みなさん初めまして!
日本ヒューレット・パッカード株式会社(HPE)の橘孝祐(たちばなこうすけ)と申します。サーバー製品のプリセールスを担当しておりまして、VMware 仮想化技術支援をメインに行っております。
2020/4/2に vSphere 7が General Availability (GA) になりました。約 5 年ぶりのメジャーアップデートということで、どんな新機能が追加されたの?アーキテクチャの変更は?話題のコンテナ実装の情報は?対応機種は?などなど 知りたいことだらけではないでしょうか。今回から数回に分けて皆様の疑問を少しでも解決できるような有益な情報を展開していきますので、楽しみにしていてください。
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第1回 VMware vSphere 7待ちに待った メジャーアップデート速報!【HPE】
第2回 vSphere 7.0 時代のESXiブートデバイスの選び方【HPE】
第3回 vSANはファームウェアとドライバのチェックを忘れずに!!【HPE】
本日はその中でも 3 点先出しでご紹介したいと思います。
■対応機種公開!
まずは HPE ProLiant/Apollo サーバーファミリーの vSphere 7 対応機種のご紹介です。
図 1. vSphere 7 対応 HPE Gen10/Gen10 Plus サーバープラットフォームポートフォリオ(ProLiant およびApolloファミリー)
図1は vSphere 7 に対応した HPE サーバーです。最新情報は下記のリンクにありますので、導入前に是非チェックいただければと思います。
https://techlibrary.hpe.com/us/en/enterprise/servers/supportmatrix/vmware.aspx
最新第二世代の AMD®EPYCTM7000 シリーズプロセッサーを搭載した ProLiant DL325/385 Gen10 Plus サーバーももちろんサポート。ご家庭や SOHO ・オフィス向けの超小型最新サーバー 「Micro Server Gen10 Plus」も vSphere 7 をサポートしています。タワー型、ラックマウント型、高密度/HPC 型と HPE の豊富なラインアップでいち早く vSphere 7 をお使いになることができます。ポートフォリオの多さが HPE のウリです!
■GA 当日にバイナリ公開!
HPE では汎用サーバーである HPE ProLiant Server シリーズ向けの Custom ISO が GA 当日に公開されています。
図2. vSphere 7向けのベンダー Custom ISO のダウンロード(2020/4/13現在)
バイナリの入手は以下の URL からになります。(※入手にはMy VMware のアカウントが必要です)
https://my.vmware.com/en/group/vmware/info?slug=datacenter_cloud_infrastructure/vmware_vsphere/7_0#custom_iso
GA から10日が経過した 4/13 現在、Dell EMC さんと HPE が Custom ISO と Vendor Add-on を公開しています。
Custom ISO とは、VMware オリジナルのインストール ISO (Base Image)にサーバーベンダー各社が採用している NIC や HBA、RAID カードなどのデバイスドライバをあらかじめ組み込んだものです。HPE の場合、必ずしもこれを利用する必要はありませんが、Custom ISO を利用しない場合は
- 何のドライバが入っていないのかの確認
- 確認したドライバの入手
- 入手したドライバを ISO に組み込み、独自の Custom ISO としてリビルド
という煩雑な手順を踏んでようやく ESXi のインストールを始めることができます。ざっくり分けて3つの手順でできますが、「○○のドライバを追加し忘れた」や「独自の Custom ISO がうまく読み込まれない」といったことでスムーズに進まないことも少なくありません。これだけでもベンダー側で動作が確認されている Custom ISO の有益さが伝わっていただけたかと思います。
そして、これまでも vSphere Update Manager (VUM) を使用してパッチ適用やアップグレードを行っていましたが、vSphere 7からは vSphere Lifecycle Manager (vLCM) という新機能を用いて vCenter からもっと効率よくパッチ適用やアップグレードができるようになります。
図 3. vSphere 7の ESXi Image 構成要素
vSphere 7 では、アップグレードの際に上記画像のように構成要素が分かれて一つの ESXi Image を構成しています。Component は論理的にグルーピングされた VIB(ソフトウェアパッケージ)、Base Image は VMware 社から提供される ESXi Image, そして Vendor Add-on は vLCM を使用するにあたってベンダー側から提供するファームウェアやドライバ類になります。Vendor Add-on を適用することで、細かなファームウェアやドライバの変更に対してvCenter Server から効率よくアップデートを行うことができます。
※vLCMについて詳細は次回以降の記事でご紹介!
■新機能公開!
最後に、皆様が気になっている新機能について、ざっと一覧でリストアップいたします。今回は数も多いので、機能名と機能概要を一言のみお伝えいたします。
表 1. vSphere 7 新機能一覧
新機能名 | 機能概要 |
vCenter Server プロファイル | vCenter Server Profile のための REST API |
コンテンツライブラリ | VM テンプレートのチェックイン・チェックアウト/バージョニング |
vCenter Server マルチホーミング | vCenter Server 7 で複数のネットワークアダプタをサポート |
vCenter Server のスケーラビリティ改善 | ホストや VM の構成上限が増加 |
Skyline健全性 | vSphere 健全性がパワーアップ |
vSphere Lifecycle Manager (vLCM) | 一貫した ESXi とハードのライフサイクル管理を実現 |
vCenter Update Planner | vCenter のプリアップグレードチェックを実施 |
DRSの 改善 | ロジックの改善で性能向上 |
Assignable Hardware | ハードウェアアクセラレーターのサポート |
vMotion の改善 | SAP HANA や Oracle といった大規模ワークロードにも対応 |
vSphere Trust Authority | 別個の ESXi ホストクラスタを利用してハードウェアのroot of trustを実現 |
vSGX/Secure Enclaves | ゲスト OSやハイパーバイザーから参照できないセキュアな飛び地を作成可能 |
ウォッチドッグタイマー | クラスタ用のゲスト OS モニタリング機能 |
プレシジョンクロック(PTP) | 1 ミリ秒以下の精度での時刻同期 |
vSphere Client の改善 | スクリプトの作成が容易に&言語の選択可能 |
MSCN VM クラスタリングの構成 | 共有ディスクとプライベートハートビートを 3 種類のクラスタ構成でサポート |
NVMe-oF デバイスのサポート | Remote Direct Memory Access (RDMA), Fibre Channel のサポート |
これだけの豊富な新機能の一方で、現場の皆様の本音としては、「GA されたばかりのものなんて既存 Version からのアップグレードが失敗したらどうする」といった不安や、「いきなりインストールに失敗したら嫌だから周りが使い始めるまで様子見しよう」といった気持ちがあるかと思います。そんな皆様に向けて、HPE としてはまず【インストール】【アップデート】に焦点を当てて実機での検証をスタートしております。検証結果を元に、今後皆様が安心して vSphere 7 を HPE でいち早く使い始められるよう情報を更新していきます!
今後のブログ更新にもご期待ください!
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橘 孝祐(Tachibana Kousuke)
日本ヒューレット・パッカード株式会社(HPE)でHPE ProLiant Server シリーズを中心とするサーバー製品を担当。主に VMware 仮想化ソリューションと組み合わせたプリセールス活動に従事。