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Part3: 理想のSDDC環境をツールで一気にセットアップ!

ー Back Number ー
#1 「VMware Cloud Foundation (VCF) 」 をご存知ですか
#2    VCFはどんなお客様向けの製品?
#3   自動セットアップの方法とは?
#4   VCFはHPE Synergy との連携に優れている

日本ヒューレット・パッカード(HPE)で仮想化やハイブリッドクラウドソリューションなどのプリセールスをしている片山倫哉(かたやまともや)です。

連載第3回は、VCF(VMware Cloud Foundation)のセットアップ方法についてご紹介いたします。

前回の連載では、VCFは VMware社の理想形で構築され、さらに構築が早い!”ことをお伝えしました。では、 VCFのセットアップは実際に「どのような流れで進めていくのか」「本当に構築が早いのか??」、またSDDC(Software-Defined Datacenter)インフラを構築するにあたり、“VCFアリ”と “VCFナシ”では、どれくらい作業内容に差があるか見ていきましょう。

◆スクラッチでのセットアップと、専用ツールでのセットアップ◆

◇スクラッチで1個1個セットアップ◇

ホストごとに設定画面を開き、細かい部分まで手作業で設定していくという大事ではあるけれど、時間がかかって辛い仕事―――。
これらの作業を手動で実施すると1週間以上かかっていたなんてこともありますよね?
また、集中力が切れてしまい「途中1台だけミスをしまう」ことや、そのミスに気づかずに1台だけ設定が異なってしまうことで、隠れた癌のように後々カットオーバー後に性能や安定性に影響を及ぼしてしまうリスクもあります。

◇専用ツール◇

では、VCFだとどうでしょう?
VCFには専用のセットアップツールが付属しています。用意されたパラメーターシートにホスト名、IPアドレス、ライセンスキーなどを入力し、セットアップVM(Cloud Builder VMといいます)にブラウザからアップロードするだけで、各種SDDCコンポーネント(ESXivCenterNSXvSANvRealize:オプション)がVMware社の理想とする“完璧な状態”で出来上がります!

作業時間はもとより、「設計ミス」「構築ミス」から解放されます!

◇パラメーターシートの入手◇

VCFのセットアップはパラメーターシートの入手から始まります。私は前職SIerで勤務していたのでよくわかりますが、パラメーターシートというと会社ごとに書式が決まっていたり、パッと見て分かりづらいものも多かったりするのが実情ですよね。
しかし、VMware社が専用のパラメーターシートを用意してくれています!!
こういったところもVMware社は利用者(構築者)目線だと思いませんか。

入手方法ですが、MyVMwareにログインをして「Cloud Builder Deployment Guide」(Excel形式)をダウンロードすることができます(※)。
ファイル名:vcf-ems-deployment-parameter_VCF3.X.X.xlsx
※本稿執筆時の最新バージョンである「バージョン3.7.1」の場合、次のURLからアクセス可能です。
https://my.vmware.com/jp/group/vmware/details?downloadGroup=VCF371&productId=865

◇パラメーターシートの記入◇

Excelでパラメーターシートを開くと、視覚的にわかりやすいレイアウトになっていることが分かります。タブがいくつか用意されていますが、サンプルとして既にIPアドレスが入力されていますので、お客様環境に合わせた内容に調整するだけです。

◇パラメーターシートをセットアップVMにアップロード◇

ブラウザ(Chormeなど)から https://<CloudBuilderVM IP >:8008/  へアクセスします(注)。
「UPLOAD」ボタンをクリックし、作成したパラメーターシートをアップロードしてください。


(注)アクセスするアドレスはバージョンにより変わります。該当するバージョンのドキュメントをご確認ください。

◇セットアップ前の不安も払拭!自動構成チェック◇

実機でセットアップする際は、私自身もここで不安になりました。
それは「自分が記入したパラメーターシートに内容に誤りがないか」です。入念にチェックをしても、どうしても心配になるかと思います。

しかし、安心してください!

パラメーターシートをアップロードすると、内容に矛盾がないか、誤りがないかを確認してくれます。作業者の不安まで払拭してくれるため心強いですね。

Configuration File Validation

      ※ESXi、vCenter、NSX、vSAN、vRealize 1つ1つのパラメーターチェック
 

もちろん、問題があればきちんとエラーを表示してくれます。
また、パラメーターシートに記入した「値」のチェックだけではありません。ネットワークの疎通チェックや、ESXiハイパーバイザーが正しくセットアップしているかもチェックしてくれます。

※次の例では意図的にESXi側でSSH接続を無効にし、SSH接続できない状態にしてエラーを表示させました。

◇自動セットアップの開始(Bringing Up)◇

各SDDCコンポ―ネントのセットアップ作業は「Bringing Up」と呼ばれます。視覚的に現在進行中の作業がわかる画面デザインになっています。

◇自動セットアップの完了!◇

 

約2時間待つだけ で全てのセットアップが完了します。

無事セットアップに成功すると、緑色の枠内に待ちに待った “VMware SDDC Manager”のアクセスURLが表示されます。

さっそくアクセスしてみましょう!
次のスクリーンショットはVMware SDDC Managerのログイン直後の画面です。

◇これがVMware社理想の状態!!◇

「VMware社の理想」と繰り返しお伝えしましたので、それがどのような状態か気になっている方も多いかと思います。みなさまお馴染みのvCenter Server(vSphere Client)の画面も用意してみました。さすがにフルスタックというだけあって、たくさんの管理系の仮想マシンが並んでいます。リソースプールも使われていますね。

vSAN の構成ももちろんバッチリです!

ここまでで、基本的なVCFのセットアップ作業は完了です。VMware理想の設計でインフラが組まれました。

ESXi、vCenter、NSX、vSAN、vRealizeと、それぞれ技術書籍一冊ずつ書けてしまうものが、そのセットアップをたった1回のブログ記事で書けてしまいました。。。
この点においても、VCFのスゴさを私自身が再認識してしまったところです。

次回は、ここまでオンプレミス環境を中心に書いてきたVCF、クラウド適用についてご紹介します。是非ご期待ください!

片山 倫哉(かたやま ともや)
日本ヒューレット・パッカードのプリセールス部門に所属するプリセールスコンサルタント。
前職ではプログラマー、HPEでは仮想化のサポートエンジニアを経験後、プリセールス部門に転身。
技術が好きでVMware製品やMicrosoft製品の提案や、ProLiantサーバーを中心としたハイブリッドクラウドの提案などに従事。