みなさん初めまして。クラウド製品担当スペシャリストの西田和弘と申します。私の担当は、vSphereのような仮想化プラットフォームだけでなく、vCloud Suiteのようなクラウド基盤およびvCenter Operations Suiteのような運用管理までと、幅広い製品をカバーしています。
業務上多くのお客様とお会いする機会がありますが、仮想化基盤導入後の運用管理フェーズの状況をお聞きするたびに、多くのお客様に共有した課題があるということが分かってきました。
そのような共通の運用管理の課題の例を4つほど挙げてみます。
- パフォーマンスの劣化を防止したい
仮想化基盤では、同一サーバーハードウェア(VMwareではホストと呼ぶことが多いです)上で多数の仮想マシン(以下VM)が同時に稼働しますので、特定のVMがホストのリソースを独占して利用することができず、他のVMとリソースを共有します。したがって個々の仮想マシンが常に最大のパフォーマンスを発揮できるとは限らないので、仮想化基盤では特にパフォーマンスの監視には注意が必要となります。 - 統合率を向上させたい
仮想化基盤導入のもっとも大きく、目に見えるメリットは「コストの削減」です。ホスト1台あたりのVM数が多い、つまり統合率が高いほど、ホストの台数を削減でき、より大きなコストを削減することが可能です。
もちろん無限にVMを搭載できるわけでないので、「どの程度まで搭載できるか」が問題になります。これはなかなかむずかしい問題で、1.のようにパフォーマンスの劣化を防止つつ統合率を上げるためには、微妙なバランスが必要となります。 - リソースの無駄遣いをなくしたい
これは2.とも関連しますが、仮想化基盤上では、個々のVMにたいし必要な仮想CPU数(以下vCPU)、メモリサイズ(vMEM)を設定した上で展開します。したがってvCPU数、vMEMサイズが大きいほど物理リソースを多く消費することになり、結果として統合率が低下し、コストが増大してしまいます。
個々のVMにたいして、vCPU数、vMEMサイズの設定値は、仮想化基盤の管理者が一律に決めるのではなく、VMサービスの利用を管理者に申請する人が指定するケースがほとんどです。基盤管理者としては不必要に大きなサイズを設定してリソースの無駄遣いをすることは避けたいと考えていますが、「申請されたサイズ」が本当に必要かどうか不明であるため、しかたなく申請値のまま設定しなければならないことが多いようです。 - 将来のリソース使用状況を予測し、ハードウェアを計画的に導入したい
仮想化基盤はとても便利なので、コスト以外にも多くのメリットがあることに気がつく管理者は多いと思います。便利になり簡単にシステムを追加できるために、すぐにハードウェアリソースが足りなくなってしまうという副作用があります。これは便利さのコインの裏表のような関係ですが、足りなくなることを前提に、程度増加量を予測して計画的にハードウェアリソースの増強を行いたいという声を多く聞きます。
上に挙げた例の他にも共通の課題はありますが、実はこれらの課題そのものにも共通性があります。それはいずれも「VMware vCenter Operations Management Suiteで解決することが可能」ということなのです。
vCenter Operations Suite(以下vCOps)については、仮想環境の運用管理ツールということでご存じ方もいらっしゃると思いますが、「運用管理ツール」というとらえ方はあまり正確でありません。一般的な運用管理ツールというと、システムのイベントやログを監視しアラート発生して管理者に通知するという機能を想像しますが、vCOpsの主要機能はそれだけではないからです。
vCOpsの主要機能は、まさに前述したように、「仮想化基盤における運用管理上の課題を解決できる」ということなのです。
次回以降のブログにて、vCOpsにて解決可能な課題とその方法について、順次紹介していきます。
- 仮想化基盤のパフォーマンスを監視し、性能の劣化を防止する
- パフォーマンスを犠牲にしないで、統合度を向上させる
- リソースの無駄遣い状況を調べ節約する
- 基盤の効果的な監視を行い、過剰なアラートを防ぎ、本当に必要な場合のみを知らせる
- ハードウェアの増強を計画的に行う
- トラブルが発生する前に、未然に防止する
- システム構成管理台帳のメンテナンスを自動化し、不測の事態に対応する
- 過去にさかのぼってパフォーマンスをレポートを作成する