こんにちは、ネットワールドの石塚 智規です。前回の富士ソフト山本さんの続きとして、ハイパーコンバージドインフラのアプライアンス「VxRail」のセットアップについてご紹介したいと思います。
その1:導入準備
VxRailの導入のためには以下のようなものが必要です。
- VxRail
1箱にアプライアンス本体、電源ケーブル、ベゼルがまとめられています - 10Gbスイッチ
アプライアンス毎に8個のポートが必要です
VxRail 60のみ1Gb対応, アプライアンス毎に16個のポートが必要です - 10Gbスイッチに適合したケーブル×8個
VxRail SFP+モデルのTwinaxケーブルはActive/PassiveのどちらでもOK - 200V電源ポート×2個
VxRail 60は100V×2個でもOK - Windows PC
ブラウザとしてFirefoxもしくはChromeをインストール済みであること
ネットワークスイッチの構成としては、以下の3つのポイントがあります。 ネットワークの構成検討材料としてEMC/VCEからこちらの資料が提供されています。
http://www.emc.com/collateral/guide/h15300-vce-vxrail-network-guide.pdf
- Default VLANを構成して下さい(恒久的に利用します)
- 全てのノード間の管理セグメントにはマルチキャスト通信が必要です
- 全てのノード間のVSANセグメントにはマルチキャスト通信が必要です
また、作業のためのWindows PCのIP設定を変更します。VxRailの初期設定のためには工場出荷時に設定されている管理IPアドレス「192.168.10.200/24」に接続する必要があるからです。初期設定のあと、実運用IPアドレスに継続して接続する必要があるので、その両方のIPアドレスに接続できる状態にしておくと良いかと思います。例えば以下のように実運用セグメントのIPアドレスとして10.10.50.101/16を設定し、初期設定用IPアドレスとして192.168.10.21/24の両方を設定している状態です。
続いて準備するパラメータは以下の通りです。VxRailバージョンv3.5からは外部のvCenterやPlatform Service Controllerが利用できるようになっています。
<システムパラメータ>
- NTPサーバ
- DNSサーバ
- オプション)Active Directory情報(ドメイン名, ユーザ名, パスワード)
- オプション)HTTPプロキシ情報(プロキシサーバIPアドレス, ポート番号, ユーザ名, パスワード)
<管理パラメータ>
- ESXiのホスト名(ホスト名は1から始まる通し番号になります)
- ESXiのIPアドレス(4つの連続したIPアドレス)
- vCenterホスト名
- vCenterのIPアドレス(ESXiの管理IPアドレスと同セグメント)
- Platform Service Controllerのホスト名
- Platform Service ControllerのIPアドレス(ESXiの管理IPアドレスと同セグメント)
- VxRail Managerのホスト名(VxRailの管理GUIを提供する仮想マシンのホスト名)
- VxRail ManagerのIPアドレス(ESXiの管理IPアドレスと同セグメント)
- 上記の管理IPセグメントのネットマスク
- 同管理IPセグメントのゲートウェイ
- ESXiのパスワード及びvCenter/PSC/VxRail Managerのパスワード
※共に複雑性を求められ、特定の記号(&’”;=`\$)は利用できません。
また、キーフレーズ及びそれに類するものも利用できません。
例えば Welc0me1! のような複雑性が必要になります。
<vMotionパラメータ>
- ESXiのvMotion用IPアドレス(4つの連続したIPアドレス)
- 同vMotionセグメントのネットマスク
- 同vMotionセグメントのVLAN ID
<Virtual SANパラメータ>
- ESXiのVirtual SAN用IPアドレス(4つの連続したIPアドレス)
- 同Virtual SANセグメントのネットマスク
- 同Virtual SANセグメントのVLAN ID
<仮想マシンネットワークパラメータ>
- 仮想マシンネットワーク名(仮想マシンに割り当てるポートグループ名)
- 仮想マシンネットワークのVLAN ID
<解決方法パラメータ>
- ログサーバ(vRealize Log Insight(バンドル済み)もしくはSyslog)の選択
- ログサーバのホスト名
- ログサーバのIPアドレス
以上のパラメータを入力後、ボタンを押して15分待てばセットアップが完了、と言うことになります。
その2:セットアップ
必要なハードウェア、10Gbスイッチの構成(VxRail 60の場合は1Gbスイッチ)、パラメータの準備ができたら、あとは箱を開けてセットアップするだけです。
ネットワーク接続は上記の「1GbEポート」もしくは「10GbEポート」を全て接続します。
続いて電源起動ですが、ここでのポイントは電源をノード#4 ⇒ ノード#3 ⇒ ノード#2 ⇒ ノード#1の順番で30秒間隔で起動する、と言うことです。あとは5分程度待てばセットアップが開始できるようになります。初期設定用のIPアドレスである「192.168.10.200/24」にブラウザで接続します。
「開始する」ボタンをクリックして、初期設定を開始します。続いて使用許諾に関するページが表示されるので「同意」ボタンをクリックします。
構成方法としてこのままウィザードを使って構成する「ステップバイステップ」とJSONファイルを使った「構成ファイル」の2つの方法が選べます。今回はこのままウィザードを進めたいと思いますので「ステップバイステップ」をクリックします。
まずは<システムパラメータ>の入力が促されます。事前に準備しているパラメータを入力して「次へ」ボタンをクリックします。
続いて<管理パラメータ>の入力が促されます。事前に準備しているパラメータを入力ます。また、外部のvCenterを利用する場合は「vCenter Serverの統合」チェックボックスを有効化して、IPアドレスと管理ユーザ情報、そしてVxRailを所属されるデータセンター名とクラスター名を入力します。同様に外部のPlatform Service Controllerを利用する場合は「External Platform Services Controller」チェックボックスを有効化します。パラメータの入力が完了したら「次へ」ボタンをクリックします。
続いて<vMotionパラメータ>の入力が促されます。事前に準備しているパラメータを入力して「次へ」ボタンをクリックします。
続いて<Virtual SANパラメータ>の入力が促されます。事前に準備しているパラメータを入力して「次へ」ボタンをクリックします。
続いて<仮想マシンネットワークパラメータ>の入力が促されます。事前に準備しているパラメータを入力します。複数の仮想ネットワークを構成したい場合は「もう1つ追加」をクリックして任意の構成に変更します。完了したら「次へ」ボタンをクリックします。
最後に<解決方法パラメータ>の入力が促されます。事前に準備しているパラメータを入力して「次へ」ボタンをクリックします。
全てのパラメータの入力が終わったら「検証」ボタンをクリックします。正しく構成されていれば「構成が基本検証とネットワーク検証を追加しました。」と言う緑色のメッセージが表示されるので「VxRailの構築」ボタンをクリックして構築を開始します。エラーが表示された場合はその内容を参考にして、スイッチ側の構成や入力したパラメータをチェックし、再度「検証」ボタンをクリックします。
無事、セットアップが開始されると初期設定で利用していた工場出荷状態のIPアドレス(192.168.10.200)から実運用で利用するIPアドレスへ変更されます。「構成の開始」ボタンをクリックします。
ここから自動的な構成が始まります。100%になるまで15分程度待ちます。万が一、途中で止まってしまった場合は表示されたエラーメッセージや右下にある「ログの表示」をクリックして状態を確認します。
無事、構成が完了されたら「VxRailの管理」ボタンをクリックして、管理GUIであるVxRail Managerのログイン画面に移動します。
VxRail ManagerにはvCenterと同じユーザ名/パスワードでログインします。VxRailアプライアンス内にvCenter/PSCを配置している場合は[email protected]ユーザを利用して下さい。
これがVxRail Managerの管理画面です。セットアップ直後は幾つかのエラーが記録されることがありますが、これは次回でご紹介したいと思います。
VxRail ブログ ~ 全 6回 ~
#1…VxRail & VSAN Overview
#2…VxRail インストール
#3…VxRail の運用と管理:前編 VxRail Managerのご紹介
#4…VxRail の運用と管理:後編 運用についての良くあるご質問
#5…VxRail によるデータ管理の向上
#6…VxRail のサイジングと設定について