IBM Cloudテクニカル・セールスの玉川と申します。
今回はVMware様のブログスペースをお借りしてIBM Cloud for VMware Solutionsのご紹介をさせていただきます。
IBM Cloud for VMware Solutions 概要
IBM Cloud for VMware Solutions は、IBM Cloud 上で VMware 仮想化環境ワークロードをご利用いただけるサービスの総称です。お客様はIBM Cloud上で、オンプレミスと同じVMware製品をご利用いただけるため、オンプレミスからの移行や、オンプレミスと連携したハイブリッド構成を容易に安全に実行することができます。
お客様はIBM Cloudのカタログから、VMware ESXi、VMware NSX、VMware vSAN、VMware Aria Operations等を選択し、月額課金でご利用いただけます。お客様はIBM Cloud上のVMware製品を管理者権限でご利用いただけるため、クラウドでありながら最大限の自由度を確保することが可能です。
お客様は既存のオンプレミス環境で培ったVMware製品のスキルを活かしつつ、下記のようなメリットを享受いただけます。
オンプレミス環境をそのままクラウドへ移行
アーキテクチャがオンプレミスと同じVMware仮想化環境ですので、オンプレミスからクラウドへの移行や、オンプレミスとクラウドを両方使うハイブリッド構成を容易に実現できます。
パブリッククラウドでありながら専有環境を利用
パフォーマンスの安定性に優れたIBM Cloud上のベアメタルサーバー(物理専有型サーバー)をご利用いただけます。ベアメタルサーバーは、お客様のセルフサービス・ポータルからオーダーでき、数時間でご利用いただける状態になります。月額課金ですので、キャンセルすれば翌月以降の費用は発生しません。専有環境の安心感やオンプレミスとの一貫性と、クラウドの柔軟性・俊敏性の両方を兼ね備えた基盤です。
CAPEX から OPEX へコスト構造を変革
ベアメタルサーバーは月額課金ですので、「必要な時に必要なだけ」というクラウドのメリットを活かした利用ができます。例えば、開発フェーズだけ開発リソースを増やし、終わったらキャンセルすれば、翌月以降の料金は発生しません。
IBM Cloud のネイティブ・サービスへ直接アクセス
IBM Cloudでは、VMware Solutions以外にも170以上のサービスをご利用いただけます。それらは同じIBM Cloud上にありますので、お客様のVMwareワークロードから、Watsonに代表されるAIサービスや安価で耐障害性に優れたオブジェクト・ストレージなど、様々なIBM Cloud のサービスにセキュアに接続することができます。
IBM Cloudならではの特長
VMware仮想化環境をクラウド上で使うソリューションは他のパブリック・クラウドにもありますので、IBM Cloud for VMware Solutionsならではと言える特長を下記にご紹介します。
管理者権限を使える
ベアメタルサーバー上に構成されたVMware製品の管理者権限をご利用いただけるため、オンプレミスと同様の自由度の高い運用が可能です。
ネットワーク転送費用が無償
IBM CloudにはClassic InfrastructureとVPCの2種類のプラットフォームがあります。現在、VMware Solutionsの基盤として主流のClassic Infrastructureでは、データセンター間のプライベートネットワークを無料でご利用いただけます。例えば、東京リージョンの本番環境と大阪リージョンの災対環境の間のデータレプリケーションを、ネットワークの追加料金なしで行えます。VPCも、同一リージョン内のゾーン間通信は無料で行えます。
豊富なスペックの選択肢
もともとIBM Cloudではベアメタルサーバーのサービスを提供してきた歴史があります。そのため、vSphereを導入可能なハードウェアのラインナップが豊富に揃っており、S/M/LといったTシャツのようなサイズではなく、もっと細かな刻みで、ニーズに合わせ過不足のないリソース提供が可能です。CPU・メモリ・ストレージオプションなどのさまざまな要件に合わせサーバーを柔軟に構成いただけます。ESXiホスト台数は最小1台から、数十台の大規模クラスターまで、要件に合わせ構成いただけます。また、VMware仮想化環境上でSAPワークロードを稼働させる際に、SAP社の認定ハードウェアも選択いただける点も他社クラウドには無い特長です。
多くの事例
IBM Cloud for VMware Solutionsには世界中で2,000社以上の事例があります。日本でも業種を問わず数百VMクラスの大規模な導入事例があります。具体的な事例は下記サイトでご覧いただけます。クラウドサービスだけでなく、移行サービス・運用サービスを併せてご提案できるのもIBMの強みです。
https://www.ibm.com/cloud-computing/jp/ja/casestudy.html
パートナーソリューション
IBM Cloud for VMware Solutionsでは、VMware仮想化基盤だけでなく、様々なサードパーティ・ソリューションをカタログからオーダーし、ご利用いただけます。セキュリティ製品やネットワークアプライアンス、バックアップ・災害対策用ソフトウェアなど、幅広いラインナップがあります。
Veeamオプションのご紹介
良く使われるサードパーティ・ソリューションの例としてVeeamをご紹介します。Veeamはバックアップだけでなく、オンプレミスからの移行や災害対策のためのデータレプリケーションにも利用でき、適用範囲の広いソリューションです。
バックアップ先としてIBM Cloud Object Storage(ICOS)にも対応していますので、長期保管が必要なデータに関し、安価で耐障害性の高いバックアップが可能です。また、ICOSはImmutableの設定が可能で、一度保管したデータを改変できない状態にできますので、ランサムウェア対策にも有効です。
IBM Cloud for VMware SolutionsのオプションとしてVeeamをご利用いただくことで、下記が可能となります。
・バックアップからVMを数分でリストア
・隔離されたサンドボックス環境で確認してから本番環境にリストア
・ICOSのImmutable機能と連携したランサムウェア対策
・CDP(Continuous Data Protection)機能で、RPO=数秒を実現
・Veeam Agentを利用し、物理環境もバックアップ
・IBM Cloud for VMware SolutionsのCyber Recoveryオプションと共に構成することで、仮想的なair-gapで隔離された安全な環境へのバックアップを実現
終わりに
今回は主に、ベアメタルサーバー上に構成し、お客様が管理者権限を保有する専有型のVMware Solutionsサービスをご紹介しました。専有型以外にも、IBM Cloudには、2022年に米国でサービスを開始したVMware as a Serviceがございます。こちらのサービスは、VMware製品のレイヤーはIBMが運用管理を行い、お客様はVMware Cloud Directorの機能を利用してお客様環境を管理します。
VMware as a Serviceのお客様は、基盤レイヤーの運用管理をIBMに任せ、業務レイヤーに注力できます。専有型とマネージド型、それぞれにメリットがあり、お客様はニーズに合わせ、最適なソリューションをご選択いただけます。各ソリューションの比較は下記でご確認いただけます。
https://cloud.ibm.com/vmware/compare_offerings
エンタープライズシステムの信頼できる基盤として、IBM Cloud for VMware Solutionsを是非ご検討いただければと思います。
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
Advisory Cloud Platform Technical Specialist
玉川 雄一 (Yuichi Tamagawa)