第2回 シュナイダー ( APC ) UPS と VMware vSAN はシャットダウン連携ができるんです!! ~電力消費量計算編~
#第1回 シュナイダー ( APC ) UPS と VMware vSAN はシャットダウン連携ができるんです!!
~導入構成編~
#第2回 シュナイダー ( APC ) UPS と VMware vSAN はシャットダウン連携ができるんです!!
~電力消費量計算編~
#第3回 シュナイダー ( APC ) UPS と VMware vSAN はシャットダウン連携ができるんです!!
~2 Node vSAN 対応とよくある QA編~
◆はじめに
はじめまして! 田中電機工業株式会社 中野 (左) と 村上 (右) です。
田中電機工業は広島でシステム・ネットワーク構築、アプリケーション開発をはじめ、コンサルティングから設計、構築、運用、保守まで、システム全般のサポートを行っております。
http://www.tanaka-elec.co.jp
前回のシュナイダーエレクトリック 出口さんの続きとして、VMware vSANとシュナイダー UPSを自社の本番環境に導入した実績を基に、「構成と製品選定のコツ」、「バッテリー稼働時の耐久時間」「シャットダウン時の動き」をご紹介していきます。
1.構成と製品選定のコツ
2018年10月現在で、我々の会社では3ノードの vSAN 上で約50台のVMが稼働しています。
? vSAN を構成しているハードウェアはこちら
? vSAN と UPS の構成図
vSAN と UPS の物理接続構成はこの様になっています。
もし導入構成で迷われている方がいましたら、ぜひ参考にしてください!!
では具体的にUPS製品の選び方を見ていきましょう!
シュナイダー社が提供している UPS 製品のラインナップは以下の様に豊富に提供されていますが、HCI 環境で使う場合には赤字でマークしてある製品を検討いただくことが多くなるかと思います。 (2018年1月現在のラインナップ)
お気づきの方もいるかも知れませんが、製品名に書かれている「2200」や「3000」という数字は UPS の保持電力量になります。
vSAN 環境で UPS を使う場合は複数のノードの扱うことになりますので、上の表でマークしたような、ある程度の電源容量がある型番が選ばれることが多くなりそうですね。
2.電源容量とUPS稼働時間の計算方法
では、いよいよ UPS を選んでいくにあたって 皆様が気にされていると思われる電源容量と稼働時間の算出方法を見ていきたいと思います。
稼働時間を算出するには、以下のポイントを確認いただければ簡単に算出していくことが可能です。
-
UPS の電源容量
?こちらは先程お見せしたリストのように、UPS型番をみれば電源容量は一目瞭然ですね (^^♪
-
接続するサーバーの合計消費電力
? 弊社で導入したvSAN基盤は Lenovo 社のサーバーを使っていますので、こちらのサイトから詳細に電力を算出しました。
http://dcsc.lenovo.com/
最大電力消費量は3ノードで1983.6 W。
運用中の負荷が70% 程度の使用率と考えた場合の消費量は以下になります。
「皮相電力」 ・・・ 2009.7 VA × 70% = 1406.79 VA
「消費電力」 ・・・ 1983.6 W × 70% = 1388.52 W
2台冗長構成で実装しており、3台の電源消費量を2台で分散して処理しますので、UPS 1台あたりの消費量は以下のとおりです。
「皮相電力」 ・・・ 1406.79 VA ÷ 2 = 703.395 VA
「消費電力」 ・・・ 1388.52 W ÷ 2 = 694.26 W
使っている UPS 型番と機器の消費電力が算出できたら、シュナイダー社の以下ドキュメントに記載されている各 UPS 毎のバックアップ時間表を確認することで、簡単に計算をすることができます。
http://catalog.clubapc.jp/pdf/ups/small-ups_1510.pdf
※P23 を参照。以下に抜粋
今回の使用している UPS は一番右の SMT3000RMJ2 です。
先程算出した皮相電力と消費電力が当てはまる部分を赤枠で囲ってみました。
ということで、今回の構成ではバッテリー稼働時に20分間は問題なく稼働できるということが確認できました。
- 以下リンク、第1回目ブログのサンプル構成にマッチする構成から製品選定をしたい場合も簡単ですね (^_^)
https://blogs.vmware.com/vmware-japan/2017/12/schneider_apc_ups_vsan66_1.html
3.UPS稼働時のシャットダウン動作と電源復旧時の起動方法
最後に望まないことではありますが、もし実際に電源障害が発生してしまい、UPSで vSAN を安全にシャットダウンしなければならない状況が発生した場合に、「どのような流れでシャットダウンが行われているか?」と「電源復旧時のシステム起動方法」を実際に運用した際の勘所を交えてお伝えします。
[シャットダウンフローはこちら]
[電源を復旧させる場合のフロー]
・vSAN ノードと vCenter Server が異なるホスト上にある場合
今回はこちらの流れになります。
1.UPSの通電を開始
2.vCenter Server の起動
3.ESXiホストの起動
4.ESXi ホストのメンテナンスモードを終了
5.各仮想マシンを起動
※2番でESXiホストよりも先にvCenter Server を起動していますが、Virtual Appliance 版のvCenter ServerをvSANノード上に配置している場合は、次にご紹介するフローで起動可能です。
・vSANノード上にvCenter Serverが配置してある場合
1.UPSの通電を開始
2.ESXi ホストの起動
3.ESXi ホストのメンテナンスモードを終了
4.vCenter Server の起動
5.各仮想マシンを起動
vSANの機能はESXiホストが実装している機能なので、vCenter Serverが起動していなくても
vSANデータストアは使用できるのです ε-(´∀`*)ホッ
最後に実装と運用する際の勘所をサマリにまとめました。
・vSAN をメンテナンスモードに移行していく際に、一度に全てのホストがメンテナンスモードには移行するのではなく、1台ずつ順番にメンテナンスモードに移行します。
・PowerChute Network Shutdownでコマンド実行を行う場合、サービスを起動するユーザで実行します。うまくいかない場合は、管理者権限のあるユーザに変更する必要があります。
・ホストをメンテナンスモードに移行させるためにSSH接続を使用しますが、初回にセキュリティ警告が表示されますので、unknown_hostsリストに該当のESXiホストサーバを追加する必要があります。
実装するスクリプトや、詳細な情報については以下のURLが参考になりましたのでご覧ください。
https://www.schneider-electric.co.jp/ja/faqs/FA329212/
4.さいごに
いかがでしたでしょうか?
HCI を導入する際に vSAN を採用すれば、今まで vSphere で蓄えた知識を基に、簡単にUPSを導入できることがイメージしていただけたのではないかと思います。
弊社では検証環境用に 2 ノード vSAN も導入しています。
社内で身につけた 2 ノード vSAN 構築、運用、3rd パーティ製品連携の勘所なども、いずれご紹介したいと思いますのでご期待ください!!
PS : 広島へお越しの際は、お土産に平安堂梅坪にも寄ってみてください。
特にバターケーキが村上のオススメです。