こんにちは。株式会社ネットワールドのバックアップ製品担当SEの臼井です。前編では初回ということで、Veeam Backup & Replication(VBR)の概要について、ご紹介させていただきした。後編となる今回はvSAN環境でのVBRについてご紹介してきます。
Veeam Backup & ReplicationのvSANバックアップ(前編)
vSAN対応バックアップソフト
バックアップ製品によって、多少の違いはあるものの、最近ではほとんどバックアップ製品がvSAN対応を謳っていますが、VBRは独自にvSAN上でテストしているだけでなく、VMware様のvSAN認定を受けています。
VMware様のvSAN認定を受けているバックアップソフトは、下記のvSANのCompatibility Guideから確認することができます。
https://www.vmware.com/resources/compatibility/search.php?deviceCategory=vsanps
このブログを書いている時点(2018年5月)では、Data Protectionのタイプで検索すると下記のバックアップ製品がリストされました。VBRも掲載されており、認定済みですので、安心してvSAN環境でご利用いただけます。
VBRのvSANサポート
vSANは2014年3月11日にリリースされたvSphere 5.5 Update1において、vSAN1.0(vSAN 5.5)として最初にリリースされましたが、VBRはその3か月後の2014年6月にリリースしたVBR 7.0 Patch4でいち早くvSANのサポートを開始しました。そして、vSANのバージョンアップに合わせて、VBRも対応し、昨年末にリリースされたVBR 9.5 Update 3では vSAN 6.6.1まで対応しております。
現在はvSphere 6.7がリリースされておりますので、vSANの最新は6.7になりますが、VBRは次のアップデートでvSphere 6.7をサポートする予定になっておりますので、vSAN 6.7もすぐにサポートされることでしょう。
Veeam Backup & Replication support for VMware vSphere
https://www.veeam.com/kb2443
vSAN環境でのVBR
VBRのvSAN対応の特徴の1つとして、ストレージ ポリシーベース管理 (SPBM) への対応があります。vSANを使用する場合、パフォーマンスや可用性などの仮想マシンのストレージ要件(冗長化)を仮想マシンストレージポリシーという形で定義します。
バックアップソフトによっては、デフォルトの仮想マシンストレージポリシー(Virtual SAN Default Storage Policy)以外を割り当てていても、リストアするとデフォルトの仮想マシンストレージポリシーが割り当てられてしまい、リストア後に仮想マシンストレージポリシーの再適用が必要になることがあります。
それに対して、VBRは仮想マシンストレージポリシーを認識し、仮想マシンストレージポリシーの情報を含めてバックアップしているため、仮想マシンストレージポリシーの再適用は不要です。また、バックアップ時と異なる仮想マシンストレージポリシーを割り当ててリストアするといったことも可能です。
VxRailでの検証
実際に弊社環境で仮想マシンストレージポリシーがリストアされるのか検証してみました。vSAN環境としてDell EMC社のVxRail を使用し、非vSANのESXiホスト上に展開したData Domain Virtual EditionへDD Boostを使用してバックアップする構成です。
新規でRAID1-(Mirroring)の仮想マシンストレージポリシーを作成し、バックアップ対象の仮想マシンに割り当ててから、バックアップを取得しました。
仮想マシンのリストアウィザードのリストア先のデータストアの指定する箇所を見てみると、割り当てていた仮想マシンストレージポリシー(Mirror Policy)が表示されています。
検証では新しい別の仮想マシンとしてリストアしましたが、元通りに仮想マシンストレージポリシーが適用された状態でリストアされており、VBRが仮想マシンストレージポリシーに対応していることが確認できました。
vSANバックアップのベストプラクティス
vSAN上でVADPを使用して仮想マシンをバックアップする際、転送モードとしては、SANモードは使用できず、NBD(SSL)モードかHotAddモードのどちらかを使用する必要があります。
今回のVxRail上での検証では、VBRサーバを仮想マシンで用意しましたが、VBRは転送モードを選択することが可能です。追加でNBDモードとHotAddでバックアップ・リストアの時間がどれほど違うのか検証してみました。
バックアップ結果が下の表になります。47GBの少量のデータの場合、HotAddモードとNBDモードでバックアップ時間に大きな違いはありませんが、プロセスレートでは、HotAddモードはNBDモードの2倍以上のスループットが出ています。1.1TBのデータをバックアップした場合には、バックアップ時間としてもNBDモードはHotAddモードの2.5倍以上の時間がかかりました。
下の表はリストア時の結果ですが、リストア処理ではData Domain上の重複排除されたデータを元の状態に戻してリストアされる(データストアに書き込まれる)ため、バックアップよりプロセスレートは落ちます。47.6GBのリストアにおいては、NBDモードとHotAddモードは誤差の範囲で差はありませんが、1.1TBのリストアでは差が表れており、HotAddモードの方が早い結果となっています。
以上の結果から、vSAN環境では物理のバックアップサーバを構成して、NBDモードでバックアップするより、仮想でバックアップサーバを構成してHotAddモードでバックアップした方がより高速にバックアップ・リストアすることができると考えられます。
更に、Data DomainのDD BoostやStoreOnceの Catalystを利用すれば、VBRサーバ上で重複排除処理をしてからバックアップストレージにデータを転送することで、データ転送量を減らし、より高速なバックアップが期待できます。
まとめ
vSAN環境のバックアップの視点でVBRをご紹介させていただきましたが、如何でしたでしょうか?もっと詳しくvSANのバックアップやVBRについて知りたいという方は、お気軽に弊社までご相談いただければ幸いです。弊社ではVBR以外にも多くのバックアップソフトを扱っておりますので、お客様の環境や要件に合わせて最適なバックアップソリューションをご提案させていただきます。
執筆者:
株式会社ネットワールド
SI技術本部 ストレージ基盤技術部
ストレージソリューション2課
臼井 守(Usui Mamoru)
■ネットワールド Veeam製品情報
https://www.networld.co.jp/product/veeam/
■ネットワールドらぼ (ネットワールド ブログ)
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