証での結論

・ハードウェアスペックの公称値を達成する様なパフォーマンスが確認できた。

P4800X の公称値で Random Write = 50 万 IOPS なので、オーバーヘッド等も考慮すると VxRail で性能を十分に発揮できると考えられる。

 

 

・Hybrid モデルと比較し、6 倍近いパフォーマンス差が測定された。

但し、CPU,メモリ等の構成が異なるため、Intel® Optane ™ SSD をキャッシュ層として利用するだけで 6 倍の性能向上が見込めるとまでは一概には言えません。あくまでも一つの検証結果という事で参考としてご利用下さい。
なお、”6 倍のパフォーマンス結果出た” というと、Hybird 構成が遅く感じてしまうかもしれませんが、Hybrid 構成でも一般的な仮想環境では必要十分なパフォーマンスを計測しております (むしろ、既存の 3Tier 構成等と比べても十分、高速なパフォーマンスを計測しております!!) 。具体的なパフォーマンス結果が気になる方はネットワールド担当営業までご連絡ください。

 

 

・Intel® Optane ™ SSD 構成で VxRail(vSAN) を組む場合、25G /100G ネットワーク等の選択も必要に応じて検討する必要がある。

Intel® Optane ™ SSD のパフォーマンスを最大限発揮するためには、vSAN ネットワークを今までの様に 10G ネットワークだけでは無くて、25G / 100G ネットワークの構築も検討する必要がある (これは VxRail に限らず、他社製品も含めて HCI という製品と上手に付き合うための構成における重要なポイント)。そうしないと、今後、どんどん出てくるであろう Intel® Optane ™ SSD の様な高速なディスクを利用して、スケールアウト構成を組んでいく際にネットワーク側がボトルネックになり得るので、初期からそこまで考慮して設計することが大切。また、ジャンボフレームなどの採用も追加費用が発生する作業ではない為、構築時にはぜひ、検討して頂きたいポイントです。

 

 

・非常に高いパフォーマンスが要求されるアプリケーションも十分に VxRail で稼働させられることが確認できた

高い IOPS / スループットを計測する一方で、かなりの低い遅延を実現しているため、高いパフォーマンスを要求される様なアプリケーションでも十分、稼働させることができると考えられる。その為、今までは少し躊躇してしまう様なデータベースや基幹業務で利用するアプリケーション等もハイパフォーマンス・低遅延で実行できる環境が VxRail で実現可能なことが確認できました。
(また、メジャーバージョンアップというと非常に多くの準備が必要になる作業だと思いますが、メジャーバージョンアップ等も非常に簡単に無停止で行える所も VxRail の良さですね!!)

 

 

・VxRail は全てのハードウェアコンポーネントがバランスよく選択されていることを確認

高い IOPS / スループットを計測した中で、明確なボトルネックとなっているコンポーネントを特定することはできなかった。採用されている各ハードウェアコンポーネントがバランス良く配置されており、コンポーネントレベルでのサチレーションが発生していない事も確認することができた(ディスク 1 本ずつの遅延を計測する様なツール類も充実しており、仮に何か問題が発生した時にも充実した運用管理ツールがあることも確認できた)。

 

 

◆本ブログでのまとめ

VxRail に Intel® Optane ™ SSD を搭載することにより、パフォーマンスの向上が可能ということがおわかり頂けたかと思います。
では実際価格はどうなのか?性能が良いので当然高いんでしょう?と思ってらっしゃる方もいると思いますので、実際に価格試算をしてみました。

キャッシュディスク以外は全て同じスペックにしています。

【SSD構成】

CPU : Intel(R) Xeon(R) Gold 6230 CPU @ 2.10GHz * 2socket
Memory : DDR4 32GB * 12 =384GB
Cache Disk : 375GB SSD * 2
Capacity Disk : 1.75TB SSD * 4
NIC : Broadcom Dual 25Gb Ethernet

 
【Intel® Optane ™ SSD 構成】

CPU : Intel(R) Xeon(R) Gold 6230 CPU @ 2.10GHz * 2socket
Memory : DDR4 32GB * 12 =384GB
Cache Disk : Intel® Optane™ SSD DC P4800X 375GB * 2
Capacity Disk : 1.75TB SSD * 4
NIC : Broadcom Dual 25Gb Ethernet

 
価格差はどれくらいになるかというと・・・

 

 

定価ベースで SSD 構成と比べて Intel® Optane ™ SSD 構成の方が約 1.1 倍となりました!
※2020 年 7 月現在

 

かなりお得に導入が出来ますね!

 

もちろん、ネットワールドでは今回の検証した内容で比較をしたいので両方の見積りをください!というご要望も喜んで対応させて頂きます!! 複数構成のパターンでもご遠慮なくご依頼頂ければと思います。
また Intel® Optane ™ SSD の性能を引き出すチューニングのご相談から構築まで、VxRail 担当エンジニアが対応させて頂きますので、VxRail の構築作業もぜひ併せてネットワールドにお任せください!

それではここで全 5 回の連載が終了となります。最後まで読んでいただきありがとうございました。ブログを通して VxRail が良さが伝わり、選択肢の一つになっていただければ幸いです!!

ネットワールドはこれからも蓄積してきた技術的ノウハウを活かして、さまざまな情報配信を行ってまいります。

今後もVxRailの最新情報を得たい方は、ぜひネットワールドのVxRailチャンピオンクラブにご参加ください!
https://www.networld.co.jp/product/emc/emcvxrail_championsclub/