2021年11月以降にリリースされた VMware Cloud on AWS に関連する新機能や機能拡張をピックアップしてご紹介します。詳細はリリースノートご覧ください。
目次
- AWS Transit Gateway とのリージョン内 Peering をサポート
- Elastic DRS のベースラインポリシーの仕様変更
- SLA 非準拠な仮想マシンの通知
- Tanzu Mission Control Essentials 有効化方法のアップデート
- まとめ
AWS Transit Gateway とのリージョン内 Peering をサポート
オンプレミスとアマゾン ウェブ サービス(AWS)、VMware Cloud on AWS の SDDC の相互接続を実現するサービス「VMware Transit Connect」の柔軟性が向上しました。これまでは、AWS Transit Gateway と VMware Managed Transit Gateway(VTGW) の Transit Gateway Peering 接続は、リージョン間の接続に限定されていました(参考「VMware Cloud on AWS の最新アップデート 2021年10月」)。2022年1月よりリージョン内での Peering 接続がサポートされたため、これまでよりも柔軟かつ効率的にネットワークが構成できるようになりました(図1)。
図1 AWS Transit Gateway とのリージョン内 Peering のサポート
Elastic DRS のベースラインポリシーの仕様変更
Elastic DRS とは、お客様が利用する vSphere クラスタのリソース不足を自動的に回避する機能です。事前にリソースの閾値とアクションが定義されている「ポリシー」を選択しておくことで、リソースの使用率に応じて自動的にホストが追加または削除されます(図2)。その結果、リソースの突発的な枯渇や過剰な割り当てを回避できるようになります。
図2 Elastic DRS の概要
クラスタを作成すると Elastic DRS のディフォルトポリシーである「ストレージスケールアウトポリシー(ストレージの閾値だけ監視するポリシー)」が有効になります(図3)。これまで、このポリシーのストレージの閾値は75%でした。これは、ストレージの使用率が75%に到達すると自動的にホストが追加されることを意味します。
今回のアップデート(2021年11月)では、このストレージの閾値が75%から80%に変更されました。この仕様変更に伴い、従来よりも使用可能なストレージ容量が増えました。ちなみに、この変更は vSAN の管理領域である Slack Space の割合が25%から20%に削減されたことが背景にあります。Elastic DRS の詳細は、ドキュメント「VMware Cloud on AWS の運用」をご覧ください。
図3 ストレージの上限が変更された Elastic DRS のポリシー
SLA 非準拠な仮想マシンの通知
VMware Cloud on AWS は、サービスインフラである SDDC に対して SLA を提供しています。SLA の詳細は「Service Level Agreement VMware Cloud on AWS」をご覧ください。SLA にはいくつかの条件が定義されています。例えば、SDDC 上で作成されるお客様のすべての仮想マシンは、SLA で定義されているストレージポリシーが適用されていることが条件として明記されています。ストレージポリシーについては、過去のブログ「VMware Cloud on AWS の vSAN ストレージポリシー」をご覧ください。
2021年11月より、お客様が作成した仮想マシンの中で SLA に準拠しないストレージポリシーが適用されている場合、メールで通知する仕組みが導入されました(図4)。
図4 SLA非準拠な仮想マシンの通知機能
この通知によって、お客様は SLA に準拠しない仮想マシンを素早く特定・修正できるため、SLA 適用可能な状態を維持できます。尚、vSphere Client の「仮想マシンのストレージポリシー」画面を開くと、いつでもポリシーに準拠している仮想マシンを一覧で確認できます(図5)。
図5 SLA に準拠する仮想マシンの一覧画面サンプル
Tanzu Mission Control Essentials 有効化方法のアップデート
2021年10月より、VMware Cloud on AWS に Tanzu Kubernetes Grid と Tanzu Mission Control Essentials バージョンがバンドルされ、SDDC バージョン 1.16以降の環境で利用可能になりました。その後(2021年11月より)、VMware Cloud on AWS のお客様が Tanzu Mission Control Essentials バージョンの利用開始を希望する場合、弊社営業にご依頼いただくか、またはチャットサポートにてご依頼いただくことで本サービスを有効化することができるようになりました。尚、Tanzu Mission Control Essentials バージョンをご利用いただく際には、あらかじめ SDDC にバンドルされている Tanzu Kubernetes Grid を有効化しておくことで、Supervisor クラスタ(Tanzu Kubernetes クラスタを管理する Kubernetes クラスタ)を管理対象として登録することが可能になります。
まとめ
今回も主要なアップデートだけご紹介しました。詳細はリリースノートをご覧ください。尚、本記事に関連する情報は以下に列挙したリンクからもご確認いただけます。
関連情報リンク
- VMware Cloud on AWS リリースノート
- Service Level Agreement (SLA) – VMware Cloud on AWS
- ブログ「VMware Cloud on AWS の最新アップデート(2021年11月)」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の最新アップデート(2021年9月)」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の最新アップデート(2021年5月)」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の最新アップデート(2021年4月)」
- ブログ「VMware Cloud on AWS の vSAN ストレージポリシー」
- ブログ「VMware Transit Connect – VMware Cloud on AWS のためのシンプルかつ柔軟なネットワーク構成」
- ブログ「VMware Transit Connect の接続構成パターン」