皆さんこんにちは。VMware高木です。
8月末に米国サンフランシスコにて開催されましたVMworld 2014の注目セッション5回目は、セッション番号HBC1534、Recovery as a Service (RaaS) with vCloud Airについてご紹介します。
日本ではサービス提供予定をこの夏に発表したばかりの『vCloud Air』は、VMwareが提供するクラウドサービスの総称です。そのクラウドサービスの1つとしてDisaster Recovery(RaaS)が提供されています。※日本ではQ4(10月〜12月)中にDisaster Recoveryサービスが開始される予定です。
それでは、本セッションの紹介に入って行きたいと思います。画面左側のデータセンターは、既にvSphereを使ってサーバ仮想化を実現しているユーザ環境を示しています。そのvSphere環境の災害対策として、vSphere上の仮想マシンを、右側のvCloud Air上のDisaster Recovery(RaaS)専用リソースに保護する、というサービスです。
ちなみにユーザ環境のAD/DNSは、vCloud Air上のIaaSサービスのVPC(Virtual Private Cloud=共有型クラウド)リソース上のADと連携していますので、AD/DNSも保護されていることが分かります。
以下、vCloud Air Disaster Recoveryの主な特徴です。
・Disaster Recoveryサイトを自前で用意する事なく、vSphere上の仮想マシンの災害対策が行えるため、コスト効果が高いクラウドベースのDisaster Recoveryサービス。
・vSphereの基本機能である非同期レプリケーション、vSphere Replicationを使って仮想マシンを保護、フェイルオーバーする。
その他の特徴は以下の通りです。
・仮想マシンごとにレプリケーション、フェイルオーバーを任意に設定。
・レプリケーションでは、15分〜24時間のRPOを設定。
・最初の同期では、ディスクを配送しオフラインで移行する事も可能。
・1年間に2回までのフェイルオーバーテストが可能。※1回のテストは7日間まで。
・実際にvCloud Air側にフェイルオーバーした際には、30日間まで本番稼働することが可能。
このDisaster Recoveryサービスは、Disaster Recovery(RaaS)用のVDC(Virtual Data Center)リソースを購入する事により使用出来ます。
まず、ベースとなるVDCリソースを購入頂きます。
□10GHz vCPU
□20GB vRAM
□1TBストレージ
□10Mbpsの帯域
□2つのパブリックIP
□2回のフェイルオーバーテスト
期間は1ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月から選択出来ます。
ベースとなるVDCリソースでは足りない場合、それぞれオプションで追加する事が出来ます。
ストレージ、帯域〜フェイルオーバーテスト等、幅広いリソースをオプションとして追加できます。
最初の同期では、オフラインでデータを移行する事が出来ます。
vCloud ConnectorのODT(Offline Data Transfer)機能を使って、保護対象の仮想マシンをexport、vCloud Air側にimportする事により、最初の同期で帯域を圧迫させる心配はありません。特に保護対象の仮想マシンの容量が大きい場合には効果的です。
vCenter Web Clientとフルに連携しているため、普段お使い頂いているvCenterから操作が可能です。
vSphere Repliationのトラフィックは、SSLでセキュリティが担保されますので、安心してお使い頂けます。
vCloud Air Disaster Recoveryを使用する上での要件は以下の通りです。
・vSphere 5.1以上
・vSphereは、Essential Plus以上のエディション※Essential ではvSphere Replicationが使用できない
・vCenter 5.1以上
・vSphere Replication仮想アプライアンス5.6以上※最新のvSphere Replication 5.8では設定画面等日本語化されています
・インターネット環境に出られる事
次に、実際にvCloud Air Disaster Recoveryを使って仮想マシンを保護する設定方法を見て行きましょう。まず、vSphere Replicationを使うので、vSphere Replication 5.6の仮想アプライアンスを展開し、vCenterに登録します。このvSphere Replication 5.6にはセキュアにvCloud Air Disaster Recoveryへのレプリケーションを実現出来る機能が含まれています。
そして、レプリケーション先となるvCloud Air側のVDCのAPIを確認します。確認は、vCloud AirのWeb UIから行います。
確認したら、vCenterから、vSphere Replicationのターゲットサイトの登録を行います。確認したVDCのAPIをコピーしたら、その内容をターゲットサイト先情報として入力します。
ターゲットサイトとしてVDCを登録したら、次にターゲットとなるネットワークを設定します。テスト用には、外部との疎通が取れないIsolatedネットワーク。リカバリ用には外部との疎通が可能なRoutedネットワークを設定します。※vCloud Air側には、予め内部通信用のIsolatedネットワーク、外部通信用のRoutedネットワークの2つが準備されています。
続いて、保護対象の仮想マシンごとに、vSphere Replicationの設定を行います。レプリケーション先としては新しいメニューとなる”Replicate to a cloud provider”を選択します。
すると既にターゲットサイトとして登録したVDCが表示されますので、そちらを選択。後は、通常のvSphere Replication同様にVSSを使う or 使わない、RPOは何分(15分〜1,440分)という設定をするだけです。
通常のvSphere Replication同様にvCenterからvSphere Replicationのモニタリングや操作が行えます。
最後にvCloud Air Disaster Recoveryのメリットをもう一度お伝えして、第5回注目セッション『HBC1534、Recovery as a Service (RaaS) with vCloud Air』のご紹介を終わりたいと思います。
・災害対策用として、自前でDisaster Recoveryサイトを建てる必要がない。=コストを抑えてvSphere環境の災害対策が始められる。
・vSphere Replication機能を使って仮想マシンを保護するため、既存のvSphere環境に別途製品を購入する必要がない。SANベースのレプリケーションも不要です。
・普段お使い頂いているvCenterから操作ができる。
・仮想マシン単位で簡単に保護できる。=アプリケーションの保護要件に応じて、個々の仮想マシンに別々のポリシーを適用できる。
・初回の同期で帯域を消費しない様、オフライン移行が可能。
・vCloud Air Disaster Recoveryリソースは柔軟に追加が出来る。=保護対象の仮想マシン数に応じて、スケールアップ、スケールアウトが可能。
引き続き、VMworld 2014の注目セッションブログにご期待下さい。