VMware の年次イベントである「VMware Explore 2023 Las Vegas(2023年8月開催)」にて VMware Cloud on AWS の新しいソフトウエアバンドル「VMware Cloud on AWS Advanced」 エディションが発表されました。今回は、その新しいエディションの提供内容についてお伝えします。
目次
VMware Cloud Editions の発表
多くの企業でアプリケーションの展開先と利用するインフラの範囲がデータセンターからパブリッククラウド、エッジまで広がっています。VMware は、複数のクラウドを併用する際に浮上するあらゆる障壁を下げ、スマートにクラウドを活用できる世界を目指して、製品やサービスの開発および提供を続けています。VMware が提供しているこれらのクラウドインフラ製品やサービス全体をまとめて「VMware Cloud」と呼びます(図1)。
VMware Cloud は、VMware Cloud Foundation ソフトウェアと VMware Cloud Services で構成されます。VMware Cloud Foundationは、VMware のオンプレミス ソフトウェア製品とパブリッククラウド ソフトウェア製品の優れたイノベーションを組み合わせた統合スタックで、オンプレミスからハイパースケーラーのクラウドやパートナーが提供するクラウドまで一貫性のある環境を提供します。一方、VMware Cloud Services は、クラウドやオンプレミス環境を問わず VMware Cloud Foundation の導入と運用を簡素化します。
図1 VMware Cloud のビジョン
2023年8月に開催した当社年次イベント「VMware Explore 2023 Las Vegas」にて、これまで以上にスマートかつシンプルに VMware Cloud を利用いただく手段の一つとして発表されたのが「VMware Cloud Editions」です。VMware Cloud では、5つのエディション(Essentials、Standard、Pro、Advanced、Enterprise)が用意され、クラウド変革の各段階に合わせてインフラと管理を柔軟にモダナイゼーションできるようにします(図2)。
図2 新しく提供される VMware Cloud Editions
今後、プライベートクラウドやパブリッククラウドなどインフラの展開場所や提供形態に依存することなく、ソフトウエアとサービスを提供していく予定です。利用者は、製品調達やサービス開始の処理をこれまでよりもスムーズに進められるようになります。VMware Cloud Editions の詳細は、下記リンクをご覧ください。
- VMware Cloud のプレスリリース
- VMware Cloud オフィシャルページ(英語)
- VMware Cloud ソリューションブリーフ(英語)
- VMware Cloud Editions の比較(英語)
これからのスタンダード「VMware Cloud on AWS Advanced」エディション
VMware Cloud Editions の発表に伴い、VMware Cloud on AWS 向けの新しいソフトウエアバンドルも発表されました。それが「VMware Cloud on AWS Advanced」エディションです(図3)。今後、新しく VMware Cloud on AWS を利用する環境に対しては、すべて VMware Cloud on AWS Advanced エディションが適用されます。尚、VMware Cloud on AWS のサービス料金はこれまで変わらないため、従来と比べて非常にお得なパッケージに変わったと言えます!
図3 新しく発表された「VMware Cloud on AWS Advanced」エディション
これまでの VMware Cloud on AWS の標準提供されていた内容と比べると、今回発表された Advanced エディションには主にネットワークセキュリティとクラウド運用管理面で使える機能やサービスが追加されました(図4)。
図4 VMware Cloud on AWS Advanced エディションに含まれる主な機能とサービス
新しく追加された機能とサービス
VMware Cloud on AWS Advanced エディションに追加された機能やサービスの概要をご紹介しましょう。これまで個別に提供されていた下記の有償サービスは、今後標準的なソフトウエアバンドルとして VMware Cloud on AWS と一緒に利用できます。
◾️ オペレーションの自動化によるビジネスの加速
VMware Aria Automation によって複雑な IT タスクを自動化し、セルフサービスによるオンデマンドな実行が可能になります。あらゆるクラウドインフラやツールと連携して Infrastructure as Code を実現し、新しいテクノロジーの採用など将来の変化にも柔軟に対応できるため、イノベーションの加速にも貢献できます。
◾️ マルチクラウド環境の安定的な運用を実現
VMware Aria Operations と VMware Aria Operations for Logs によってクラウドインフラ全体を俯瞰できます。インフラからアプリケーションまでの可視性とインサイトを提供し、安定したクラウド運用の維持を支援します。その結果、ダウンタイムを最小限に抑えて問題解決の作業負荷を軽減することで TCO を削減できます。
◾️ クラウド移行の検討に役立つ情報を提供
VMware Aria Migration を活用してクライド移行のアセスメントを実行すれば素早く移行計画を立てることができ、移行の実現性も高められます。クラウド移行によって得られる TCO 削減効果を具体的な数値で確認できるため、意思決定の支援やクラウド戦略の推進にも役立ちます。
◾️ ネットワークセキュリティの強化
追加された VMware NSX Advanced セキュリティ機能によって、マイクロセグメンテーションをベースとしたセキュリティを強化できます。L7 attribute (App IDs) Firewall は、Layer 7 におけるパケットやフローを検査してアプリケーションの通信を制御できます。FQDN Filtering は特定ドメインに送信される通信を制御できます。Identity Firewall は VDI 環境において利用者単位で通信を制御できます。このネットワークセキュリティの強化については、当社会計年度 2024年第3四半期中に提供開始予定です。
◾️ マルチクラウドネットワーク管理の効率化
NSX+ Policy Management によってマルチクラウド環境におけるセキュリティポリシーの管理やライフサイクル管理、トラブル対応などのオペレーションを統合し、効率的なネットワークの運用を実現します。NSX+ による VMware Cloud on AWS のサポートについては、当社会計年度 2024年第3四半期中に北米地域より順次提供開始予定ですが、アジア地域での提供時期は未定です。
尚、今回追加された機能やサービスにおける日本での提供開始時期は、今日現在未定です。提供時期が明確になり次第、改めてお知らせする予定です。また、すでに VMware Cloud on AWS を利用している環境においても、今回発表された Advanced エディションが適用され、各種サービスが利用できるようになる予定があります。今後の発表をお待ちください。
まとめ
今回発表された VMware Cloud on AWS Advanced エディションによって、VMware Cloud on AWS サービスを採用する企業は、従来よりも付加価値の高いサービスを追加料金なしで活用できるようになります。
尚、今回発表した内容については日本で開催する「VMware Explore 2023 Tokyo」(2023年11月14日、15日@ザ・プリンス パークタワー東京で開催)でも詳しく披露します。企業の皆様に役立つ最新情報やお客様事例など多彩なセッションをご用意しています。是非ともご参加ください!
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