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VCF 9 ローンチイベント:Inside Look Roadshowのご紹介 (3)

少し時間が空いてしまいましたが、今VCF 9ローンチイベントレポート第3回目です(最終回)。

■クラウドモダナイゼーションに向けた高度化計画の重要性や移行方式

最後のセッションとして、プロフェッショナルサービス統括本部テクニカルコンサルティング 本部長 服部 泰之が登壇し、「現場で活用できる設計知と運用知」と題して、VCF 9の活用とクラウドモダナイゼーションの実践的なアプローチについて深く掘り下げました。

 

冒頭でプロフェッショナルサービス部門の概要と支援の範囲ついて説明したうえで「VCF 9の幅広い機能を紹介してきましたが、多くの参加者が自社への適用方法やそのタイミングについて悩みを抱えているはず。これまでシステム構築を顧客とともに実施し、成功と失敗の両面から得られた知見を今回のセッションで共有させて頂きたい」と服部は説明。具体的には、クラウドモダナイゼーションに向けたアプローチとして、まずは計画策定が重要だと指摘。ただし、遠い未来を見据えた計画は不確実性が高いため、いずれ陳腐化して悪化すると呪いの書のようなものになってしまうと指摘。常に最新の情報を収集して、メンテナンスしていくことが欠かせないと力説しました。

効果的な高度化計画としては、「計画策定に利用できること」「設計判断に利用できること」「事業決裁の迅速性に寄与できること」の3点を意識することです。この3つの機能を高度化計画に持たせるためには、「社内要求の整理」「運用課題の整理」「技術の理解」「外部競合の理解」という4つの軸から情報を集めていくことが重要だと説きました。

また、VCF登場当時から本製品を担当し多くのプロジェクトに関わってきた同本部シニアコンサルタント 鈴木康太が登壇し、クラウドモダナイゼーションの実践アプローチを解説しました。

1ヶ月にわたるベータ版の検証を経て鈴木が印象深い新機能と感じたのが、ユーザインターフェースの刷新です。「これまでvSphere Client、SDDC Manager、Aria Operationsなど、コンポーネントごとに分かれていたUIが、VCF OperationsとVCF Automationのポータル画面に集約され、利用者や管理者の立場に合わせた操作が可能になりました。その結果、従来とは少し運用スタイルが変わってくるという印象を持っています」と説明。

この検証期間のなかで鈴木が注目した3つの機能が「フリート管理による増設の簡易化」「統合UIによる一元管理と迅速な承認機能」「証明書の自動更新機能・パスワードの一元管理」です。VCF 9では、複数の環境を統一したインターフェースで一括管理できるフリート管理という新たな概念が導入され、集中管理による効率的な運用が可能になっています。VCF Operationsによる健全性確認やセキュリティ管理の一元化に加え、VCF Automationではリソース提供のワークフローに承認プロセスを組み込むことも可能です。また、コンサルタントへの相談件数で常に上位に入ってくる証明書管理の負担についても軽減できるようになっています。

他にも、拡張データパス機能によるカーネルレベルでのネットワーク処理の最適化など、紹介したいVCF 9の新機能はたくさんあると言及しました。

そしてVCF 9では、新機能による利便性向上だけでなく、運用現場で抱える「ライフサイクル管理の複雑さ」や「トラブルシューティングの煩雑さ」といった課題に対しても、単にアップグレード処理を自動化するという機能的な側面だけでなく、事前調査や管理業務そのものの負荷軽減という側面で大きな価値をもたらすと指摘。

ここで、環境移行を検討するうえでの不安を紹介しながら、VCF 9化において重要な「プロジェクト契機」「技術制約」「実施方針」という、意志決定をするために必要な3つの判断軸について紹介しました。プロジェクト契機とは、製品サポート終了などのライフサイクル要因だけでなく、技術的負債やコスト最適化の観点など、プロジェクトのきっかけを改めて考えることです。技術的な制約については、単に仕様の話だけでなく、移行作業にどう影響してくるのかも含めて整理することが重要だと説きます。そして何を重視してプロジェクトを進めていくのかという実装方針についても、しっかり定めておくことが重要になってくると鈴木。

そして、VCF 9化に向けた具体的な実現方式として検討すべき「Upgrade(更新)」「Converge(集約)」「Deploy(新規構築)」の3つについて触れました。それぞれメリットや注意点を指摘したうえで、例えば新規(Deploy)でVCF環境を構築し、その後既存環境をVCFに集約(Converge)するなど、プロエクトの特性に応じて組み合わせることも可能だと示唆しました。

鈴木の説明を受けて服部が再び登壇し、高度化計画の重要性やおすすめ運用機能、移行方式といったセッション全体を振り返りました。参加者へのメッセージとして「計画を更新し続ける」「必達必辞事項とその優先を整理する」「クラウド事業者の意識を持つ」「技術や知識を蔑ろにしない」という4つについて言及しながら、「やりたいことを1つ忍ばせる」という現場担当者として「拘り」を計画に取り入れることも大事なことだと服部の個人的な想いを述べました。

最後に、今回のセッションで示された移行方式の検討支援に加え、VCF 9の構成設計、テナント設計、ネットワーク設計、そして内製化を推進するための運用設計や運用フローの作成、徹底的な自動化の推進など、幅広いサービスを通じて顧客のプライベートクラウド進化を支援する環境をコンサルティング部門として用意しており、関心のある方からの相談をお待ちしていると締めくくりました。

 

合計3回にわたってご紹介しましたイベントレポートいかがでしたでしょうか? 皆様がITインフラモダナイゼーションを計画する上で、VCF導入を考えてみたいといったきっかけになっていれば幸いです。