いよいよ、8 月 30 日より米サンフランシスコで開催される VMworld 2015。このイベントでの新情報を楽しんでいただくために、最近発表した新しいテクノロジーを何回かのエントリでまとめて説明します。
最初のエントリでは、VMware が取り組む最新領域の 1 つである「クラウド ネイティブ アプリケーション」関連のテクノロジーについて取り上げます。
VMware がクラウド ネイティブ アプリケーションの領域で目指していること
近年、クラウド上で開発されるウェブやモバイル系を中心に、アプリケーションの作り方/運用の仕方が変わってきています。継続的デプロイと呼ばれるように個々のサービスが頻繁に更新され、DevOps という新しい開発/運用のやり方や、コンテナなど新しい仮想化の技術が注目され始めています。
既存のアプリケーションの動作環境として VMware 製品は広く使われていますが、この新しいクラウド ネイティブ アプリケーションの領域において、VMware は何ができるのでしょうか?
VMware が目指すのは「One Cloud, Any Application」、すなわち、単一のハイブリッド クラウド プラットフォーム上で、このような新しいタイプのアプリケーションと既存のアプリケーションの両方を稼働させ、それらを一元管理できる環境を提供していくことです。
4 つの新しいテクノロジーの発表
この実現に向け、ここ数ヶ月の間に、VMware はこの領域において 4 つのテクニカルプレビューを発表してきました。まず、2015 年 4 月に Project Photon と Project Lightwave、そして 2015 年 6 月に Project Bonneville と VMware AppCatalyst を発表しています。以下、これらの概要を説明しましょう。
Project Photon
- VMware が開発した、コンテナに最適化された軽量 Linux OS です。そのサイズは約 300MB と小さく抑えられています。vSphere / vCloud Air など VMware のプラットフォーム上で動かすことができ、将来的には VMware が提供する他の製品・サービスとの統合管理機能が入ってくる予定です。
- Docker、rkt、Garden という 3 つのコンテナテクノロジーをサポートしており、ユーザは自社のニーズに最適なコンテナ ソリューションを選ぶことができます。
- vSphere / vCloud Air は、CoreOS などのコンテナに最適化された他の Linux ディストリビューションもサポートしています。ただ、顧客がコンテナにおいて開発系から本番系まで一貫性のある管理を望んだときに、私たちは管理機能をより強化する必要があると感じ、Photon を開発しました。
- Photon は GitHub 上から入手することができます。 http://vmware.github.io/photon
- また、Vagrant イメージも提供されています。 https://atlas.hashicorp.com/vmware/boxes/photon
Project Lightwave
- コンテナ環境において、ID/アクセス管理を行うためのソフトウェアです。多数のマイクロサービスが動作するクラウドネイティブアプリケーション環境では、ID/アクセス管理が重要になってきます。Lightwave は、この分野に対する、業界として初めての取り組みになります。
- コンテナ環境の安全性を高めるために、シングルサインオン(SSO)、認証、およびパスワード/トークン/証明書を利用した権限管理などの機能を、一元化されたソリューションとして提供します。マルチテナントにも対応しています。
- Kerberos、LDAP v3、SAML、X.509、WS-Trust など、複数のオープンスタンダードに対応しており、またデータセンタで利用されるそのほかの標準化されたテクノロジーにも対応できるよう設計されています。
- Lightwave は GitHub 上から入手することができます。 https://vmware.github.io/lightwave
Project Bonneville
- Bonneville は、vSphere 6.0 の新機能である Instant Clone と Project Photon を組み合わせて利用することで、「仮想マシンごとに 1 つのコンテナ」を利用できるレベルにまで仮想マシンを軽量化するためのテクノロジーです。最小限のオーバヘッドで、コンテナを VM 上で隔離しながら起動できます。
- Bonneville を通じて、安全かつ隔離されたコンテナが実現されるとともに、コンテナの挙動や場所などの可視性が vCenter Server などの VMware の管理ツールを通して提供されます。
- Instant Clone によって作られた VM は瞬時に起動され、作成の時点では物理的なメモリを消費しません。「仮想マシンごとに 1 つのコンテナ」を最小のオーバヘッドで実現でき、それでいて管理性や隔離といった VM の特性は保たれています。
- Bonneville は、今年後半にプライベートベータプログラムで利用可能になる予定です。
VMware AppCatalyst
- 多くの開発者が、クラウドネイティブアプリケーションの開発をノート PC 上で行っており、そのためにノート PC 用のハイパーバイザーを利用しています。
- VMware が新たに提供する開発者向けのハイパーバイザーである VMware AppCatalyst は、VMware Fusion のハイパーバイザー技術を活用し、そこに Project Photon を加えています。AppCatalyst では、Fusion の GUI が削除され、その代わりに開発者が利用しやすい API と CLI のインタフェースが加えられています。今後、ネットワーク/ストレージ仮想化の機能も加えられていく予定です。
- AppCatalyst は現在無償で利用することができるテクニカルプレビューで、コミュニティサイトからダウンロードすることができます。 https://communities.vmware.com/community/vmtn/devops/vmware-appcatalyst
One Cloud, Any Application を目指した、VMware が開発する新しいクラウドネイティブアプリケーションのテクノロジーに、ぜひ今後もご注目ください!