みなさま、初めまして。SEの兒玉(Kodama)です。
先日Horizon 7 がアナウンスされましたが、既存で Horizon (旧称 Horizon View )環境をお持ちのお客様はそろそろ新しいバージョンへのUpgradeもご検討されているのではないでしょうか。Upgrade後機能やパフォーマンスが向上していることもあります。例えば Horizon 6から、View 環境で公開デスクトップや公開アプリケーションも使え、利便性も大幅に向上しております。
Horizon 環境のUpgradeに関しては、View アップグレードガイドをみていただくことになります。ですが、vSphereの Upgrade と比べUpgrade対象コンポーネントも多く、実際どこから手をつけていいのか…とお困りのユーザさま、パートナーさまもいらっしゃいます。(前職で、実際わたしがそうでした…。)本記事では、この Upgrade マニュアルを読む前準備として、お役立ていただければと考えております。
※本記事の例では View 5.0 → View 6.2へのUpgrade(vCenter Server / ESXi / View Composer / Connection Server /View Agent)を前提にしております。
どこからUpgradeすればよいのか?
Horizon 環境をUpgradeするには
vCenter Server→ View Composer→ View Connection Server → View Agent → ESXi の順番でUpgradeしていきます。本例は View 5.0 から View 6.2 へのメジャーバージョンをまたいだUpgradeになりますので、少し注意が必要です。
View アップグレード 6.2のマニュアルには下記のような記載があります。
〜マニュアル抜粋〜
Horizon 6 バージョン 6.2 へのアップグレードでは、次に示す旧バージョンの View コンポーネントがサポートされます。 ■Horizon View 5.1 の最新メンテナンス リリース (5.1.3) ■Horizon View 5.2 ■Horizon View 5.3 の最新メンテナンス リリース (5.3.4) |
ということで…一旦 View 6.2と互換性のあるバージョンを経由する必要がありますので、 View 5.0 → 5.3.4 → 6.2という手順でUpgradeしていきます。経由バージョンをView 5.3.4 とした理由としては、 View 5 系の最新バージョンということで選択しています。
(作業時間/停止時間を考慮すると、一旦 View 5.3.4 でしばらく運用後 view 6.2 へ Upgradeすることも考えられますね。)
今回Upgradeする View 環境として以下の環境を想定してみました。
-vSphere基盤(ESXi 5.0 u3/vCenter Server 5.0 u3)
-View系(View Connection Server 5.0.0 /View Composer 5.0.0/ View Agent 5.0)
それぞれの役割については新卒ブログをご参照ください。
図1 今回UpgradeするView基盤
コンポーネント間の互換性を確認しよう
Upgradeする際は、各コンポーネントのバージョン互換性をVMware Product Interoperability Matrixesで確認します。特にこちら3点の互換性を事前に確認しておくとよいでしょう。
-View Connection Server と vCenter Server
-vCenter Server と ESXi
-View Connection Server と View Agent
本記事では表1のように互換性をとりながらUpgradeしていきます。
表1:各コンポーネント Upgrade中のバージョン
対象製品 | Upgrade前 | 経由するバージョン | Upgrade後 |
ESXi | 5.0 u3 | – | 6.0 u1 |
vCenter Server | 5.0 u3 | 5.5. u3 | 6.0 u1 |
View Composer | 5.0.0 | 5.3.4 | 6.2.1 |
View Connection Server | 5.0.0 | 5.3.4 | 6.2.1 |
View Agent (Desktop) | 5.0.0 | 5.3.4 | 6.2.1 |
ではUpgrade作業の流れを説明します。フェーズを2つにわけて進めていきます。
第1フェーズ:View 5.0.0 → View 5.3.4
第2フェーズ:View 5.3.4 → view 6.2.1
第1フェーズ: View 5.0.0 → View 5.3.4
1-1 vCenter ServerをUpgrade
ESXi 5.0 u3
vCenter Server 5.5 u3
View Connection Server 5.0.0
View Composer 5.0.0
View Agent 5.0.0
この1-1では vCenter Server 5.5.u3と View Connection Server 5.0.0の 互換性はありませんのですぐに1-2の作業 View Connection Serverと View Composerをあげます。
1-2 View 関連のUpgrade
ESXi 5.0 u3
vCenter Server 5.5 u3
View Connection Server 5.3.4
View Composer 5.3.4
View Agent 5.3.4
ここではView ComposerからUpgradeしていきます。この段階で、vCenter ServerとView Connection Serverの互換性がとれましたね。1-2 が終わった頃…作業時間もそこそこ長くなっているはずなので、ひとまず作業を中断して VDIのサービスを再開します。View 5.3.4 → View 6.2.1へのUpgrade作業(第2フェーズ)は、また作業できる時間をみながら実施してもよいでしょう。第2フェーズまでの間にView AgentのUpgradeは は順々に実施していくと、サービス停止の時間も短くできますね。
※1-2時点のESXi 5.0u3については vCenter Server 5.5 u3 / View 5.3.4と互換性があります。また次のフェーズで実施する vCenter Server 6.0u1と View 6.2.1とも互換性がありますので、フェーズ1ではESXiのupgradeは実施していません。
第2フェーズ: View 5.3.4 → View 6.2.1
第1フェーズと同様に vCenter Serverを6.0 U1へ View 関連を6.2.1へUpgradeします。
2-1 vCenter ServerのUpgrade
ESXi 5.0 u3
vCenter Server 6.0 u1
View Connection Server 5.3.4
View Composer 5.3.4
View Agent 5.3.4
2-2 View 関連のUpgrade
ESXi 5.0 u3
vCenter Server 6.0 u1
View Connection Server 6.2.1
View Composer 6.2.1
View Agent 5.3.4
2-3 ESXiのUpgrade
ESXiのUpgradeについては vCenter 5.5 u3でも vCenter 6.0 u1でも互換性がありますので、最後に残しておきました。DRSの機能を使いながら実施すると楽ですね〜
ESXi 6.0 u1
vCenter Server 6.0 u1
View Connection Server 5.3.4
View Composer 5.3.4
View Agent 6.2.1
1-2と同様に View AgentをUpgradeします。
まとめ
本例はシンプルな構成例ですが、View環境の簡単なUpgradeの手順をご紹介させてもらいました。View 5.x → View 6.x へのメジャーバージョンアップは、作業時間もそれなりかかってしまいますが、フェーズを分けることによって、停止時間を最小限にしてみました。また各コンポーネントの互換性確認が少し複雑ですが、ぜひ本記事が View 環境のUpgrade作業にお役に立てれば幸いです。
旧来の VMware Viewという製品名は Horizonに統一されました。本記事においてはマニュアル中の名称に沿って記載しております。あらかじめご了承ください。
VMware SE 兒玉伊佐央 (Kodama Isao)
(共同執筆 VMware SE 中村朝之)