Horizon vSAN

Virtual SANクラスタへのHorizon Viewの導入

3月13日にヴイエムウェアはVirtual SANの提供開始を発表しました。VMware Virtual SANを使用すると、サーバに内蔵されたハードディスクドライブ(HDD)とサーバサイドフラッシュをプール化することで、仮想マシンに対して共有データストアを作成できます。
Virtual SANで作成した共有データストアは、Horizon Viewの仮想デスクトップ環境でも使うことができます。3月11日にリリースされたHorizon View 5.3.1で、Virtual SAN機能を完全にサポートするようになりました。(参考:Horizon View 5.3.1 リリースノート) これにより View Administrator でデスクトッププールを作成するときに、仮想デスクトップの格納先としてVirtual SANデータストアを選択できるようになりました。
VSANSummaryPic
Virtual SANを使用することで、外部ストレージ装置のない環境でも高可用性・パフォーマンスに優れた仮想デスクトップ環境を構築できるようになります。また、Virtual SANクラスタにサーバを追加するだけで簡単にディスクリソースを追加することができるため、ユーザ数の少ない小規模な環境から段階的に仮想デスクトップ環境を拡張したい場合に非常に適しています。
このブログエントリーでは、Virtual SAN データストアをHorizon View環境で使用するための要件と構成方法について記載します。なお、Virtual SAN上でHorizon View環境を構築する際の要件や手順についてはすでにKBが公開されています。本エントリーと併せてご参照ください。
①必要なコンポーネント
Virtual SAN上でHorizon View環境を構築する際には、以下のコンポーネントが必要です。

  • vSphere ESXi 5.5 update 1 以降
  • vCenter Server 5.5 update 1 以降
  • VMware Compatibility Guide でVirtual SANがサポートされているRAIDコントローラ、HDD、SSD
  • 3台以上のESXiホスト
  • Horizon View 5.3.1

サーバに内蔵するSSDとHDDはそれぞれ最低1本が必要です。前述のKBにも記載されているとおり、SSDの容量はHDDの合計容量の少なくとも10%が必要です。さらに vSphere ストレージのドキュメントにも記載されているとおり、Virtual SANが使用するネットワークの帯域は10Gbpsが推奨です。
Horizon View についてはバージョン5.3.1が必須となりますが、バージョン5.3.1はVirtual SAN上に仮想デスクトップ環境を構築する場合のみ使用します。Virtual SAN を使わない場合はバージョン5.3.1を使用せずに、バージョン5.3を使用するようにしてください。
②デスクトッププールの構成方法
Horizon View 側の構成手順は非常に簡単です。View Administratorでデスクトッププールを作成する際に仮想デスクトップの格納先としてVirtual SANデータストアを指定するだけです。このとき、Virtual SANデータストアのタイプは「vsan」として表示されます。なお、リンククローンとフルクローンのいずれのプールでも作成が可能です。ただし、リンククローンのプールを作成する場合はレプリカ・OSディスク・パーシステントディスクを格納するデータストアを分離しないように構成する必要があります。
vsanpool
③構成上の注意点
最後にVirtual SAN上のHorizon View環境に関する注意点を記載します。

  • 仮想デスクトップには常にデフォルトのストレージポリシーが適用されます。
    Virtual SANを使用すると、パフォーマンスや可用性などの仮想マシンのストレージ要件をポリシープロファイルの形式で定義できます。ストレージポリシーを自由に定義して仮想マシンに適用することができますが、Horizon Viewで展開した仮想デスクトップについては常にデフォルトのポリシーが適用されます。そのため、デスクトッププールごとに異なるポリシーを適用することはできません。デフォルトのポリシーについては、vSphere ストレージのドキュメントに詳細が記載されています。例えば「許容する障害の数」は「1」、「オブジェクトあたりのストライプの数」は「1」に設定されています。
  • リンククローン仮想デスクトップに対するSpace-efficient diskによるディスク再利用機能はサポートされません。
  • Virtual SANはVAAI(vStorage API for Array Integration)をサポートしません。
  • View Storage Accelerator機能はサポートされます。

Virtual SANはHorizon Viewと非常に相性が良い機能なので、ぜひご検討ください!
なお、Virtual SANについてはVMware製品をオンラインで扱えるハンズオンラボの中にすでにコンテンツがあります。(HOL-SDC-1308 – Virtual SAN (VSAN) and Virtual Storage Solutions) こちらにハンズオンラボの詳しい使い方がありますので、ぜひお試しください。実際の管理画面を操作しながら、Virtual SANの構成やポリシーの定義等について一通りを体感できるようになっています。