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vSphere 5.5 の新機能紹介 vSphere Data Proteciton (VDP)

今回は、vSphere のバージョン5.1 より導入されているバックアップとリカバリソリューションvSphere Data Protection(VDP) に焦点を当て、先日発表されましたバージョン5.5 で追加された新機能・特徴の概要をご紹介します。
バージョン5.5 で追加されたVDP の主な新機能は以下となります。

1. 柔軟なバックアップ データの配置
2. 仮想ディスク単位のバックアップに対応
3. 粒度の高いバックアップ スケジューリングにより、顧客のニーズに対応
4. vCenter Server に依存せずに任意の仮想マシンをリストア
5. オフサイトへのバックアップ データの保管と、長期保管への対応

それぞれの機能について見ていきましょう。

1. 柔軟なバックアップ データの配置
vSphere 5.1 で導入されたVDP のアプライアンスは、容量毎(0.5 TB /1.0 TB / 2.0 TB) に仮想アプライアンスを提供しておりました。使用したい容量の仮想アプライアンスをデプロイすれば、必要な容量の仮想ディスクが接続されいるので、非常に簡単にセットアップすることが可能です。しかしながら、このデプロイ方法では、仮想アプライアンスのOSとバックアップを取得するための領域が同じ仮想マシンフォルダ内に配置されてしまうため、バックアップ領域(仮想ディスク)をOSとは異なるデータストアに配置するような構成をとることができませんでした。

5.5 では、容量別に仮想アプライアンスは提供されず、1つのアプライアンスのみが提供され、VDP のWeb コンソールを通じて容量(仮想ディスク)を構成します。
下の画面のようにVDP 仮想アプライアンスの容量は、初期セットアップ画面で構成するようになりました。また、既存にあるVDPのバックアップデータを新規にデプロイしたVDPアプライアンスで利用することも可能になっています。

図1. VDP 仮想アプライアンスの初期セットアップ画面1バックアップ データを保存するための仮想ディスクを任意のデータストアに配置することができるようになりました。下の画面は、容量0.5 TB を選択した場合に、構成に必要な256 GB の仮想ディスク3 個をどのデータストアに配置するかを選択する画面になります。

図2. VDP 仮想アプライアンスの初期セットアップ画面22. 仮想ディスク単位のバックアップに対応
vSphere 5.1 で導入されたVDP のバックアップ対象の最小単位は、それまで提供されていたVMware Data Recovery の仮想ディスクとは異なり、仮想マシンとなりました。お客様によっては、これまでのバックアップ単位とは異なる可能性がありました。
5.5 からは、仮想ディスクを個別に選択することができるようになり、バックアップが必要な仮想ディスクのみをバックアップする、粒度の高いバックアップが可能になりました。

下の画面のようにバックアップジョブ作成時には、仮想マシンの”フル イメージ” もしくは”個々のディスク” を選択することができるようになりました。

図3. バックアップジョブ作成時のデータ タイプの選択“個々のディスク”を選択することで、仮想マシンに構成されている仮想ディスクを個別に選択することができるようになります。

図4. バックアップジョブ作成時のバックアップ ターゲットの設定3. 粒度の高いバックアップ スケジューリングにより、顧客のニーズに対応
VMware Data Recovery やVDP は、これまでバックアップを開始する時刻を指定することができませんでした。
5.5 では、より多くのアプリケーションやビジネス ニーズに対応するため、分単位でバックアップスケジュールを指定することが可能になりました。


図5. バックアップジョブ作成時のバックアップ スケジュールの設定4. vCenter Server に依存せずに任意の仮想マシンをリストア
通常VDP による仮想マシンのリストアはvCenter Server に接続されたvSphere Web Client のプラグインを利用して実施しますが、vCenter Server が何らかの理由で利用できない場合、VDP の仮想アプライアンスの Web コンソールを利用して、直接ホストへリストアすることが可能になりました。
素早く仮想マシンをリカバリすることで、サービスのダウンタイム削減を図ることが可能になります。

図6. vSphere Web Client を利用したリストア
図7. VDP 仮想アプライアンスのWeb コンソールを利用した非常時のリストア5. オフサイトへのバックアップ データの保管と、長期保管への対応
VDP および VDP Advanced は、EMC Avamar をベースとしております。
5.5 では、新たにバックアップデータを外部保管するソリューションとして、”レプリケーション” 機能が提供されます。これによりサービスプロバイダは、Avamar を利用して、VDP からレプリケーションされたバックアップデータをアーカイブするサービスをお客様に提供することができるようになります。また、既にAvamar を実装されているお客様も、同様にAvamar をVDP のバックアップデータをレプリケーションするターゲットとして、指定することができるようになります。
レプリケーションのスケジュールと保持ポリシーは、カスタマイズ可能であり、バックアップジョブのスケジュールと保持ポリシーとは、別に構成することが可能です。


図7. レプリケーションジョブ作成時のデスティネーションの設定
まとめ
VDP のバージョン5.5 では、VMware Data Recovery で提供されていた機能の多くを使用できます。また、これまで提供されていないバックアップジョブの時刻指定やレプリケーション機能が加わわったことにより、より多くのニーズに応えられるバックアップソリューションになっています。